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夏芭の上京の状況 (スマホ版)  作者: 西座屋


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(8)『夏芭の本音』

○アパート・前(夜・21時前)

  田岐先生と祐香、お互い見て固まっている。

田岐先生「…」

祐香「(何でここにいるの)…」

磐田「(祐香に)? (と田岐先生を見る)」

田岐先生「(磐田に見られて)! (と目を逸らす)」

磐田「?」

  磐田は田岐先生の事を覚えていないようだ。

夏芭「(磐田に)ああっ!」

全員「(夏芭に)!」

夏芭「君! 君…(と磐田に近付く)。見えないって

 言ったからご迷惑お掛けしました」

磐田「?」

  夏芭、磐田にターゲットを絞って愚痴を

  言い始める。

夏芭「自殺の話聞いたから余計幽霊かと思った

 じゃん。怖かったんだからね」

磐田「…(えっ)」

夏芭「一方的に付けられても分っかんない。

 つら見せて正面切ってくれなきゃ。だから

 ストーカーっていう括りに分類されちゃう

 んだよ」

磐田「(え)?」

男の友人「お前ストーカーしてんの!」

磐田「! してないしてないっ。知らないって

 この子。誰?」

麻美子「ごめんなさい絡んで。ほぼジュース

 みたいなお酒で泥酔い出来る幸せな子なん

 です。大目にみてやって下さい(と保護者)」

磐田・友人たち「…」

麻美子「アルコール3パーセント(と補足する)」

磐田・友人たち「…」

夏芭「パートだしジェラシーだし興味あるし

 やりたい。やる気だってある。でも採って

 貰えないんだもん。まぁ…だよね…。上手

 くいかないなー…合うか合わないかだから。

 でもやっぱやってみたいでしょ。せっかく

 だから」

磐田「…」

麻美子・田岐先生「…」


〇(回想) 夏芭の今までの歩みと気持ち

  夏芭が何の事を言っているのか。

  夏芭の発言を繰り返しながら(回想)を

  振り返る。

    ×    ×    ×

  ホームセンターのレジで会計担当する夏芭。

夏芭のN「パートだし」

    ×    ×    ×

  麻美子が通う服飾専門学校の学園祭の

  ファッションショーのキラキラした学

  生らの姿にすごい羨ましい圧倒されて

  いる客席の夏芭。

夏芭のN「ジェラシーだし興味あるしやりたい」

    ×    ×    ×

  高校の制服をきちっとびしっと着て面接

  に挑む夏芭。ド緊張。

夏芭のN「やる気だってある」

    ×    ×    ×

  しかし不採用…。

  思い通りにいかない就職活動。

  やりたい職種の会社を面接しても採用の

  声が聞こえてこない…時の夏芭。

夏芭のN「でも採って貰えないんだもん。まぁ…

 だよね…。上手くいかないなー…」

    ×    ×    ×

  夏芭、面接時の状況を思い出して、

  面接会場で夏芭以外の他の高校生も面接

  のためにいる。

  夏芭は緊張でおどおどして自信が小さそ

  うに見える。

  それに比べて周りはやる気がみなぎり自

  信がある感じ。

  ここで絶対に働きたい気持ちが溢れてい

  る他の高校生たちのその顔や姿を思い出

  して「そりゃそっちと仕事したいだろう

  な…」と思う夏芭。

夏芭のN「まぁ…だよね…。上手くいかないなー…

 合うか合わないかだから」

    ×    ×    ×

  学園祭のファッションショーあとに、

  服飾専門学校の校舎内を麻美子とうろう

  ろ見学する夏芭。

  学校や通う学生らや麻美子の様子を見て

  やりたかった事や気持ちが再燃する夏芭。

  帰りに寄った和雑貨店の店内でときめく。

  パート募集を見つめる夏芭。

  「これだ!」ここなら働いてみたいと思う。

  始めるチャンスと思う。

夏芭のN「でもやっぱやってみたいでしょ。

 せっかくだから」

  (回想終了)


〇アパート・前(夜・21時前)

  夏芭は今まで思っていた事を磐田に向かって

  吐き出した…。

  だが全然何の事を話しているのかよく分から

  ない磐田とその場にいる人たち…。

磐田「(夏芭に)…」

麻美子・田岐先生「(夏芭に)…」

夏芭「あとうるさい。壁薄いの知ってる? 分かっ

 てる? 分かってやってる…? 防犯対策されてる

 なら良いけど。間違った、防音だ…。別にうるさ

 いって言ってる訳じゃないの。姑みたくグチグチ

 言いたくない。ただ、賑やか過ぎる。賑やかなの

 は助かるけど、たまに過ぎてるよ。気を付けて。

 気を付けて下さい」

  と深々と長いお辞儀をする夏芭…。

磐田・友人たち・祐香「…」

夏芭「(頭を下げたままで)…」

麻美子「…(と空気を感じ取って)夏芭、戻ろう。

 私一緒に行ってあげるから」

磐田・友人たち・祐香「…」

  一台のパトカーが停まる。

  警察官の武部と警察官AとBの三人が

  降りて来る。

全員「!! !? (何事かと思う)」

武部「どうしました? 揉めているとの通報が

 ありまして…」

夏芭「(頭を上げて)…?」

全員「…」

武部「(全員の反応を見て)…違うの…? (夏芭

 に気付いて)あ…。(田岐先生にも気付いて)

 あっ…。(脱力で)またあんたらかー…」

全員「…」

    ×    ×    ×

  パトカー帰る。

  祐香、階段を駆け上がり誰よりも先に

  部屋へ戻る!

  田岐先生は思わずそんな祐香を目で追っ

  ていた。

田岐先生「…(と階段の方を見る)」

  階段では、麻美子が夏芭を補助しながら

  階段を上がっている途中だった。

  その後ろにいる磐田と友人たちは二人の

  ペースに合わせて上がる。

田岐先生「(そんな磐田を見ていて)…」


〇(回想) 服飾専門学校・講義室(夏芭上京二日目

 の時・午後)

  田岐先生が担当する授業の終了後。

田岐先生「(こそっと)広野さん」

祐香「はい」

田岐先生「…写真の件なんだけど」

祐香「…」

田岐先生「…」

祐香「(悟って)彼氏のスマホは見ない主義なので。

 消えてるかどうかは…」

田岐先生「…」

祐香「忘れて良いと思います。私も忘れてました

 し」

田岐先生「…(が気になる)」

  (回想終了)


〇アパート・前(21時前)

田岐先生「…」

  磐田は相変わらず酷く酒に呑まれた夏芭

  を気にしながらペースを合わせて階段を

  上っている。

  元々は田岐先生自身が悪かったし…。

  あの時は磐田もカッ! となってああいう

  言動で田岐先生に絡んでいたが普段はそ

  んなに悪い人ではなさそうだ…。

  田岐先生、磐田の様子を見ていたが帰る

  事にする。

  祐香、封筒を持って部屋から飛び出す!

  帰る田岐先生を追い駆ける!


○同・前の道(夜)

  祐香、帰る田岐先生に追い付く。

  四万円が入った封筒を突き付ける。

田岐先生「!」

祐香「…」

田岐先生「…」

祐香「尚哉はとっくに忘れてますから(と封筒

 を差し出す)」

田岐先生「(それを見て)…あげたものだから。

 写真が消えてればそれで良い」

  田岐先生、受取らない。

祐香「…(とイラッとして)あとからこんな風に

 ウジウジするならしない方が良かったんじゃ

 ないですか。意地張るの」

田岐先生「…」

祐香「意地を張るのは構いませんが、お互い

 分かってて引っ込み付かなくなるのってど

 うかと思います」

田岐先生「…」

祐香「嫌なら募金して下さい」

  祐香、封筒を地面に置いて

  さっさと部屋に戻る。

田岐先生「……(と封筒を拾う。家に帰る)」


○コンビニ・外観(夜)


○同・店内(夜)

  田岐先生、レジにカゴを置く。

店員「いらっしゃいませー(と商品のバーコ

 ードを読み取る)」

  田岐先生、チラッと募金箱を見る。

  貰った封筒を折って募金箱に入れる。

店員「(それを見て)ゴミは入れないで下さい

 (と会計を続ける)」

田岐先生「(え)…」

  田岐先生、募金箱を見て

  「現金入ってるのに…」と思う。


○アパート・磐田の部屋・居間(深夜)

  友人たちは帰って祐香と磐田の二人しか

  いない。

  テレビを見ていたが磐田は眠ってしまっ

  ている(その顔に眼鏡。コンタクトレンズ

  を外した状態)。

  祐香、そんな磐田を見る…。

  放置された磐田のスマホを見る。

祐香「…」

  祐香、磐田のスマホをいじる。

  保存した写真を見る。

  イチャつく二人の写真、はしゃぐ磐田や

  友人たちとの写真など次々に出る。

  田岐先生と祐香の写真が出る。

祐香「(手が止まって)…」

  祐香、その写真を消去する。

  スマホを戻して何もなかったかのように

  過ごす。


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