四話 ダンジョンとの邂逅
あの後、携帯に政府から自宅待機命令が発令されたので雪音と共に家に帰った。
「…ねぇお兄ちゃん」
「なんだ?」
「ダンジョンに行くんでしょ?」
「…まぁな」
そうなのだ、もうダンジョンに行きたくてうずうずしている。
「行くのは良いんだけど絶対に戻ってきてね」
「それは勿論、俺は死にたくはないからな」
「それならいいよ」
大丈夫、安心しろお前の兄ちゃんは妹を残して死ぬほど薄情者では無いから。
「じゃあ私はなんか疲れたから寝るね」
「そうだな、俺もなんか疲れたから寝ようかな」
「私と一緒に寝る?」
「バカを言うな!」
「もう、素直じゃないんだから」
そう言いながら自分の部屋に入っていった。
「全く、俺の純情な心を弄びやがって」
ちょっと残念そうな顔をしながら自分も自分の部屋に入る。
すると自分の部屋に違和感を感じる、何か分からないが何時とは違う。
俺の家は平屋だがなかなかに広く、傍から見るとちょっとした武家屋敷だ、まぁこの家は曾祖父さんのものだったんだけど。
まぁそのことは置いておいて、どこに違和感があるのかを探る、だが見つからない。
「どうしたものか、これでは落ち着いて寝られない、ん?そう言えば俺は鑑定スキルを持っていたはず、これを使うか」
鑑定スキルの使い方がわからないのでとりあえず床の畳に鑑定と念じると。
ダンジョンへの扉
ダンジョンに繋がる入口にある扉
どうやらビンゴだった様です。
「だけどこれは…チャンス!戦うチャンスだ!」
早速ダンジョンに入りたいが、曾祖父さんの戦う時は軍刀と軍衣を纏え、と言う言いつけ通り曾祖父さんの軍刀と軍衣を纏ってダンジョンに続く階段を降りた。
「このダンジョンは遺跡みたいだな、想像してたのとちょっと違うな」
ダンジョンと言ったら洞窟をイメージしていたので少し残念だが、今はそれより体の確認だ。
ステータスを授けられたことによる変化を見るために軍刀を振ったりしてみるが、変化は見られない。
どうやらステータスを授けられる前にもスキルは見えないだけで存在していたようだ、じゃなきゃスキルレベルが上がってるのは可笑しいもんな。
ならあの神はステータスを授けたのではなく、ステータスを可視化しつつモンスターを倒すとレベルが上がるようにした。
そんな考察をしつつ、奥へ進むと何かの気配を感じた。
心が、魂が叫ぶ、戦いが出来る、楽しみだと。
さぁ、殺ろうか!