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プロローグ

初投稿です!文章力・語彙力が不足していると思いますが、やりたい事と好きな事を詰め込みまくって頑張ってみたいと思います!


それは、世に溢れる物語にありがちな、勇者と魔王の最終決戦。


勇者はここに到るまで、魔王の配下である魔人と魔獣を、たった一人で斬り伏せて、全身の大半を赤黒い返り血で染め上げ、魔王の前に辿り着いた。決戦の場となった魔王城近郊の平原はおびただしい数の亡骸が積み重なり、何もかもが血に濡れている。


勇者の名はヴェルティエ。翡翠色の頭髪と同色の体毛に覆われた尻尾を持つ翡翠狼族(エメラルドウルフ)出身の少女。


魔王の名はガルザート。額から天に向かい生えた角と青みがかった肌を持つ種族。その王である。


互いに主張があり。譲れぬ想いがあり。それを認めあいながら、結局、道は相容れなかった。


此処までに流された血が、世界の仕組みが、勇者と魔王に戦い以外の選択を許さなかった。


一対一の決闘と表現するには、あまりにも破壊の規模が大袈裟な戦争と呼ぶべき死闘が始まった。


両者の剣が魔力光に覆われ、一振り毎に最上級威力の属性魔法が放たれる。荒れ狂う氷塊混じりの吹雪。押し寄せる煉獄の焔が壁を成し。地面が波打ち飲み込み。数多の風刃が土を砂塵に分解する。一進一退の攻防が続き、いつの間にか、平原は地殻変動を起こしたかの如く荒れ果てていた。


一時代に一人ずつしか存在しないと伝えられる勇者と魔王。超越者たる二人の戦いは天災級の被害を周囲に撒き散らす。まるで、神話の再現たる戦いだった。


どれだけの時間、戦い続けていたのか。広域殲滅魔法を遠距離から撃ち合い。接敵しては斬戟をぶつけ合い。互いに怒りも憎しみも忘れ、相手を倒す事のみに集中していた時、不意にその瞬間は訪れた。ビギィィィィン!と、甲高い金属音が鳴り響いた。


ヴェルティエとガルザート。二人の身体よりも先に剣の方が音を上げたのだ。互いの剣は出来の悪い鋸みたいに歯零れし、ヴェルティエの剣は、剣の芯にまで到る深い亀裂が刻まれていた。後一撃防御するだけで、それどころかヴェルティエが全力で素振りするだけでも折れてしまいそうな状態となっていた。


互いの実力に大差がない以上、武器を失なう事は致命的と言える。特に使用されている武器の性能が優れている程に。


両者の剣は、どちらも伝説級の業物であること相違ない。しかし、ほんの僅かながらガルザートの剣が強度で上回っていた。


だが、ガルザートはこれで気を緩めはしない。むしろ、より集中を高める。剣を失ったとしても、最強の敵に変わりはない。そう、例えるならば手負いの獣を相手にするよう慎重に。勝機が薄くなった以上、玉砕覚悟で殺しに来る危険性は逆に高まったと判断したのである。


しかし、ヴェルティエの次の行動は、ガルザートをして予想外だった。ヴェルティエは剣を手離したのだ。折れないように、そっと地面に置くと、剣から距離をとり素手でガルザートに向き合い、構えた。その瞳には先程迄と変わらぬ闘志が宿っている。


ガルザートにとっては、あまりに不可解な行動だった。少なくとも、攻撃か防御に後一度は使える筈なのだ。必要なくなったのであれば放り捨てればいい話。わざわざ、手離す理由に思い至らない。その結論が出てしまえば決断は速かった。ガルザートはヴェルティエから放たれる魔力と気の流れにのみ集中する。何をしようと、全てを見極め斬り伏せる。それで終わりだと。


剣を両手持ちにし、突撃するガルザートを、ヴェルティエは妙に冷めた頭で見つめていた。彼女は、既に自身の命を諦めていた。


それでも、ガルザートの一撃で即死さえしなければカウンターで必殺してやると決めたのだった。そうまでの決意をした理由は、魔人軍の侵略から世界を護る為……なんて、高尚な勇者らしい理由ではなく、一人の少女の個人的な我が儘だった。最後の最後で、世界の平和より、自分の命より、大事なものに気付いてしまったのだ。


迅雷の如く、常人であれば視認すら不可能な速度で突撃するガルザートを、ヴェルティエは時の流れが何万分にもなったのではないかと疑う程に、ハッキリとその動きを捉えていた。或いは、自分の身体は既に両断されていて、死の間際の光景を都合良く再生して見ているだけではないかと。……だとしても、幻だとしても、まだ、ガルザートに拳を叩き込んでいない。それまでは終われないと、気合いを込めて瞳を開く‼


大上段から脳天目掛けて振り落とされる剣を、ヴェルティエは左腕を頭上に掲げ盾とする。当然、ガルザートの剣の前では小枝も同然。だが、ヴェルティエの狙いは即死を免れることだけ。ほんの少し剣閃を反らし、致命傷を受けようとも、反撃の一撃を放つ瞬間を作れさえすればいいのだ。


その覚悟を、ガルザートは感じ取っていた。だからこそ、この一撃を最後と決めた。掲げられた左腕ごと、脳天から一刀両断で反撃を許さず終わらせると。


そして、ガルザートの剣がヴェルティエの左腕に――――。


ガラン……と、音を立て、ガルザートの剣が地面に落ちた。


「ガッ!?…………な、なに……が?」


ガルザートの剣は、ヴェルティエの腕さえも斬り飛ばす事なく、それどころか口から大量の吐血が溢れ出している。


そうなった、原因は……。


「聖剣……さん?……どう、して……?」


ヴェルティエが手離した筈の剣が、ガルザートの脇腹に深々と突き刺さっていた。


「ば、馬鹿な……!娘の魔力に、剣を操作する、動き……など!」


そう、ヴェルティエは全ての魔力を反撃の為に、極力無駄にしないように両腕に集中させていた。剣どころか、石ころ一つ吹き飛ばす風系統魔法すら発現不能な程度の魔力しか漏れない程に。


それどころか、ガルザート以上にヴェルティエの方が驚愕を露にしていた。決意に満ちていた表情は見る影もなく崩れ、止めどなく涙が溢れ出している。闘志も霧散し、その場にへたれ込んでしまっていた。


(やれやれ、魔王と互角に戦える勇者様のくせに、まだまだ泣き虫が治らないのは困ったものだね)


心に直接響く声。ヴェルティエにとって何よりも大切な、友であり、師であり、家族である。剣の声。


「自分じゃ、動けないって、言ってたよね?念話だって、くっついてないと……出来ないって……」


(済まない。私は散々人にも魔人にも利用されていたからね。君の事は信用していたが、この能力は誰にも知られたくなかったんだ)


「まさか、リビングソード(意思持つ剣)?……『無銘の聖剣』が、現存……していた、のか……」


(流石は魔王。私を知っていたか。本当に、切り札は残しておくものだね。切る日が来るなんて、長生きはするものだ)


「なに、言ってるのよ……?そんな力があるなら、逃げれたじゃない……。折れたら、死んじゃうかも、しれないって……」


(全く、出会った頃から泣き虫が治らないねヴェルティエ。私がいなくなった後が本当に心配だよ。……ありがとう。私を一番大切にしてくれた使い手は、君だったよ)


ガルザートの体内で魔力が一点に収束する。自身の体内で、他者の魔力が膨れ上がる。そんな、今まで想像すらしたことのない感覚を味わい、ガルザートは戦慄を覚えた。


「よもや……、このような……形で、余の詰みとはな……。しくじってくれるなよ?『無銘の聖剣』よ」


(ふん、若造が言ってくれる。ま、もし私が失敗しても、後始末は世界最強の泣き虫がやってくれるさ)


「やめてぇーー!聖剣さん!駄目ぇぇーーー!!」


(さようなら、ヴェルティエ。………………生きてね)




意識が途切れた。


気付いたら、自分の意識以外、確かなものが何も無い場所にいた。どれだけの時間、そこにいたのかすら定かでない。


そこで私は、唐突に『女神』なる存在と出会い。彼女の導きで異世界『地球』なる星の『日本』と言う国へ、転生した。





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