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【悲報】俺のスキル『ネット掲示板』だけど大丈夫そ? -0から始める異世界通信 -  作者: 上井
【転生】俺のスキル、『ネット掲示板』なんだけど大丈夫そ?w
1/19

1スレ目

「きみのチートスキルは、誰でも使える仮想掲示板。きみが許可した全ての人が利用できるけど、誰かが書き込んだ内容の削除・改竄は一切できないよ」


「――ネット掲示板じゃねえか!」


 背景には虹。地には雲。太陽の光は後光のように立派な城壁に差し込んでいて、まさしくここは天上の世界だった。

 そんな世界に召喚されたばかりのオレは、ぽかんと口開けて思考停止。

 目の前には、全員が輝かんばかりのイケメンと美女の神々が数人。全員にやにやと、いやーな笑みを浮かべている。

 ……その一番前に、今オレにふざけたスキルを与えた女神様はいた。

 金の髪は絹のように美しく、目から鼻、唇にかけてのラインはぞっとするほど端正だ。

 その女神様はやけに神妙な顔をしているが、ふと口の端を見るとひくひく震えている――おい、笑い堪えてるのバレてんぞ。


 オレは半ばヤケになりながら、こんなことになった経緯を思い返していた。




 ――阿鳩(アバト)ユウ。純日本人16歳。は、一言でいうと引きこもりニートのインターネットガチ勢だった。最悪な自己紹介だ。


 その日、そのスレッドを見つけたのは、マジでたまたまだった。

平日の深夜から、オレは毛布にくるまり、スマホではイカがインクを塗りたくる実況動画を再生しながら、ノートPCのキーボードをがちゃがちゃ言わせて電子の海に潜るお仕事(日給0円)をしていた。

オレが入り浸っている掲示板にはろくなスレ(話題)が立っておらず、ネットニュースでも眺めるかと移動しかけた瞬間、


 その中の――ひとつのスレッドが、たまたま目に留まった。


【転生】安価で(適当な)チートスキル決めて人間に異世界転生させる


 はーんwと鼻で笑いながらクリック。常に鼻で笑っていくスタンスじゃないと、ネット掲示板を使うのは難しいからね。


143:またこんなんかよ 俺TUEEEは見飽きたって

144:逆張り乙 お前みたいな奴が結局一番なろう系好き

145:ここまでテンプレ

146:はいはい それじゃあ次行くよ

   次()()()人間を>>157のスキルで飛ばす


 オレはそのページを流し読む。書き方に違和感はあるが、どうやら異世界転生とかチートスキルとか言ってるあたり、どうせインターネットに骨まで浸かった人間たちのよくある妄想だ。

 は~と、寒くなってきた室内で指に息を吹きかけてから、オレはキーボードに指を走らせ、エンターキーをタンッと小気味よい音を立てて打った。


152:平日の深夜からチートスキル考えようの会とか

   お前ら暇すぎだろwwww


 こんな――こんな反射だけで書き込んだたった一言の煽りが。このエンターキーのたった一打が、オレの運命を滅茶苦茶に変えるなんてこと。想像できるわけないだろ?

 結論から言うと、その瞬間、オレの身体はふわっと宙に浮いた感覚を覚えた。

 何かを考える暇もなく、ぴしゃーん! と音を立てながら光の柱がベッド全体を包み込んでいく。


「なんじゃああああーーーーー!??」


 珍妙な叫び声をあげながら、光に吞まれていくオレの視界。その最後に映ったのはPC画面だった。


155:聖女に転生して最強の治癒魔法使えるようになる

156:防御力∞魔力∞だけど攻撃力1になるスキル


1()5()7()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()使()()()()()()()()()()


158:>>157 クッソwwwwwwww

159:>>157 いいね じゃあそれで始めるよ


「なんじゃそりゃあああああああ!?」


 断末魔の声をあげながら――オレ、アバト・ユウの意識は真っ白に染まった。


なんか楽しくなってきた!

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