(3)『ホームシックからの孤独感』
○和雑貨houseノ倉・外観(数日後・午後)
○同・バックヤード(午後)
夏芭と沙苗、在庫のチェック中。
沙苗が数えて夏芭がチェックシートに記入。
沙苗、数え終わった商品を夏芭に頼む。
沙苗「これ、ついでに出して来て」
夏芭「はい」
○同・店内(午後)
夏芭、頼まれた商品の補充をしている。
その近くで客の女性(60代)が悩んでいる。
女性「(夏芭に気付いて)すみません」
夏芭「?」
女性「今、良いですか?」
夏芭「はい」
女性「プレゼントで11歳頃の子に、女の子な
んだけど、エプロンをあげようと思ってる
のね。でもどの柄も素敵で…(迷う)。どうい
うのが良いと思う? やっぱり可愛い方が良
いかな? あなただったらどういうのが好み?」
女性は、金魚柄、トンボ玉柄、唐草模様…
と数種類ある柄のエプロンを手に取りなが
ら夏芭に相談する。
夏芭「…」
夏芭、エプロンの柄を見ながら
「うー…ん」と考える。
夏芭自身がどの柄も好きで困る。
選べないっ。
夏芭「どういう感じの子なんですか?」
女性「お菓子を作るのが好きで、自分でレシピを
考えて作っちゃうの」
と楽しそうに喋る。
夏芭「(へぇー)」
レジ付近の商品を陳列している倉戸。
客の女性と話し込む夏芭を見る。
倉戸「…」
× × ×
レジで会計中。
夏芭が商品を袋に入れて沙苗が会計をする。
沙苗「○○円のお返しです」
女性、お釣りを受取りしまう。
× × ×
女性が店を出て、
夏芭・沙苗「ありがとうございましたー」
近くで陳列していた倉戸も、
倉戸「ありがとうございましたー。(夏芭に
近付いて)随分長い事喋ってたね」
夏芭「(え)…」
倉戸「何話してたの?」
夏芭「…お孫さんの話です。誕生日プレゼントを
探してたみたいで。話聞いてました」
倉戸「(ふ~ん)」
沙苗「包まなくて良かったのかな? 普通に袋に
入れちゃったけど」
夏芭「…(あっ)!」
夏芭、今頃気が付く。
沙苗「(夏芭に)言ってくれればやったのに」
夏芭「…(失敗したと思う)」
倉戸「(夏芭に)ラッピングまだだよね?」
夏芭「…はい」
倉戸「(沙苗に)河井さん、鈴木さんに今教えて
あげてラッピング。レジ代わるから」
沙苗「…良いですよ」
沙苗、夏芭にラッピング置き場から
教え始める。
○道(夕方・18時過ぎ)
暗くなった人気のある帰り道。
夏芭「…(歩いている)」
× × ×
少数の人としかすれ違わなくなる。
夏芭「…(後ろを気にする)」
夏芭、気のせいかもしれないが変な視線を
感じる…。
振り返らず早歩きになる。
○アパート・前の道~二階の通路(夕方)
夏芭、早歩きで来る。
階段を駆け上がり急いで部屋の鍵を開けて
中へ入る。
○同・夏芭の部屋・玄関(夕方)
夏芭、鍵とチェーンを素早く掛ける。
照明を点ける。
○同・前の道(夕方)
田岐先生が来る。
と今度は集団が来る。
田岐先生「? (気付いて)!」
と急いで退散する。
集団の磐田と友人たち(男三名)は話が盛り
上がっている様子。
磐田尚哉(24) は祐香の彼氏で身なりは恐喝
されたら怖い感じ。
○同・夏芭の部屋・居間(夕方)
夏芭、荷物を置いてテーブルの前に来る。
テーブルの上はミシン、裁縫道具、布など
で散らかる。
昨日のままになっていたため夏芭はそれを
軽く整理する。
和柄、恐竜柄、レザー(ブラウン系)の布生地
でキーケースを制作中らしい。
隣人が帰って来たらしく、隣(磐田)の部屋が
急に騒がしくなる。
夏芭「(隣に)…!」
と気になったが整理を続ける夏芭。
○道(次の日・夕方・18時過ぎ)
(ここから消音で)夏芭、早歩きで帰る。
× × ×
二日目の夕方。
夏芭、早歩きより少しスピードを上げて帰る。
× × ×
三日目の夕方。
夏芭、走って帰る。(消音終了)
○アパート・夏芭の部屋・居間(夜・19時頃)
夏芭「ねぇどう思う?」
夏芭、麻美子と電話中。
麻美子の声「うー…ん」
○服飾専門学校・パソコン室(夜)
ファッションショーのパンフレットや映像
の打ち合わせ中。
麻美子、抜け出して電話をしている。
麻美子「電話より会った時に話さない? 今日は
無理だけど明日だったら行けるから」
○アパート・夏芭の部屋・居間(夜)
麻美子が通話を切る。
夏芭「…(シュンと孤独を感じる)」
すると、隣からバカ騒ぎの声が聞こえる。
夏芭「(隣を見て)…」
夏芭、正直うるさい。
スマホをテーブルに置いてテレビを点ける。
と隣からドンッ! という大きい音。
夏芭「! (嫌な顔で隣を見て)…」
夏芭、途中だったキーケース制作の
続きをやる。
夏芭「…(紛らわすために集中する)」
室内はテレビの音声と隣の騒ぐ声が響く。




