6 悪夢
お腹に大きな穴が開いたまま、俺は地面に倒れ込んでいた。痛みが全身を貫き、呼吸すらまともにできない。視界がぼやけ、まるで世界が遠ざかっていくように感じた。
次第に意識が薄れ、目の前が真っ暗になっていく。体の感覚が遠のき、俺は深い闇の中に引きずり込まれていった。
そして、俺は夢の中へと落ちていった。
——また、この夢か……
いつも見る、あの悪夢が始まった。目の前には、火の中で燃え上がる影が見える。人の形をしたその影は、絶望的な状況の中でもなお、優しい瞳で俺を見つめていた。
「なぜ……」
その影は何かを言おうとしているが、声が聞こえない。俺は必死にその言葉を聞き取ろうとするが、いつもと同じように何も理解できない。
炎が激しく燃え盛り、影はその中で静かに微笑んでいる。だが、その瞳には深い悲しみが宿っていた。
「俺は……」
何もできない無力感が胸を締めつける。目の前の光景が何を意味しているのか、俺にはわからない。ただ、その影が何か重要なことを伝えようとしていることだけは感じ取れた。
「助け……なければ……」
その思いが心の中で繰り返される。しかし、体は動かない。何もできない。炎が俺の視界を覆い尽くし、全てが白い光の中に溶け込んでいく。
「誰なんだ……君は……」
最後にその問いが頭に浮かんだ瞬間、再び意識が現実へと引き戻される感覚がした。体に感覚が戻り始め、薄れかけていた痛みが再び襲ってきた。