爆撃のある街
画面越しに見る
テロの標的の街は
痛みも何も伴わず
次のニュースへ切り替わる
所詮は他人事
それ以上でも以下でもない
当事者以外に
悲しみは伝わらない
あれを見て泣くのは
頭の中がおめでたい人間か
関係者だけだ
津波の時もそうだった
ヘリで黒い波を延々と映して
豆腐のような原発の建屋が弾けるのを遠巻きに眺めて
家も家族も流された人が泣くのを隣で付きまとって
そうやって
人の不幸を出汁にするマスコミを
あの日ほど
憎いと思った事はない
学校内の虐めの生中継かと
猿でもやらんぞそんな事
もはや何も云うまい
出来ることならあの日の報道ヘリを撃墜してやりたかった
しかしヘリが津波に飲まれる様を
また別のヘリが写すに決まっている
これも同じ事か
もう何も云うまい
傍観に徹することで
何もせず何も助けない自分たちの愚かな行いを
奴らはここぞとばかりに正当化していた
ここまで来れば馬鹿の極みだ
あの頃からだ
普段から自分の利益しか考えない偽善者が
いかにも自分の行いが正しいと
開き直るようになったのは
あの頃からだ
それまで云いたい放題したい放題で来た自称文化人の俗物共が
あの日を境に途端に沈黙して
「何を言えばいいか分からない」とか
「何も出来ない自分が腹立たしい」
などと
被災者と被災者以外の人間を小馬鹿にした態度で
お茶を濁すのが当たり前になったのは
揃いも揃って
何をやってるんだと
はよ腹を切らんかと
また同じ事か
何か云いたくなるのは悪い癖だ
ひねくれ者の私にとっては
非常に居心地の悪い世の中になった
誰もが口を閉ざし
誰もが核心に迫る事なく
誰もがごまかされ
誰もが肝心な一言を云わなくなった
それで善しとする
それが善しと甘んじる世間の人々に
いい加減反吐が出る
もう見限ってもいい頃じゃなかろうか
もしや箝口令が知らぬ間に敷かれていたとでも云うのか
もしやこれが治安維持なのか
もしや我々は既に封殺された後なのか
私の疑いは諸々尽きない
シリアで鉄砲玉の日本人が殺されたところで
私にとっては至極どうでもいい
オカマでもないのに玉も竿も名前も捨てた人間など
もうこれ以上何を捨てたところで後悔する理由もないだろう
報道家も所詮は偽善者であることに変わりないのだから
どこで死のうが誰に殺されようが
結果として同じだろう
そのうち神格化されて
次の報復戦争の為の口実にされる事くらい目に見えている
まさに犬死にとはこの事か
人の命など
所詮はその程度だ
偽善者からすれば
人の命はあくまで出汁に過ぎず
その先にある利益の方が
いつも優先される
実弾入りのおままごとを繰り広げる
かのテロ組織に
私はかつての連合赤軍や
オウム真理教の姿を重ねてしまう
もし中東を舞台に本格的に武装していたら
奴らも同じ道を辿ったのではないかと夢想する
歴史は繰り返している
それも現在進行形で
そして思う
いつの世も狂信者の野望など
似たか寄ったかなのだと
手法まで似通っているから余計につまらない
却って呆れてしまう
爆撃やテロで死んだ人数を伝えたところで
それが何になるのだろう
そこから何を読み取れと云うのだろう
日本人だろうがそうでなかろうが
誰が死のうが
身内以外には実感など汁の先ほども湧かない
あるのはただ
事実に対する恐怖と
自分のいる現実との間の
どうしようもなく深い溝だけだ
小学生がメッタ刺しにされたのも
気の毒ではあるが
これを報道したところで
マスコミ以外に得する人間がいるとは到底思わない
見知らぬ大人から突然刺されないようにするにはどうすればいいでしょうとか
近所の大人が地域でどうにか考えましょうとか
そんな間抜けな反応を期待しているんだろうか
防げるわけないだろそんなもん
おかしくなる奴なんかどこにだって一定数は存在する
他の事件でもそうだが
連日カメラに追われる遺族が気の毒で仕方ない
笑い事じゃなくまさに泣きっ面に蜂だ
過熱報道まで自由のうちだとか
云い出すんじゃないだろうな
そうやっていたずらに人々の恐怖心を煽って
子供には外で遊ばせないようにしましょうとか
それでゲームばっかりやって学力も体力も疎かになるとか
ソシャゲーの宣伝保険屋より多いもんね最近
そりゃスポンサーの悪口云えんわな
金貰ってんだから
仕事なんだから
そうやって妥協ばっかりしてんだから
云うことが支離滅裂になるのは
当然といえば当然の結果だ
片や深夜に萌えアニメ流して
片や二次ロリは犯罪の温床だから規制しましょうそうしましょう
片や萌え文化は日本の資源だから世界に発信しましょう
片や犯罪者の部屋から大量のアニメや漫画が押収されました
何を読み取れと云うのだろう
何を感じろと云うのだろう
何を活かせと云うのだろう
何を子供に伝えて
何を子供に教えるなと云うのだろう
お前らの舌は一体何枚あるんだ
疑心暗鬼の日々は
今日も明日もあさっても続く
終わりがない
終わりなんてない
どこにもない
どこにいても
何をしても
警戒の目ばかり向けられている気がして息が詰まる
どこへ行っても
何をしても
ここに自分がいるのは場違いだという無言の圧力を感じる
ここは少なくとも
お前なんかがいるべき場所じゃないんだと
じゃあどこへ行けばいいのかと訊いたところで
そんなもん知るかとか
自分で考えろとか
突き放されるのがオチだ
周囲がそういう無責任な人間ばかりなら
確かに私がいるのは場違いだろう
いるだけで気分が悪くなるから
自分から出ていってやる
お前らみたいな無責任な奴らに囲まれて
苛立ちながら甘んじて時間を無駄にするのは
性に合わない
無理して留まるような理由も義理もない
ストレス溜め込んで豚になるのは御免だ
もし日本が銃社会なら
とっくにアメリカより酷い事になっているだろう
これだけ表向き平和に暮らしていて
日常的にストレスを溜め込みつつ
それでいて自棄を起こさず
自らを死に追い込むような民族は
さすがに稀有だと思う
それだけに恐ろしい
銃なんか手にした日には
後先考えずに衝動的に引き金を引く奴が後を絶たないだろう
その銃口の多くは
他人より自分へ向けられるだろうけれど
どうせ殺されるなら
自分の好きな人に殺されたい
何も許せない自分が
その瞬間だけは
相手を許せる気がする
中途半端だから
流れ弾で死ぬのは御免だ
せめて自分を殺す奴の顔くらいは見てから死にたい