(2)『上京2日目』
〇アパート・夏芭の部屋・居間(次の日・昼・
12時過ぎ)
夏芭、床に布団を敷いて寝ている。
カーテンから日差しが漏れている。
夏芭「…(起きそうにない)」
○服飾専門学校・外観(午後)
麻美子が通う学校。
○同・ロビー(午後)
学生が行き交う。
○同・実習室(午後)
洋裁の授業中。
○同・講義室(午前)
ビジネス担当講師の田岐正吾先生(36)
の授業終了後。
田岐先生「(こそっと)広野さん」
祐香「はい」
ファッションデザイン科一年の広野祐香(19)
舞台衣装やアーティストの衣装の仕事がした
くて通う。
田岐先生「…写真の件なんだけど」
祐香「…」
田岐先生「…」
祐香「(悟って)彼氏のスマホは見ない主義なので。
消えてるかどうかは…」
田岐先生「…」
祐香「忘れて良いと思います。私も忘れてました
し」
田岐先生「…(が気になる)」
○アパート・外観(午後・14時頃)
夏芭、最低限の荷物を持って部屋から出て
来る。
○町(午後)
夏芭、町の散策。
手持ちの地図を確かめながら町をウロウロ
する。
○和雑貨houseノ倉・外観(午後)
場所を借りて個人経営をする和物雑貨店。
手拭い、風呂敷、文房具、手作りキット、
和布端切れ、たまに民芸品など和もの小物
を中心に販売。(営業は9時~18時)
夏芭、散策途中に店の前を通って立ち
止まる。
○同・前(午後)
夏芭「…(と店内を覗いている)」
和雑貨houseノ倉オーナーの倉戸清治(44) が
店先を清掃中だったらしくホースで水を撒く
ために戻って来る。
倉戸「(夏芭に気付いて)鈴木さん?」
夏芭「(倉戸を見て)! (と会釈をする)」
倉戸「(笑い交りで)もう来たの? せっかちだね」
夏芭「…」
倉戸「(出勤は)明日からだよ」
夏芭「…町の散策で通りまして」
倉戸「…ああーそれで。日にち間違えたのかと
思った(笑)」
夏芭「…(と釣られて少し笑う)」
倉戸「どうせだからもう挨拶する?」
夏芭「(え)!」
倉戸、ドアを開けて夏芭を店内に招き入れる。
○同・店内(午後)
レジに従業員の河井沙苗(38) がいる。
小中学生の子供がいる主婦。
倉戸「河井さん」
沙苗「?」
倉戸「明日から入る鈴木さん」
沙苗「(夏芭を見る)」
夏芭「鈴木夏芭です。明日から(会釈しながら)
よろしくお願いします」
沙苗「(会釈を返して)河井です」
夏芭「(また会釈して)…」
○アパート・二階の通路(夕方・16時頃)
夏芭、帰って来る。
部屋の鍵を開けてドアノブに手を掛けるが、
夏芭「(あ)! (隣の部屋を見て)…」
× × ×
夏芭、袋を持って隣の部屋の前にいる。
インターホンを押す。
夏芭「…(あれ)?」
夏芭、インターホン自体鳴っていない…
ような気がする。
夏芭「? (と何回か押す)」
その部屋に住む祐香が階段を上がり
帰って来る。
祐香は年上の彼氏と同居中。
一人暮らしの部屋を借りるよりお金が
浮くし、学校から近い場所にある。
メリットの方が大きい。
祐香「(部屋の前に人がいて)…? (そばに寄って)
あのぉ」
夏芭「? (と見て)!」
祐香「それ、電池切れてて鳴らないんです…
(と申し訳なさそう)」
夏芭「…(えっ)? (インターホンを見ながら、
ええ)…?」
祐香「…」
夏芭「…(あっ)、昨日引っ越して来ました鈴木
です。(袋を見せながら)これ、ジュースとお
菓子なんですけど、どうぞ(と差し出す)」
祐香「(あっ)…。ありがとうございます」
と満面の笑みになって受取る。
素直にお菓子だやったー! と喜ぶ祐香。
夏芭「(祐香の笑顔に)…」
夏芭、祐香の笑顔を見て良い人そうだな
と思い安心する。
○同・前の道(夕方)
二階通路の部屋の前で会話中の夏芭と祐香を
こっそり見ている田岐先生。
祐香のあとを付けて来た。尾行…。
田岐先生「…」




