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ヒーローは突然に  作者: 世良雄介
1/10

3号 (上)

三号

彼はいつもそうだった。いつもは頼りないくせに、いざって時に助けてくれる....

そんな彼はいつだって.....私にとってのヒーローだった。







「別に昔から興味なかったしな。」

いつも火照った、こいつの顔も前に会った時より痩せたように感じた。こいつが勘当されてから、もう2年も経つのだ。

「そうは言うけどね....耕君。いくら何でも、挨拶なしっていう訳にはいかないだろう。人生最初で最後の結婚式なんだよ。満智子ちゃんだって...」

そこまで言ってから、俺はノートを渡した。

忘れないうちにさ、書き留めておこうと思って。

優は俺のノート静かに開き始めた。



散っても、散ってもなくならない桜は今日もきれいに咲いていた。祐司は大きく深呼吸をした。新学期、早々持ち前の明るい大きな声で叫んだ。

「六年生だーーーー。最高学年だーーーーー。」

この田中祐司という、うるさい男の子は黒いランドセルを背負いながら学校の校門をかけぬけていった。そのうるさい声は、大きなグランドでは周りの嫌な視線となってかえってきた。

「おい、うるさいぞ祐。新学期初めの日からそんなにうるさくて、おまえには緊張はないのか。」

祐司に最初に声をかけたのは、三井耕也だった。祐司は足をとめた。二人は仲がいいみたいだ。

「耕が緊張しているのは、満智子ちゃんと同じクラスになりたいからだろ。」

「おまえ、それは違うぞ。俺は、知っているんだ。」

「なにを?」

「しりたいか?」

耕は祐司をからかった。祐司は、耕を見つめて頼んだ。

「教えて。」

「じゃあ、教えるぞ。それがな、今日この学校に転校生が来るんだよ。」

「本当に?俺たちと同じ6年か?」

「ああ」

「そっか、たのしみだなー」祐司は期待に胸をふくらませ、指定

されたクラスへとまた足り出した。耕はまだ、小さな声でぶつぶつ言っていた。

「まあ、その祐が言ってた満智子ちゃんが・・そのあれも間違ってはいないけれど・・・・」

耕は祐司がいない事も気づかないで、もじもじ言っていた。周りは祐司の時より、変な目で耕を見ていた。低学年の女の子が言った。

「へんなひとー」

指定されたクラスに祐司は着いた。窓からは、春の温かい風が吹いていた。その春の香りを嗅ぐだけで、祐司の心はわくわくした。

クラスにはすでにたくさんの人がいた。そもそも、指定されたクラスというのは全校朝会の前に一時的に集まるクラスで、まだ新しいクラスメイトはわからないのだった。祐司はどこに座ろうか、迷っていたとき後ろから誰かに話しかけられた。

「祐君、おはよー」

その、おっとりした声から祐司はすぐに優介だとわかった。

優介は、体がぽっちゃり体型でいつもマイペースで皆に優しい良い奴だ。祐司はなぜか、優介と5年間連続で同じクラスになっている。最初の頃は、あまり話す事がなかったが常に同じクラスだと自然に仲が良くなっていった。

「おはよー、優介。今年も一緒かな。」

2人はてきとうに席を見つけ、隣に並んで座った。

祐司が優介に転校生の話をしている中に先生が教室に入ってきた。チャイムはすでに鳴っていた。

「静かにしろー。出席をとったら、朝会に行く。」

メガネをかけて、学校で一番怖いと評判の中年のおじさん先生の竹田先生だった。祐司達は竹田先生に言われたとおりに動いた。

朝会は体育館で行われる。祐司の学校は生徒三百人程の学校だ。クラスは各学年ニクラスだった。ニクラスならば、祐司と優介のようにずっと同じクラスのやつも他にいるだろう。そもそも、祐司達の学校がある場所。つまり祐司達の村、自体大きくないのだ。祐司達の村は、北、東、西を山で囲まれ南東には大きな川がある。その、大きな川を大きな橋で渡って少しばかり歩くと町があるのだ。

まあ、おいおいその話はするとして祐司達のクラス発表となったのだ。

白いボードに大きな紙が貼られ、そこにクラスの人の名前があった。右に1組、左に2組と名前順に並んでいるのだ。

「祐君また、いっしょだね。」

祐司と優介は思った通り、同じクラスだった。2人は1組だ。

「俺もいっしょだぜ。」耕もいっしょだった。

「耕、一緒になれたのか?満智子ちゃんと・・・」

祐司は満面の笑みで、耕を見つめた。

「自分で確かめろよ。」

「その手があったか。」

祐司はホワイトボードを見た。











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