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ヒーローは突然に  作者: 世良雄介
8/10

二人の野球少年(5)

春の風は気持ちよく、村に吹いていた。桜は全て、散ってしまったが春のにおいはまだ残っていた


そんな、春の陽気に包まれた広々とした校庭で6人の子供が遊んでいた。校庭には他に人は居ない。彼らは始めにサッカーをした後、野球をしていた。


耕、優介、祐司チームと健太兄弟、雄平チームに分かれていた。今は祐司チームが攻めだった。

「手加減してるんだから、打ってよ~」


「何をいってるんですか!全然加減してないですよ!」


涼野がピッチャーだったが確かに球が速かった。打順は優介である。

「それじゃあ、行くぞ!」


「ええ!?」


そんな様子を見ながら祐司は耕に聞いてみた。

「どうだ?お兄さんの様子はやっばり、サッカーの時とは違うだろ?」


「そうだな…なんか生き生きしてるよ。」


「でも、だからこそ大変だな。」


「かキーン!」

優介の打った球は学校の外に出てしまった。

「手加減したからって、こんなに打つなよ。」


涼野は笑いながら言った。

「じゃあ…僕が取ってくるね。」


優介が走って行った。

その時、祐司が涼野に聞いた。

「やっぱり、野球上手いですね。」


「褒められる程じゃないけどな。」


「でも、野球は好きなんですよね?」


「いや…俺はサッカーの方が好きだな。」

涼野の苦し紛れの一言だった。


「お兄さん…もう嘘つかなくて良いですよ。」

「え…な、何が?」


涼野はいきなりの変化球に戸惑った。

「廃部の話…聞きました。」


「…何でそれを…」


「僕ら、今日の午前中に町に行ったんです。」


数時間前...

祐司は雄平から野球部が町南中には無い事を聞き、何故野球部が無いのか調べてみることにした。朝早くに起きた祐司は耕と優介と健太も誘い、まちへと急いだ。何も宛があるわけではなかったが、先ずは町南中へと歩みを進めた。

町には、既に人の往来が激しかった。

「町に来る機会がこのごろは多いね。」


「ああ、なんか俺達本当にちゃんとミッションをこなしている感じだよな。」


優介と耕がのんびりとそんな事を話していると、町南中学校の校門前に着いた。休日ではあるものの、部活の為にたくさんの生徒が校舎に入って行った。

「…着いたな。さてさて、どうしたものかね…」


四人が校門の前をうろうろとしていたら、校門を少し中へ入った所に居た警備員のおじさんが声をかけてきた。

「どうしたね、君達?」


「あ…アノォ…聞きたい事がありまして…」

祐司が答えた。

「なんだい?道にでも迷ったか?それとも、恋の相談かい?ハハハんな訳ないか!」


「あ…じゃあ、俺は恋の相談でもしようかな♪」


「耕くん…」


優介が呆れていると祐司が再び声を出した。


「実は…この学校の野球部について知りたくて…町南中には野球部が無いんですよね?」


「野球部の話か…まあ、ちょっとこっちに来てゆっくり話そう」


おじさんは野球部の単語を聞くと寂しそうに微笑んだ。四人は警備員の小さな小屋の警備室に入った。おじさんは今、担当の時間ではないので警備服の帽子を取り、四人と同様パイプ椅子に腰をかけた。


「君達は…中学生ではないみたいだね?」


「はい。小学6年生です。」

「野球部に入ろうとしているのかね?」


「いえ…そういう訳ではないのですが」


「まぁ、詳しい事情は聞かない事にしよう。野球部が何故無いのか…だったね?」


「はい。」


「実はね、町南中にも5年前までは野球部があったんだよ。ずーっと昔には黄金期ってのもあってすごく強い時代もあったんだよ。…でも、5年前のちょっとした事件があって、廃部になっちまった。」

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