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歌の旅人はエンジンを奏でる  作者: 秋月諏訪
第一詩
6/7

05

 町の市場に着いて驚いたのはシュリの顔の広さと、慕われ方である。

 少し歩けば、店の店主たちが持って行きなと色々と渡してくるし、子供は、また遊んでくれよとせがんでくるのだ。

 その歩きようはアイドル……、いや、シュリの場合は城主、もしくは騎士制度の残っている町の騎士団長と言ったところか。

 しばらく歩き回った後、休憩する為にシュリのおススメの店に入ることにした。


「旅人のあんたから見て、うちの町はどうだい?」

「いい所です。人々に活気があって衣食住に事欠かず、住むには適していると思います。少なくとも私が今まで回った町では、そうでない所もありましたからね」

「なら、いっそこの町で暮らしてみたらどうだい?なんならうちに就職しちまいなよ!仕事も食事も寝床もあるんだからよ!」


 少し困ったような笑顔でナバリは答える。


「旅が終わったら、それも良いかもしれない」


 それはきっと自分に向けた言葉なのだろう。

 その笑顔からは寂しさ……、諦めだろうか?そういった後ろ向きな感情が見え隠れする。

 旅の終わりそれは、彼にとってどのような意味を持つのだろうか?

 昨日、彼の言っていた目的地はもしかすると、彼の旅の終わりではなく、通過点に過ぎないのかもしれない。

 少し間が空いた所に、店員が注文していた紅茶を運んできた。


「この町では、みんなこうやって紅茶を飲むのですか?」

「そうだな。大体、みんなこうやって飲んでいるよ」


 紅茶と共に運ばれてきたのは、ジャムである。どうやら、町ではロシアンティーが親しまれているらしい。

 紅茶を飲みながら、また、他愛ない会話を始める。先程までの気まずさを紅茶と共に甘く流していくように。


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