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99話目 バースデーライブ!

サブタイでネタバレ

「つい、勢いで言ってしまった」


「しかしながら、節目的に悪くはないかと」


突然である。正に、疾風怒濤や空前絶後、青天の霹靂など、驚愕を表す言葉を幾つ並べても足りないような……「実の双子姉妹でガチ百合してます!」とゆう、仰天告白であった。


知ってた人の反応。


光:顔を両手で隠して蹲ってる。


剣:白々しく遠ざかる雲を見つめている。


なんとなく気付いていた人。


梓:ほっこりお茶を啜っている。


桜:拍手喝采。


まさかなぁ~と思っていた人。


遥:顔面がハニワ化している。


実鳥:ハワハワと赤面。


気付いてなかった人。


小町:阿鼻叫喚。


敏郎:なんだってー!?


美鈴:あらあら、まぁまぁ……❤


そもそも理解してない人。


燕:なにがおかしいの?


正に、十人十色な反応であった。


「その反応……知ってたでしょ兄さん!」


一頻り叫んだ後、平然どころか涼しい顔をしていた剣に小町が詰め寄った。


「うん。知ってたよ」


二つ返事で認める剣に、小町は更にヒートアップする。


「しれっと……なら、どうして放置してたのよ!?」


「……なんか、問題あった?」


「あ、あるでしょ!?えっと……色々と!」


「そうか?別に同性愛なんて……今時珍しくもない……よな?桜」


自分より説明に適した人材へと、聖家のサブカルチャープリンセスは巻き添えをくった!


「で、あります!深夜帯ではBLやゆりんゆりんなアニメが民放で幾らでも放送されている時代なのであります!日本で同性婚はまだ認められておりませぬが……同性愛は禁止されていないのです!美少女姉妹の百合だなんて……有り難いにも程があるのです!……どうして小町たまは憤ってるのでありますか?」


自身が前世で男性でありながら、女性の身体に転生した結果、性に対してリベラルな価値観を得てしまった桜に……性別は愛を遮る垣根とはなり得ないのである!女の子の方が好きではあるけど。


「だって……ただでさえ、兄さんと梓姉さんがいるのよ!?義理の姉と弟でも世間は好奇の目で見るってゆうのに……実の姉妹で百合ってるとか……世間体が!」


「小町~、世間なんて無責任で不確かなもんに振り回されてどうすんだ?第一、翼と希は世間に対して迷惑は……この件ではかけてないんだから、どうこう咎められる筋合いは無いだろう?それとも……お前は学校で同じような事があったら、世間側になって排斥するのか?」


「し……しないし、したくないけど……この件では?」


剣の言い回しに引っ掛かりを感じながらも、小町は渋々と自分の主張が利己的であることを認識するしかなかった。


小町は生徒会長である。生徒間で問題があれば意見を求められる側であるし、目前で喧嘩が起これば仲裁するし、当事者の言い分を公平な立場で判断する事を心がけている。


それを可能としているのは、聖家の環境が下地となっているのは小町も自覚しているところであった。


子供とは集団になるほど単純で残酷さを増すものであり、理性的な思考が影を潜め幼稚となる。ほんの少し〝変〟であることを=悪としてイジメの火種が発生するのは、精神的に未熟な子供を無作為に大勢集めた集団内で避けられると思う考え方は、宝くじが当たると思うよりも希望的観測が過ぎているだろう。


話が脱線したが、小町が生徒会長足り得ている理由は、個性的過ぎる家族に囲まれて育った点が大きい。相当変わっている兄と姉達であったが、誰もが小町に優しく接していたし、何より堂々としていたのである。小学校に入学した頃には小町は既に〝個性を尊重する〟価値観が出来上がっていたのだった。


それにプラスして幼児期に光に植え付けられたトラウマの所為で、不正が()()()()品行方正な性格にも成ったのである。


そんな小町の心情・価値観的には、翼と希が真剣に互いを愛している事を尊重する剣の御意見は、反論の余地がなく、狡いとすら感じられたのであった。


そんな小町の心情すら感じとったのか、剣は視線の矛先を双子へと切り替えた。


()()()()って、解ってたよな?」


微笑んでるけど、目だけは笑っていない……剣の表情を見た途端、双子は……額どころか顔面を接地させるレベルの土下座を披露した!


「ゆくゆく白日の元に曝される真実であるからして……」


「なれば、その前に家族全員に告白するべきであると……」


「俺に謝ってどうすんだよ?見ろよ、遥なんて驚きと呆れのあまりハニワになってんぞ。それに、実鳥ちゃんには刺激が強すぎたんじゃないか……?」


「ふぇ!?あ……私の事はお気に為さらず!そ……その、私は……愛に血の繋がりとか関係ないと思ってますから!愛し合ってる御二人は……素敵だと思います!」


言葉の暴風だった。小町は、まさか実鳥が翼と希に賛同するとは思っておらず、仰け反って倒れてしまい。光は俯せてジタバタと恥ずかしさに悶え。遥は白く色褪せてゆく……


土下座していた双子はすくっと立ち上がると、シュタタッ!と忍者の如く身軽に跳躍して実鳥の両隣に降り立った。


「ん~、みどりんいい子いい子」


「可愛い義妹に祝福されて、とっても幸せ❤」


そして、まるで猫でも可愛がるように抱き締めては、撫で回しては頬擦りまでしたのだった。


照れ困りな表情で、されるがままになっている実鳥。


「駄目です姉様方!実鳥たまには百合への免疫が無いのであります!刺激が強すぎるのであります!」


実鳥を救助しようと桜が双子へと果敢に挑もうとする最中、梓が剣にこっそり耳打ちしていた。


「どりりんってさ……実のお父さんに虐待されてたから、どんな形であれ仲良しな事を他意無く受け入れちゃってるんじゃないかな?まぁ……考え過ぎかもだけど」


「普通に見えて、歪んでいる……か。昔に比べれば自分の意見を言える分、マシになったと思えるが……てか、お前はやっぱり鋭いな。翼と希の事も、気付いてたんだろ?」


「そりゃねぇ、私はけんちゃんに出会ってからず~っと恋愛脳がフル稼働してますから!ラブな感情には敏感なのです!」


「そんなもんかねぇ?俺は、そっち方面鈍感らしいからなぁ~……にしても、どう収拾するよ?」


「心の問題だからね……無理矢理だと、こまたん辺りがわだかまり残しちゃいそうだし……」


剣と梓が場を納めるべく頭を抱えて唸っていると、


「ありゃ?家族団欒の場が、なんだかカオスってるじゃない?」


「……状況的に、ウイングとホープが……やらかした?」


混迷を極める聖家のお誕生日会に現れたのは、四名の来訪者……翼と希が所属しているバンド〝トリオス・ジェミニィ〟のメンバー達であった。


「雪さん!?みんなして、どうしてここに?」


剣は予想していなかった来客に、僅かばかり動揺を見せた。パーティーのサプライズとして誰かが呼び寄せたのかと思い、各々の様子を伺ったが、誰もが一様に驚いて……いない奴等がいた。


「私達が呼んだ~」


「逆サプライズ成功~」


実鳥の頭をナデナデしつつ、その頭上で片手ハイタッチを交わす翼と希。誰にも気取られず目論見が成功したので上機嫌なのであった。


そして、聖家の面々が状況を呑み込めない中、TJ(トリオス・ジェミニィ)のメンバーは軽~く挨拶すると、遠慮無くお構い無しにパーティーに加わったのであった。


「うおおっ?光先輩の手料理っすか?いただきます!」


紅士は前々から光の料理の評判を剣達から聞いていたので、チャンスとばかりに弁当へと手を伸ばした。


「がっつくなよ紅士。先輩、これ差し入れです。ケーキは用意してると思ったんで、団子とか持ってきました」


「あら、ありがとう蒼司くん。大した物はないけど、気兼ねしないで食べていいわよ」


不躾な弟を戒めながら、光に持参した手土産を手渡す蒼司。


「貴女が小町ちゃんね?リーダーやってる雪華です!こうして話すのは初めてだったよね?」


「ど……どうも。家の姉達がお世話になってます……」


雪華は話す機会がなかった小町の隣に座り、早くも持ち前の明るさで打ち解けようと積極的に話し掛け、小町もまた光の友人に気を遣わせまいと快く応じていた。


「………………甘美なひととき」


燕を膝の上に乗せ、ホクホク笑顔で心を満たす月華。燕は全然人見知りしない子なので、姉達の友人だと理解した事もあり、されるがままに愛でられながら、差し入れの団子を食べてリラックスしていた。みたらしがお気に召したようである。


「いやいや……翼と希のバンドメンバーの皆さんがきてくれるとはね……私も挨拶したかったんだが、若者ばかりのライブに行くのは気が退けてしまっててね……今日は会えて嬉しいよ」


社交辞令染みた挨拶をした敏郎に、雪華は手をヒラヒラさせ、


「んな事ありませんって!お父さん見た目若いから大丈夫っすよ!やっぱ応援してもらえるってのは嬉しいものでして、性別年齢問わずにウケるようになりたいですから!」


「でも、今はファンが男性に偏り気味……基本、ライブ中はウイングとホープの胸にばかり注目されてる……」


月華の注釈に、思わず咳き込むお父さん。公然と愛娘達に不埒な視線を向ける者がいると聞いては黙っていられない!


「なん、だとぉ!そんなファンは出禁にしなさい!いや、ファンと呼ぶべきでもない!剣!お前付き添いしてるんだろう!?そんな発情豚野郎を野放しにしてるのか!」


「……あのな父さん、ビジュアル面でも売ってく戦略なんだから仕方が無いだろう……ライブを〝観て〟〝聴いて〟るだけの客を追い出したりしたら、翼達の方が箱から出禁くらっちまうだろうが……想像や妄想で留めるぐらいは多目に見ろって」


「し……しかしだな……」


「大丈夫ですよお父さん。剣くん、本当にマナーが悪い相手には容赦しませんから。ねえ?」


「……そりゃ、行き過ぎたらファンじゃなくて犯罪者ですから。殺さないだけ有り難く思えって程度には……しますけど」


「死んだ方がマシな目……とも言う」


クスクス嗤う月華を見て、敏郎は表情を青ざめさせる。この息子は……殺りかねない!(実際、ガチな秘密結社的犯罪者集団は殺っているが)


「ビビんなよ父さん……俺にだって分別はあるんだから。説得して改心すれば許してやるんだから……一度目は」


二度目は許さないけれど……仏だって三度目は許さないんだから、一般市民の俺が一回許すだけでも……充分寛容じゃね?とゆう言い分であった。


「そうか……悪人どもは、相当怖い目に遭わされたんだなぁ……」


敏郎は凄く遠い目をしている。どうして、息子はこんなに強くなっちゃたのかなぁ?……と。




しばしTJのメンバーも加えて団欒していたが、全員の箸の動きが鈍くなってきたところで、翼と希が立ち上がった。


「さて、お腹が膨れてきましたところで……」


「演るとしますか……バースデーライブ!」


双子の合図で、メンバーが楽器を取り出した。バンドマンが楽器を持ち歩くのは当然である!当然、ドラムセットは持ち歩けないので、雪華はタンバリンを代用品としている。


「まさかの……ここで生ライブでありますか!?」


「公園で演奏すんの……問題ねぇか?」


ようやく白石化から甦った遥が、至極真っ当な疑問を説いた。


「大丈夫さ。アンプ使わねーアコギだし。一曲程度なら……謝りゃ許してもらえるって!心配性だなハルにゃんは」


※公共の場での演奏は許可を得て行いましょう。禁止と定められている場所での演奏は迷惑行為となります。懲役や罰金が課せられます。作中の公園では、日中の演奏行為は認められていますので問題ありません。そーゆー事にしといて下さい。


「店の外でハルにゃん言うな!マジ出禁にすっぞ!」


ここ最近、TJは29Qを打ち合わせに利用しているので、遥もすっかりメンバー達と顔見知りである。蒼司と紅士は店のメイド達から人気があったりするのだが……それは別の話である。


メンバーの準備が整い、バンドのセンターにウイングとホープが立つ。そして……


「お待たせしました!本日は私達の誕生日を祝って下さり、真にありがとうございました!」


「例年でしたら祝ってもらうだけの我々でしたが、本来誕生日とは、祝って戴くだけでなく、生んでもらい、育んで戴いた事を感謝するべき日でもあるのです!」


「そこで考えました!感謝を伝える為に、何が出来るのかを」


「私達が昨年から始めた音楽活動、TJのライブを感謝の印として、家族の為だけに開催させていただきます!」


「「私達が作詩した新曲〝星ノ彼方へ届かせたい〟!」」


その詩は、現在ここにある幸せを、伝えたいのに伝えられなくなった()達へと届かせようと、思いの丈を込めて、声の限りに本来ならば届かない場所にまで響かせようとする……作詩した双子の想いを綴った詩であり、双子の完全にシンクロした美声に乗って、歌を聴く家族の心に染み入ったのであった。


やがて演奏が終わり、双子が一礼して面を上げると……


「……何で、何で普段人を小馬鹿にするような態度をしているのに……どうしてこんな感動させる詩が書けるのよ!?歌えるのよ!?どうしてそんなにチートなのよぅ……もう……」


小町が、怒りながら泣いていた。他の姉妹も少しばかり涙ぐんでおり、剣も物静かに瞑目していた。敏郎は感動し過ぎて号泣していたが……双子は見てみぬフリをした!


「ばさねぇ!ぞみねぇ!おうたじょーず!ばめ、かんどーしました!」


小さな手で拍手をする燕を、翼と希は二人で抱きかかえると、きっと、芽生(実母)が自分達に言ってくれたのであろうと思う言葉を少し変えて、愛する末妹へと伝えた。


「燕、私達の妹に生まれてくれて、ありがとう」


「私達を姉と呼んでくれて、とても幸せだよ」


慈愛に満ちた表情の翼と希に挟まれた燕は、とびきりの笑顔で、その愛に、もう一度こう言うのであった。


「はっぴーばーすでー!」




今話のライブですが、双子に内緒でライブが準備されてるパターンも考えたのですが……コイツら絶対サプライズ見抜く!と、思ったので、逆サプライズの形にしました。

その内〝星ノ彼方へ届かせたい〟を作詩してライブシーンの描写を書きたい……言葉のセンスを磨かねばならぬぃ……

ともあれ、双子の誕生日編はこれで終了。

そして、次回は百話目!

ここまでお読み下さっておられる方々、ありがとうございます!

ブクマもじわじわ増えたり、減ったり……それでも増えていってるのが励みです!

次回は、理性で納得してても感情が複雑なままの生徒会長さんが主役です。

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