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transmigration  作者: さーどん
第三章【HELP】
17/41

エピローグ、そしてプロローグ

……目を開けると、ただただ真っ暗な、なにも見えない世界。



どうして私はここにいるんだっけ?



…確か、あいつを探して、公園に辿り着いて、そして…



「…ジミー、そうだ!!最後に確かジミーが、健吾君が…屋上に…」



そうか。

健吾君はジミーだったんだ。



あぁ。なんでこんなに近くにいたのに気づかなかったんだ私は!



そして私は…その後何をしたんだ?

何をしたからこんなところに…






『……ね、ねえ、そんなところにいるとまるで…飛び降りるみたいじゃないか』

『見ての通り。その通りだね』


『…やっやめてよ!!ねえ…なんで、なんで君が死ななきゃいけないんだよ?』

『……わからないな、俺には』


『じゃあやめてよ…!!!ねえジャック‼︎‼︎』

『……ごめんな…こうするしかないんだよ』






『…………ジミー、ごめんな…』





そうだ…思い出した。



あの時私は、また生まれ変わらないように、屋上から飛び降りて…




ゆっくり手をついて起き上がる。…動作をしたはずだった


…感覚がない?





…まさか、ここは、また?





……自殺したら終わるんじゃなかったのか?




「なっ…なんで、なんで…そ、そういえばさっきからしゃ、喋る感覚もない…?!……ま、待って、なんで、また…」


なんで終わらないの?終わらせる方法はどこにあるって言うんだ。


これじゃ、これじゃ…


私は一体なんのためにあいつの前で飛び降りたんだ…!!



もう感覚のない頭を掻き毟る。



もう嫌だ。そう思ってももう誰にも届かない。





















「……またか、」



また、もう何年たったかも、わからなくなった。




「…何回目だ、この部屋に来るのは…」


自問するも、答える者はいない。


「嫌いだ、ここにいるのは…じかん、が、どんくらいたったかもわからなくなる」




「あー…あぁもう、ぜんぜん言いたいこと、纏まらない…ただでさえ私は頭、悪いって、みんなにいわれてるのに…」




「こんなクライとこじゃ、落ち着かない…」




「…だいいち、何も見えないし、…おちつくのなんてアイツくらいか」


そうだな…あいつ、暗いところが好きだって言ってたっけ。



頬が綻ぶ。


「…でも言わなきゃいけないんだ、言いたいこと、あるんだ」




「ずぅっと、ずううっっっと…言えなかったんだ、言わなきゃ」




「私は、………俺は」




「…アイツが、…君のことが……



すごく大切だった、……大好きだった…」



もうずっと前から気付いていたのに。なんで伝えなかったんだ。




何度も出会っているのに、何度も話したのに。



「……怖かったんだ」



俺は冷たい人間だから。友達をここまで大切に思えるようになるわけないと、ずっと否定し続けてた。




こんな俺の感情が伝わったって、あいつも迷惑だと思い続けてた。


あいつは、あんなに必死に俺のために行動してくれていたのに。




…死んでまで逃げ続けるなんて、俺は、私は馬鹿なのか。





『ちがう…ちがう、ちがう、ちがう、ジミーは友達だろう?家族でもない、友達だろ?……それ以上になると迷惑かけちまうだろ…?』




頭の中で声が響く。



『…わからない。わからないんだよ…健吾君……私…』



男の声と、女の声。





…なんでだ。




まるで、こうしていると…別人のようじゃないか。



俺は私だし、私は俺だったはずなのに、…同じはずなのにどうして?



「………そりゃ、そうでしょ。私は町田由香里。君はジャック。別人なんだから」




先ほどまでとは違う。ハッキリと聞こえる女の声に頭を上げる。



……………真っ暗でなにも見えないはずなのに、此処には誰も居ないはずなのに、どうしてか少女の姿が見える。




…どういうことだ?何が起こってる?



あの時切ってしまった髪の毛はそのままに、ショートカットになった、少女の姿。




「…なんでだ?」



「…あいにいかなきゃ。きっと健吾君が…あの屋上で待ってる」



「何いってるんだ…誰だよお前は…!?」



「ここに来たってことは…生まれ変わるんだよね。でも私は"個別"の意識になったってことは、【私】はなかったこととして生まれ変わるってことかな?」



「ど、どういうことだよ…お前は…俺のはず…」



「君と私は意識が別れちゃったから、別人だよ。だから私がなにしようと関係ないでしょ。…あ、君も"個別"になっちゃってるね。じゃあ、これから君はどうなっちゃうのかな?


次の人の意識に飲み込まれるのかな?


それとも記憶のみ吸収されて、意識は別れるのかな?


私には関係ないけど」




「おい、どういうことだよ!?関係ないって…ふざけるな…!!関係あるに決まってるだろ!お、おいまてよ…っ!!」



何処かへ歩き出す少女に向かって手を伸ばす。



その瞬間、周りが光に包まれて……





【俺】は何も見えなくなった。





最後。薄れる意識の中で少女の声が聞こえた。

















『………私は、健吾君にあいたい……!』

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