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第14話 捜索、そして

 それからは、城中を探し回った。城の兵士も含めて、総動員だ。

 だが、中々見つからなかった。フリードもそれは同じらしく、捜索は困難を極めていた。


「どこにどうやって隠れているんだ? これ」


「――もしかして、だけど」


 サラ姫が、そこで耳打ちをしてくれた。


「お父様がね、自分と自分の側近だけが得をできる、隠し通路を作っているって噂があったの。もしかしたら、そこにいるのかもしれないわ」


「隠し通路なんてあったのか……」


 噂、とサラ姫は言っているが、ここまで探していないのなら可能性はある。一応城外の可能性もあるが、フリードに華を持たせるつもりなら、城外に出て下手に見つかるような真似はしないはずなのだ。


 どこかで、フリードと出会うタイミングを、表に出てくるタイミングを伺っているはず。


 隠し通路があるかも、という視点で、ありとあらゆる床や壁を、俺の目で見てみる。


 すると、確かに隠し通路があった。廊下に木製の装飾が張られているのだが、その一部が開くようになっているのだ。

 ゆっくり、周りを見渡して、誰も居ないのを確認して、そこに入っていく。


「お前か!」


「え!?」


 そこに、居た。勲章を持って、隠し通路の小窓から外を見ている兵士が一人。

 目で見た限り、どうやら、小窓から見える位置にフリードが来たらここのことを教えるつもりだったらしい。

 間に合った。そのことに、とりあえず安堵する。


「ど、どうしてここが分かったんだ!? 異世界人の能力は、目で見た人間のことが分かるってだけのはず!」


 ああ、そういえば。王様に説明を求められたときに、目で見れば相手のことが分かる、としか言っていなかったな。なるほど、バレるわけがないと思ってここに逃げ込んだのか。


 一緒に来ていたサラ姫が、勲章を指さした。


「さあ、それをさっさと返しなさい。そうすれば、お父様には言わないでおいてあげる」


「い、嫌だ! 王様にはもう、俺が協力者だってことは知られている! フリード王子以外にこれを渡したら、俺の立場が危ないんだ!」


「……お父様、フリードに入れ知恵しただけじゃなく、部下まで貸していたのね」


 あきれ果てた、という感じが言葉の節々から伝わってくる。

 だが、だからといってこのまま諦めるわけにはいかない。どうするか。


「――あ! サラ姫」


「何?」


「イリス様にさ、お願いしたいことがあるんだ」


 咄嗟に思いついた案を、サラ姫と兵士に話してみた。


  ◆


 王が帰ってきた! まずい! まだ、見つけられていないのに!

 焦りに、思わず足が早まる。


「おい、勲章戻ってきたってよ!」


「何!?」


 そんなときに、どこからか声が聞こえてきて、自然と足が止まった。 勲章が戻ってきただって? バカな!


 そんな訳はない、と思いながら玄関ホールに向かう。すると、本当に勲章が戻ってきていたのだ。


 勲章は俺が取り戻す手筈になっていたのに、なんで戻ってきているのか! 勲章を預けた騎士を問い詰めなければならない。


「フリードよ、これはどういうことだ?」


 背後から王様の声が聞こえ、ハッと息を飲む。


「わ、分かりません。裏切られました」


「言い訳か?」


「そ、そんなつもりはありません!」


 くそ、くそ、くそ! どうしてこんなことに!

 王様は少しの間こちらを見ていたが、やがて口を開く。


「まあ、いい。約束を破ったあやつのところに行くぞ」


「はい!」


 何とか話題がそっちに変わって、ホッと一息つきたい気持ちになった。早足で王様に付いていく。

 そして、見つけた。勲章を確かに預けたはずの兵士を。


「おい、貴様! どういうつもりだ!」


 早速、責め立てる。兵士はビクッと体を震わせながら言った。


「ど、どういうつもり、とは?」


「ふざけるな! あれほど、俺以外の者に勲章を渡すなと言っただろうが! 約束を破った今、どうなるか分かっているだろうな!」


 そう、約束を破った今、遠慮をする理由はない。今すぐ処刑して--。


「……間違いなく、聞いたわ」


「何!?」


 突然、声が聞こえて思考が途切れる。声がした方を見ると、そこにはマイハニーと異世界人がいた。隠れていたのか!


「お父様、これは八百長の証拠ですよね?」


「だ、だからなんだというのだ?」


 王様も流石に予想していなかったのか、思わずというふうに聞き返した。


「ねぇ、イリスも聞いたでしょ?」


「イリス!?」


 呼ばれて、同じく隠れていたイリスが姿を見せた。何と言うことだ、妹君までいたのか! これでは、言い逃れができない。


 イリスが口を開く。


「お父様。この方は、フリード様に脅されていたのだと聞きました。だから、言質を取ろうと思って、待っていたのです」


「そ、そんな――」


「お父様。フリード様に正当なる裁きをお願いいたします。そしてこの騎士の方に、寛大な処遇を」


「ぐ」


 流石の王様も声が出なかった。私もだ。この王様が、イリスを溺愛するあまり、イリス相手に我を通せない情けなさを持ち合わせているのは知っている。この状況は覆せない。


「わ、分かった。そこの騎士よ、罪はもう問わぬ。行け」


「は、はい! ありがとうございます!」


 思った通り、騎士の罪は不問になった。残るは、私の処遇のみ。


「そして、フリード。お前はこの後、ワシの部屋に来い」


「わ、分かりました」


 覚悟をしなければならないと分かり、胸が苦しくなる。この後、どうなるのだろう。誰かを睨み付けたくなったが、相手がいないので、床を睨むしかなかった。


 

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