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なろうラジオ大賞

さよなら、ルームメイト

作者: 地野千塩

 今、部屋で途方に暮れていた。


「私の部屋、汚い。この部屋どうすればいいの?」


 洋服、下着、コスメ、ぬいぐるみ、ネット通販の段ボール箱、資格のテキストが散らばり、気づくと汚部屋になっていた。元々掃除が嫌いではない。むしろ好きな方だったが、完璧主義が災いし、だんだんとやる気をなくしていた。


「三十五歳で子供部屋おばさんはやばい。掃除しなきゃ!」


 といってもやる気も出ない。ネット色々検索すると、推しを部屋に置くと掃除のやる気が出るというアドバイスを見つけ、試してみることにした。推しのBLアニメキャラのアクリルスタンドを置き、毎日話しかけながら、掃除を始めた。レイという金髪碧眼王子様キャラの推しは、汚部屋に全く似合わず、スイッチが入った。


「レイくん、今日は玄関だけ掃除できたよ」


 次の日は洗面台と風呂。


「レイくん、水回り綺麗にすると気分いいね」


 次々に服やコスメ、洋服を捨てる。


「レイくん、資格のテキスト、要らないよね? 精神安定剤がわりに買ったものは全部捨てよ。やっぱり掃除すると気分いいわ」


 気づくと部屋は綺麗になり、推しのアクリルスタンドに似合う場所になってきた。いつの間にか推しがルームメイトのような存在になっていた時。


 掃除で運も良くなったのだろうか。転職が成功し、友達の紹介で彼氏も出来てしまった。


「もしかて、もうレイくん要らないかな?」


 彼氏がこの推しを見たら、いい気分はしないだろう。それにもう推しがいなくても大丈夫な未来が想像出来てしまう。


「ごめんね。今までありがとう。さよなら……」


 涙を流しつつも、推しをゴミ箱に捨てた。応援していたつもりだが、逆に推しに応援されていたのかもしれない。寂しいけれど悲しくはなかった。推しを捨ててもきっと明るい未来があると信じてるから。

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