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蒼月のルナ  作者: くろね
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1 普通の高校生

開いてくれてありがとうございます!

小説を書くのは初めてなので読みにくいかもしれませんが楽しんでくれたら幸いです。

俺は成瀬黒木なるせくろき。どこにでもいる普通の高校生だ。


「普通の高校生です。」って、アニメやラノベの主人公がよく言うけどさ、大抵その「普通」ってやつ、全然普通じゃない。例えば、可愛い幼馴染がいたり、血の繋がりのない妹がいたりする。いやいや、そんなの普通じゃないだろ。


俺にはそんな特別な存在はいない。幼馴染もいなければ、妹もいない。もちろん、学園のアイドルがなぜか俺にだけ特別な感情を抱いているなんて展開もない。


俺の「普通」は、朝起きて、学校に行って、授業を受けて、家に帰る。ただそれだけだ。何の変哲もない、平凡すぎる毎日。それこそが本当の「普通」だと思うんだ。


今日は数学の授業中。先生の声が教室中に響き渡るが、頭の中ではどうでもいいことばかり考えている。窓の外を見れば、青空が広がっていて、遠くの方に飛行機雲が一筋伸びている。


「こんな日には、どこかに出かけたくなるな……」


そんなことを考えながら、ノートにペンを走らせる。周りを見渡せば、同じように退屈そうな顔をしたクラスメイトがちらほらいる。そりゃそうだ、ただ公式を覚えて、問題を解くだけの授業だ。面白いわけがない。


でも、それが俺の日常だ。特に驚くようなこともなく、ただ淡々と時間が過ぎていく。


これが、俺の「普通」。何のドラマもない、ただの日常。


そんなことを考えていると、教室のチャイムが鳴り響いた。授業が終わると、すぐに背中をバンバン叩いてくる奴がいた。


「よぉ、黒木!またボーっとしてたのか?」


振り返ると、そこにいるのは山田裕介やまだゆうすけ。こいつは、ただの陽キャだ。なぜか入学してからやたらと俺に懐いている。理由はさっぱりわからないけど、こうして毎日のように話しかけてくる。


「いや、別にボーっとしてたわけじゃないけど……」


「お、そうか!ところでさ、今日放課後にカラオケ行かないか?みんなでさ、盛り上がろうぜ!」


陽気な笑顔を浮かべながら、裕介が俺に手を差し出してくる。正直、こういうノリはあまり得意じゃない。だけど、いつも断るのも悪い気がして、少しだけ考え込む。


「……悪い、今日はパスするわ。」


「えー、なんだよー。たまには一緒に行こうぜ?」


「いや、今日はちょっと疲れてるし、また今度な。」


そう言って、俺は軽く手を振りながら教室を後にした。裕介の残念そうな声が背後で聞こえたが、俺はそのまま家に帰ることにした。


家に着くと、俺は玄関に靴を放り投げ、そのままキッチンへと向かう。夕食の準備をしなければならない。とはいえ、別に特別な料理をするわけじゃない。冷蔵庫を開けて、中にある材料をざっと見回す。


「さて、今日は何にしようか……」


冷蔵庫の中身は至ってシンプルだ。卵、野菜、残り物の肉。それらを手に取って、適当にフライパンにぶち込む。オムライス、いや、簡単なチャーハンにでもしよう。


俺は一人暮らしだから、誰かが作ってくれるわけでもない。両親は仕事で海外に行っているし、家には俺一人しかいない。


フライパンの中で材料がパチパチと音を立てる。油の跳ねる音を聞きながら、俺はぼんやりと今日のことを考えていた。


「カラオケか……陽キャには分からんだろうな、こうやって家で一人でのんびりするのが、どれだけ贅沢かってことを。」


まあ、カラオケも悪くないんだけどさ。だけど、毎日誰かと一緒にいるのは、俺にとっては少し重い。家で一人でゆっくりする時間が何よりも大切だ。食事を作りながら、そんなくだらないことを考えていた。


チャーハンがいい感じに炒め上がると、俺はそれを皿に盛り付け、テーブルに持って行く。


「いただきます。」


一人静かな食卓で、俺はゆっくりと食事を楽しむ。テレビはつけっぱなしだが、特に見るでもなく、ただ音が部屋に流れているだけだ。スプーンを口に運びながら、ふと頭の中にくだらない豆知識が浮かんだ。


「そういえば、チャーハンって、中国じゃ『炒飯』って書くんだっけ。『炒めるご飯』って、まあそのまんまだよな……」


俺は一口チャーハンを食べながら、さらにどうでもいいことを考える。


「でも、実際の中国では、チャーハンってそんなに家庭料理として食べられてないって話を聞いたことがある。なんでも、炊きたてのご飯を使わないから、失礼にあたるとかなんとか……うーん、そう考えると、俺が今食べてるこのチャーハン、失礼極まりないってことか?」


自分の考えに自分で笑いながら、もう一口チャーハンを口に運ぶ。


「ま、そんなこと言ったら日本のカレーだってインドのカレーとは別物だしな。結局、料理ってのは国や文化によって変わるものなんだよな……。」


頭の中でどうでもいい豆知識を巡らせながら、俺は黙々とチャーハンを食べ続けた。


「これでまた明日も同じような一日が始まるんだろうな……いや、別に悪くはないけどさ。」


そんなことを思いながら、俺は今日もまた、特に波乱もない普通の日を終えていく。


翌朝、俺は目覚まし時計のアラーム音で飛び起きた。


「うわっ、やべぇ!」


時計を見ると、すでに学校に行く時間を大幅に過ぎている。布団の中でぐずぐずしていたせいで、完全に寝坊してしまった。


「なんでこういう時に限って、目覚ましがちゃんと鳴らなかったんだよ……」


一応、毎晩ちゃんと目覚ましをセットしてるはずなのに、どうやら今日はタイミングが悪かったらしい。いや、もしかしたら単に俺が止めてそのまま二度寝したのかもしれないが、そんなことを考えている余裕はない。


慌てて布団を跳ねのけ、制服に着替える。髪を整える暇もなく、靴を履いて家を飛び出した。急がなきゃ、遅刻確定だ。


「やばいやばい、これ絶対間に合わないだろ……」


俺は焦る気持ちを抑えつつ、いつもの道を全力で走った。しかし、どう見積もってもこのままじゃ時間に間に合わない。そこで、俺は思い切って近道を選ぶことにした。


いつもは通らない人通りの少ない裏道を駆け抜ける。多少危険かもしれないが、背に腹は代えられない。


「よし、もう少しだ……!」


心の中で自分を鼓舞しながら、俺は必死に足を動かし続けた。


学校に遅刻しそうだという焦りから、俺はいつもは通らない裏道に足を踏み入れた。人通りが少なく、早く抜けられる道を選んだのだが、周囲の静けさが逆に緊張感を煽る。


「早くしないと、マジでヤバい……」


そう自分に言い聞かせながら、俺はさらに足を速めた。しかし、その時だった。


ふと、風の流れが変わり、上空から何かが降りてくる気配がした。


「……なんだ?」


思わず立ち止まり、空を見上げた瞬間、目を疑うような光景が飛び込んできた。青空の中、まるで天使が舞い降りるように、一人の少女がゆっくりと降りてきたのだ。


彼女は水色の美しいツインテールを風に揺らし、どこかファンタジー世界から抜け出してきたような服装をしていた。まるでこの現実とは違う異世界の住人のように、彼女の姿は輝いて見えた。


「……誰だ?」


呆然と立ち尽くしている俺に気づいたのか、彼女はふと目を合わせ、驚いたような表情を浮かべた。そして、眉間にしわを寄せ、少し苛立った様子で言葉を放つ。


「なんでいるの?ひとよけはしたはずなのに……っち。」


彼女の声には明らかに不満が混じっている。俺は何が起きているのかさっぱりわからず、ただ彼女を見つめ返すだけだった。


「貴方、悪い事は言わないから、ここから立ち去りなさい。」


そう言って、彼女は一歩俺に近づいてきた。彼女の存在感がさらに強まり、俺は何かに引き寄せられるように感じた。しかし、その瞬間、彼女が俺に触れた途端、彼女の表情が驚きと困惑に染まった。


「えっ、なんで……」


彼女の声が震えている。まるで、今まで感じたことのない何かを感じているかのようだった。

しかし、俺はそんな彼女の様子に気づく前に、別の重要なことを思い出した。


「やべぇ、遅刻する!」


頭の中が一気に現実に引き戻され、俺は慌ててその場を離れ、再び全力で学校へと走り出した。彼女の困惑した声が背後に残されたまま、俺はただ時間との戦いに集中した。


「あれ、もしかして……映画の撮影かなんかだったのかな?そうだよな、あんなファンタジーっぽい格好してる人、普通に考えてありえないし……」


頭の中でそんなくだらない推測が駆け巡る。まるで映画のワンシーンに迷い込んだみたいだと、自分で勝手に納得しながら、俺はひたすら走り続けた。


「ま、そうだとしても、そんなことに関わってる暇はないんだよな……」


学校への道をひた走りながら、頭の片隅に残る奇妙な光景を振り払おうとする。


「しかし、何であんな場所で撮影なんかしてるんだ……いや、むしろ、なんで俺がそれに巻き込まれてるんだ?」


そんなくだらないことを考えつつ、俺は学校への道を急いだ。


何とか遅刻ギリギリで学校に滑り込んだ俺は、教室のドアをそっと閉め、席に着く。息を整えながら、ふと窓の外を見ると、いつも通りの景色が広がっていた。


「まるで、さっきのことが嘘みたいだな……」


教室には先生の声が淡々と響き渡り、黒板には今日の授業内容が整然と書かれている。けれど、頭の中ではさっきの出来事がぐるぐると回り続けていた。


「あの不思議な雰囲気のある少女、一体何だったんだ……?」


ファンタジー映画の撮影だと自分に言い聞かせたものの、やっぱりどこか納得できない部分が残っている。あの異世界の住人のような少女、そして自分が彼女に触れた瞬間に感じたあの奇妙な感覚。全てが謎だらけだ。


先生が板書する音が響く中、俺はペンを握りしめるものの、ノートには一向に何も書かれない。頭の中は、あの少女の姿でいっぱいだった。


「結局、遅刻もせずに済んだけど……あれは何だったんだ?」


ぼーっとしながら窓の外を眺め、青空に浮かぶ雲を追いかける。さっきの出来事が現実だったのか、それとも夢だったのか、はっきりしないまま、ただ時間だけが過ぎていく。


先生の声が遠くで聞こえるけど、耳に入ってこない。クラスメイトたちの姿も、いつもと変わらないはずなのに、どこか遠くに感じる。


「もしかして、俺、何かおかしくなってるのか?」


そんなことを考えているうちに、いつの間にか授業は終わりに近づいていた。ノートにはほとんど何も書かれていないし、先生が何を話していたのかも覚えていない。ただ、さっきの出来事が頭から離れず、ずっとぼーっとしていた。


「とりあえず、今日は何事もなく終わってくれればいいけど……」


そんなことを考えながら、俺は再び次の授業の準備を始めた。



読んでくれてありがとうございます!!

のんびりやっていきたいと思います。

是非応援お願いします。

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