これは俺の姉?
毎日学校に通い、毎日授業を受け、毎日友達と他愛もない話をぺちゃくちゃとしゃべり、帰宅する。
それの繰り返し。
俺は嫌気がさしていた。
今日もそうだ。そんな一日がまた始まる。
(もう今日学校やすもうかな・・・)
なかなか出れない布団でそんな事を考えていたときだった。
「おっきろぉー!(゜∇^*) ♪」
俺の鼓膜が響いた。
「幻聴か、かなりかわいい声じゃな・・・!?」
間髪いれずに、いきなり俺のかぶっていた布団が飛んだ。いや、正確に言うとまくられた。
「え!?え!?」
瞬時に理解はできなかった。俺はびっくりしてすぐに上半身を起こし、周辺を見回した。と、いっても俺の部屋だからそう広くはない。
そこで俺は見つけた。身長は俺と同じくらいか、少し小さいか。黒くすきとおるような髪はしなやかなラインで肩をこえている。
その少女はまるでペットを見ているかのような満面の笑みで俺を見つめている。
「朝だよ!?学校遅刻するぞ~!」
ぐっと顔を近づけ、彼女hあ話しかけてきた。鼻と鼻が当たるほど近い。
(え!?かわいい・・・)
正直なところ俺はそう思った。気持ちが少しずつ落ち着いて彼女の顔立ちもしっかりと確認できる。
大きな目、整った鼻、きれいな唇・・・非の打ち所がない。とはまさにこのことだ。
だが、俺はもっとも発せねばならない最大の質問を彼女にまだ投げかけてはいなかった。
「どうしたの?」
彼女は膝に手を置いてかがんで、ベッドに座ってる俺の顔をしたから覗き込んできた。
「早くしないとご飯冷めるぞぉ」
彼女は俺の腕をつかみ、ベッドから俺を出させようとした。
「ちょ、ちょっとまって!」
とっさに出た言葉はこれだった。
「なに?」
きょとんとした顔で見てくる。畜生かわいい。
が、聞かなければならないことがある。
「あのさ・・・」
「ん?なに?たくみ」
(俺の名前までしってやがる)
状況がまったく読めない。しかし聞くしかない。
「あんた・・・誰だよ?」
「・・・」
ほんの一瞬の沈黙だったんだろう。それが何分、何時間に感じたことか。
沈黙を破ったのは彼女だった。
急にうつむいて下を向いたと思ったら
「ぷっ・・・ん・・・あははは!!何あんたとぼけた事言ってんの?」
笑われた。俺は面白いことを言ったのか?いやいってないぞ、絶対にだ。切実な質問を投げかけただけだ。
「だから・・・誰?あんたは」
ふぅー彼女はため息をつき
「まったく、なんでそんなこと聞くの?そんなに言うなら名乗りますよ?」
あきれた顔でそういった。
そしてこう続けた。
「あんたの姉ちゃん、大沢希。18歳。」
(は?)
「もー!なにきょとんとしてんの!ほら名乗ったわよ、あんたの姉ちゃん、の・ぞ・み!ほら、さっさと朝ごはん食べよ!」
俺は腕をまたもやつかまれ、ベッドから下ろされた。いや、連れ去られたのか。
(俺は一人っ子だぞ?・・・)
この日、俺のありきたりな高校生活は幕を閉じた。