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【悲報】俺のスキル『ネット掲示板』だけど大丈夫そ? -0から始める異世界通信 -  作者: 上井
【悲報】美少女助けるテンプレ展開、ただし所持スキルはゴミとする
11/19

11スレ目

 街灯の光が目を刺し、暗かった倉庫に慣れていた視界が一気に白く染まる。

 そして逆光になった視界に――倉庫の入り口に立つ、一人の少年の姿が映った。


「――――西区にある平屋、屋根が緑で鉄を保管してた、東向きの窓だけがある管理の杜撰(ずさん)な現空き倉庫はここだけみたいだぜェ! ネットに個人情報を書き込んじゃダメな理由がよーーく分かるなァ!?」


 彼は、見慣れない服装の……黒い、身体に沿った布? を上下身に纏っていて。

 身長はぼくより少し上くらい。年も同様に、ぼくたちより1歳か2歳上だろう。

 わりと精悍な顔つきをしてはいるけれど、どこか気の抜けたところを感じる表情に。

 首には、奇妙な形の耳当てのようなものを掛けていた。

 そして少年は、手に収まるサイズに縮小した()()()()()()()()を片手で握り、そこにただ佇んでいた。


「……だ、だれ……」

「ダウナーっっ!」


 妙な恰好の少年に目を奪われていた隙に、その影から飛び出してきた銀色が自分に飛びついてくる。


「心配しましたよ!! 本当に……! よく無事で……!」

「あ、あ……あねき……」


 アルパーが。自分と瓜二つな少女が、自分の胸に飛び込んできていた。

 迷った挙句。けっきょく、ぼくは、姉の肩に手を回した。

 その肩が小さく震えているのに気づいて、目の奥が熱くなる。

 アルパーはひとしきりぼくの身体をかき抱いて震えていた。


「ぐえ……あねき……くるしいよお」

「あ、ああ! ごめんなさい!」


 ぼくがそういうまで、アルパーは離れなかった。

 解放された身体を起こしてから周囲を見渡す。


「そうだ……デルタは?」

「……あれ。デルタは……さっきここで顔からすっ転んでたけどぉ……」


 話題の人物はすぐに見つかった。

 倉庫の奥、そばかすのある顔に盛大に鼻血を流しながら、ある一点を見つめている。

 視線の先には、冷え切った――もはや冷気を感じるほどの―――ファルが立っていた。


  ◇


 オレはしばらく抱き合っていた姉妹から目を逸らし、倉庫の奥で始まろうとしている尋問に目をやった。

 奥で縮こまってるのが、デルタとかいう女御者か。年はオレより少し上だろう。ファルよりかは下か?

 薄くそばかすのある顔。わりと可愛らしめの顔つきに、緑の髪をざっくりと切っているが、今は髪はぼさぼさで鼻血を垂らしている。街娘にいそうな風貌なだけに、なかなかショッキングな絵面だ。


「……めっめッメイド長!? 大変お早いお越しでぇ……」

「――――何故、ダウナー様を連れ去った、デルタ」

「そッ……それにはふか~い訳が!」

「いや。やはり言い訳は、ある程度刻んでから聞こう」


 ファルが、いつの間にか取り出していた短剣の音をちゃきっと立てる。


「おおーーッとファルさんストーップ! オレ、そんなことされたら少年誌に出れなくなっちゃう――」

「アーバット様はしばらくお黙りください」

「あ、はい」


 オレはR-18G(危険域)に指定されてしまいそうな流れを止めるため、勇んでファルの肩に手を置いたが、ファルのぜったいれいどを喰らい2秒で戦闘不能に。弱い! 弱いぞ主人公!


「言い残すことはあるか? デルタよ」


 ファルのその言葉に、鼻血と涙で顔面崩壊しているデルタはなんとか声を絞り出した。


「め……メイド長殿……

 メイド長殿も、今日も良いおみ足ですなぁ……!」


 そう言って、女御者(デルタ)は、溶鉱炉に沈む殺人兵器のごときサムズアップを決める。ちなみに表情はニッコニコ。

 初対面だけどこいつスゲえな。


「ふむ。やはり死になさい」

「うおおおお! どうせここで討ち死ぬなら、皆の憧れメイド長の脚prpr(ペロペロ)してやるぅぅ」


 真正面から飛び掛かり合う二人。おいおいマジでまずいって!


「ま、まってぇファル!」


 そこに待ったをかけたのは、アルパーに瓜二つの妹、ダウナーだった。

 改めて見てみると、眉が下がり気味で髪が短いこと以外、アルパーと見分けるのは至難の業だ。


「ダウナー様。いま、あなたを連れ去った相手を処断する所ですが」

「そ……そこの認識がちょっとぉ……色々あるというかぁ……」


 さっき、デルタが本性現してたからぁ……ちょっとややこしくなっちゃったんだけどぉ……。

 そうダウナーは続ける。

 それからダウナーはしばしの間、毛布とアルパーの間でもぞもぞと動いていたが、すぐに諦めた様に息を吐いた。


「実はぁ。ぼくが、デルタにお願いしたのぉ……」

「……エ~?」


 オレは口をあんぐりと開ける。茫然としているのはアルパーもだった。


「だ、ダウナー? お願いしたって、何を……」

「……お屋敷から出たいって。だから、あの森でデルタがぼくのこと乗せたまま走り出したのはぁ……ぼくが言ったからというかぁ……」

「そ……そそそそうじゃん! そういやそうなんすよォ! メイド長、わたし、ダウナー様のご指示の元動いてましたァ!」


 デルタが虎の威を借りたかのように弁明をし始める。ファルは眉根をひそめていたけれど、じきに短剣をどこかにぱっ、としまって(オレでは目で追えない速度だった)、デルタに座り直して釈明を求めるように促した。

そこのお前! レビューありがとうございます やる気がむんむん湧いてきます

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