『フリマ当日 パート2』(5)
○広場(1ヶ月半後・午前)
T『1ヶ月半後』
フリーマーケットが行われている。
友顕、試しに来てみた。
ブースをサーと流し見ながら探している。
友顕「(みつけて)! (と立ち止まる)」
夏芭と麻美子のブース。
夏芭の前には麻美子仕様で見やすく
ディスプレイされている
夏芭のハンドメイド商品がある。
夏芭「…」
友顕「(夏芭を見ていて)…」
友顕、その隣の隣のブースから見て進む。
そして、夏芭のブースに来る…。
商品を見る。
夏芭「(気付いて)いらっしゃいませ」
友顕「…!」
友顕、密かにドキッとしたが目を合わせずに
そのまま物色を続ける…。
恐竜と(和柄名)のキーケースを手に取る。
夏芭のN「初めて恐竜と組み合わせてみたんです」
友顕「(見て)…」
夏芭「(友顕に)…」
キーケースの見た目はレザー(ブラウン系)。
夏芭のN「パッと見はレザーでエレガント」
キーケースを開く。広げて中を見る。
夏芭のN「開くと(和柄名)と恐竜が小さくコラ
ボレーション。もっと主張しても…」
友顕、盗聴で聞いていたあのキーケース
の本物を実際に初めて見た。
友顕「(ふーん、これがそうなんだ。こういう
デザインなんだー)…」
キーケースのデザインは、和柄模様風に
恐竜が配置されている。
オリジナルデザイン生地を作るまではし
なかったものの(酒に酔って覚えてないが
田岐先生のアイデアだけは頭に残ってい
たらしい)、そのような感じを取り入れて
いるデザインだ。
友顕「(キーケースを見ていて)…」
友顕、意外とこのデザインを気に入る。
夏芭に買うと差し出す。
夏芭「ありがとうございます」
友顕「(目が合って)! (ピッと固まる)…」
夏芭「六三〇円です」
夏芭、固まっている友顕から勝手に
キーケースを取る。袋に入れる。
友顕、夏芭が袋に入れている姿を
ジッと見ている。
友顕「(夏芭に)…」
× × ×
夏芭「七〇円のお返しです(と差し出す)」
友顕、ためらいもなく夏芭の手を両手で
キュッと握手する(握る)。
夏芭「!」
友顕「…」
夏芭が思わずビクッと動いた事で
零れ落ちるお釣り。
二人の足元にお釣りが…。
麻美子「? (見て)!」
友顕「(密かに)…!」
友顕、急に我に返る。
自分が今している事の距離感、衝動、
重大さに気付いて固まってしまう。
友顕「…!」
夏芭「……(と固まっている)」
友顕、夏芭の固まっている顔を見て
改めて悔やむ。
友顕「(どどど、どうしよう)…!」
この状況を打破したい。
友顕「(ここからどう逃げよう)…!」
とりあえずまずは落ちた小銭を
拾おう…、拾うっ。
そうだ商品っ…、固まる夏芭から
キーケースの入った袋を取って去る。
夏芭「…」
夏芭、麻美子を見る…。
麻美子「…本当にストーカーされてたの!」
夏芭「(え)……」
夏芭、すっかりストーカーの事を忘れていた。
夏芭「(渋い顔で)うそぉー…! ホントにっ?
(と疑う)」
× × ×
友顕、その場から逃げるように早歩きで
去りながら改めて自分が無意識にしてし
まった事を恥ずかしく思う。
脳がパニック。どうしようっ。
なにせ初めて行動してしまったから…。
出来ればなかった事にして欲しい。
フリーマーケットの様々なブースと人々
の中に早歩きで消えていく友顕…。




