9、それぞれの選択
『食事会』の四日前。
早朝の、カウンター前に陣取って、俺と乙女さんと柑奈は、どっとため息をついた。
積み上げられた、ギルド会員の証であるバッジを見つめて。
「てんちょー、とりあえず、今日の営業はやめるしかないんじゃない?」
「本当は明日からだったんだけど……仕方ないわね」
数にして三十個あまり。問題は、抜けたメンバーの中に、かなりの数のメイドさんたちが含まれたこと。
イベントが終わった後の通常営業に、確実に響くレベルだ。
「やっぱ、いきなりプロ意識の話とか、するんじゃなかったかなあ」
「いいのよ。あのぐらいガツンと言ってやったほうが。真面目にやってる子と、仕事もしないでお客と喋ってるだけの子、同じ給料とか、ありえなさすぎパラダイスでしょ?」
「接客を、友達付き合いと勘違いするってのは、よくある話だしな」
そういう意味でも、俺は氷橋を真っ先に、接客メンバーから外したんだ。
あいつが俺を恨みに思ってるのは、そういう事。
『私はずっと、卯月さん専属でやってたんだ! 勝手なことすんな!』
『そもそも、宇藤さんは大川さんの補佐であって、メインの接待は大川さんだ。そっちも受け持ってもらわないと』
『嫌だ。あんなクマとか、どうでもいいし。キショイ』
その発言で、俺はもう、処分を改める気を無くしていた。
『言っとくけど、君のこれまでやってたのは、接待じゃないぞ』
『はあ? なんでそんこと言えんの?』
『君が、宇藤さんに接待されてたんだ。ギルドマスターの乙女さんの顔を立ててね』
結局、氷橋はキレて席を立ってしまい、それ以上のことは言えなかった。
そして彼女は、昨日のうちにギルドを辞めて部屋を引き払った。
「組織の再編には、こういうことが起こりがちですけど、何度やっても慣れませんね」
「私が厳しくできなかったのが、いけなかったのよ。孝人君、ごめんなさい」
「しっかし、氷橋はともかく、柚木と古郷も辞めちゃうとはねぇ」
柚木に関しては、正直、申し訳ない気持ちもある。
あいつの背景を考えれば、無くした夢の代わりに、虚勢で埋め合わせるしかなかったんだろうから。
もう少し詳しく話を、いや、これはあいつの言う『持てる者』の傲慢だろう。
「柚木、さんに関しては、俺も機会を見て謝るつもりだ。正直、当日の会場運営に関しては、彼に任せたかったし」
「あれ? 初日の発言って、あいつへのイヤミじゃなかったんだ?」
「当てこすりではあったけど、半分以上は先任の働きに期待してたんだよ」
俺との言い合いの後、柚木は部屋をきれいに掃除して、乙女さんに挨拶だけ残して出て行ったそうだ。
出て言った理由は、そんな想像をするのさえ、失礼か。
「ただいまぁ」
「おにいさん! おはいまー!」
今日も元気いっぱいのヤギの模造人と、トレーニング帰りでくたくたになったネコがやってくる。
素早くメイドが文城の腹に抱き着き、すれ違うように鈴来が俺の体に飛び込んできた。
「ふみっちぃ~、おはようございますの、ハグアンドむちもふぅん~!」
「おにいさん、だいすきー!」
「うひゃああああっ!? やっ、やめて、カンナちゃ、おなかが、あひいっ!?」
「ばっ、か! いきなりくんな! あぶねえだ、ぐええええ!」
かしましい二人が席に落ち着いたところで、文城は朝食を出しながら、不安そうに話題を切り出した。
「帰りに、Pの館で小弥太君を見たよ。ばーかって、言われちゃったけど……」
「……子供かよ。いや、子供なのか」
「おにいさんのこと、バカって言ってた! うち、小弥太にバカって描いといた!」
「やめなさいって。そういうの、キリがないから」
古郷の行動に関しては、意外とも順当とも言えた。
使っていた部屋はそのままにして、バッジと引き換えに、ギルド預かりになっていたチケットを引き出して。
まるっきり、家出ごっこをするガキの仕草だ。
『な、なんで、俺のはこれだけなの!? スヴィとかもっと貰ってたじゃん!』
『あのね。これは毎月、貯蓄分として預かってたものなの。小弥太君、入れるのを忘れた月が多かったでしょ?』
『なんだよそれ!? 俺知らないよ! なんで言ってくれなかったんだよ!』
結局、乙女さんが余分にチケットを持たせてやって、その場は丸く収めた。それ以上ごねてたら、確実に俺がぶん殴ってたろうけど。
「乙女さん。今後は、古郷みたいな真似は、許しちゃダメですからね」
「……そうね」
「個人の事情は尊重します。でも、ギルドに所属するなら、取り決めは守らせないと。それが緩めば、あとはもう、ボロボロに腐って崩壊するだけです」
「問題は、帰ってきた後の話だよ。どうせ古郷の奴、無一文になって、泣きながら店長に甘えに来るに決まってんだから」
ありえる、ってかそうなるだろうという、未来が見える。
「その時は受け入れてしまうけど、いいわね?」
「今度はしっかり、手綱を握ってくださいよ。相手が子供、いや元子供であろうと厳格に対処します」
「……模造人の転生者って、見た目で分からないから、判断に苦労するわね。ここに来た事情を、突っ込んで聞くのも、心苦しいし」
たしかに、俺もあんまり過去のことは話したくないし、屈託なく話されて、ぎょっとしたこともあるからなぁ。
「んじゃ、今日も元気に働くかぁ。めんどくせえ~」
「ニヤニヤするか、愚痴言うか、どっちかにしてよ」
「癖なんだよ。ほっといてくれ」
すでに資材の手配は終わったから、あとは会場設営やこまごまとした調整と、仕入れ先への支払いだけだ。
なんて、見通しが通り始めると、途端に暗雲が垂れ込めるのがイベント運営なんだが。
(でかいトラブルだけは、勘弁してくれよ)
「じゃあ、文城借りてきますね。弁当、どうします?」
「気にしなくていいわ。本格的な作業は明日からだし、今日の仕事も早めに切り上げて、休憩にしてちょうだい」
「あざっす。じゃ、行こうか」
「うん」
みんなに見送られて外に出ると、俺はメモ帳を取り出して内容を確かめる。
「文城、昼飯なに食べたい?」
「なんで?」
「食いたいもので、回る順番が変わるからだよ。城下町、ぱちもん通り、P館東、どこで食う?」
文城はぱっと顔を輝かせ、それから恥ずかしそうに眼を逸らした。
なるほど、そういう事か。
「『EAT UP』でビックダブルチーズね、了解」
「き、今日は、やめとく! その……ヘルシー、なやつにしよう、かなって」
「なら、趣向を変えて城下町行っとくか。一本うどんの店があるらしいし」
「一本うどん?」
「俺の知ってる奴は、こう、ぶっとい一本のうどんがにょろっと入ってるので――」
そんなことを話しつつ、俺たちは甲山組を目指して歩いていく。雑居ビルの前には結構なヒトがごった返していて、見覚えのある姿もあった。
「おはようございます、小倉さん! 照明機材の搬入はばっちりですよ!」
「ありがとうございます。明日からの設営も、よろしくです」
「しかし、今回はずいぶんと張り込んだもんだ。お前が音頭を取ったんだろ?」
カピバラの倭子さんと打ち合わせをしていた親方が、顎をさすりながら、詰み上がった機材を眺めている。
こっちの注文通りだけど、野外ライブでも始められそうな物量だ。
「乙女さんの希望でもあるんですよ。南条さんがやってた頃は、屋台村も含めて、でかいお祭りみたいだったって」
「南条の親分は、派手好きだったからなぁ。乙女ちゃんは、ガキどもの面倒にかかりきりで手が回ってなかったし。お前が来たおかげで、ずいぶん助かってるだろうさ」
「だといいんですけどね。親方、こっちの伝票にサインお願いします。あと、借り受けた一階の料金ですけど――」
会場の設営に関しては、これで良し。やっぱ、仕事をきちんとしてくれる職人さんは、どこに行っても、世界の宝だわ。
文城は、俺がメモを取る様子を覗き込んで、両手をにぎにぎしていた。
「どうした?」
「僕も、何か書いたほうが、いいかなって」
「じゃあ、はい」
俺はメモを数枚千切り、鉛筆と一緒に手渡した。ネコはその場に立ち止まって、困ったように笑う。
「なにを、書いたらいいかな」
「……俺が親方や、倭子さんと喋ってるのを聞いて、分からなかったことは?」
「うん。なんか、色々あった、気がする」
「その単語を、耳に聞こえた奴だけでいいから『?』を付けて、片っ端からメモってけ」
細かい仕事のやり方や内容を教えるより、まずは全体の輪郭を捉えていく方法を知ってく方がいいだろう。
そうすれば、これから文城が『本当にやりたいこと』ができた時のためになる。
「で、暇があったら、俺や親方、倭子さんとかに聞くんだ。もちろん、教わったらお礼を忘れずにな」
「うん。ありがとう、孝人」
「よしよし。早速できてるな、偉いぞ」
ああ~、文城の素直さが魂に染みてくるぅ。威張り散らすつもりはないけど、教わる側にも、虚心坦懐さがあって欲しいよなぁ。
まさに魚心あれば水心――。
「ああっごめん! そこ避けてぇっ!」
とっさに俺は横っ飛びに何かを避け、
「ぎにゃああああっ!?」
反応の遅れた文城が、絶叫しながら水浸しになっていた。
「ぶえっ! し、しょっぱあああああっ」
「ほんとゴメンっ! 活〆にするにしろ、手早くやんないとならなくてさー!」
巨大な樽のような物を引率していた、キツネの模造人が、頭を下げながら近づいてくる。
樽の中では、激しく何かが暴れまわり、今も水を周囲にはねかせていた。
「えっと、その中身は?」
「十八階で、とれたてピチピチ、魔界の海のおさかなたちだよー! 『大しけや』さんが食材獲りに行くって言ってたから、同行させてもらったんだ」
「ってことは、『食事会』で使う奴ですか」
「そそ。注文の品はこれで上がったから、後はみんなに喜んでもらえる料理に仕上げるだけだねー」
クリスさんは嬉しさいっぱいって顔で、屈強なギルメンにたちに魚を運び入れさせている。そんな彼らに混じって働く姿に、俺は声を掛けた。
「仲代君、お疲れ様」
「はい」
それ以上の会話はなくて、そのまま荷物を運び入れるのに集中してしまう。それでも、ああやってリアクションしてくれるだけ、変わったとも言えるか。
荷物の運搬をやっていた仲代君は、そのまま『EAT UP』の方に出向して、作業手伝いに入っていた。
「彼、力持ちだし、真面目にやってくれるし、助かってるよー。うちの子たちとも、結構打ち解けてるしー」
「荷物持ちとはいえ、上階層入りは先越されちゃったかぁ」
「物は相談なんだけど、彼、うちに引き抜いてもいい?」
意外な申し出に、俺はちょっと考えてから、頷いてみせた。
「本人がいいって言うならですけどね。でも、どうして?」
「やりたそうにしてたから、移動中の料理番をやってもらったんだけど、結構上手だったんだよー。それと『大しけや』の野村さんと同郷で、同じ町出身だったみたい。かなり会話も弾んでたからねー」
なるほど、そういう事ならむしろ、こっちからお願いしたいところだ。
「最初はうちから通いにして、頃合いを見て、クリスさんか野村さんの預かりってことでお願いできますか?」
「りょうかーい。あ、文城君お帰り。ごめんねー」
まだ少し磯臭かったけど、体を乾かして帰ってきた文城は、くしゃくしゃになったメモ用紙を悲しそうに差し出してきた。
「そのメモも、うちで弁償しようか。どんなのがいい?」
「そっちよりも、あとで飯食いに来た時に、例の奴をおごってやってください。メモ帳はこれから『てなもんや』で買いますから」
「じゃあ、ダブルじゃなくてクアドラプルにしてあげるね! 今からでもいいけど?」
一瞬、野獣の目つきになった文城を、ぐいっと引き戻す。
今日はヘルシーにするんでしょ。
「残念。今日は城下町で、一本うどんです」
「『ささはら』の一本うどん? あそこはホント美味しいから、絶対食べたほうがいいよー!」
「さすが、同業者の調査に余念がないっすねー」
「おいしいものが好きなだけだってば。ちなみに、甘味は『大納言』が最近の一押し!」
「グルメレポ感謝っす。んじゃ、こっちの伝票にサインをお願いします」
その後、てなもんやで当日のスケジュールを打ち合わせる頃には、気が付けば昼時になっていた。
「おなか、空いたね」
「だなー」
「それじゃ、ちょいと急ぐとしますか」
昼にうどんを食いに行くと聞いて、同行を申し出た元町さんと一緒に、俺たちは城下町へ移動していた。
一本うどんの店『ささはら』は、大通りを北東方面へ進み、左手側の見過ごしそうな小路に入った奥にあった。
「えい、らっしゃい」
入り口は、障子張りに木枠の引き戸で、店内も木造、土を固めただけの床、木の机に醬油樽の座席と、時代劇のセットそのものだった。
ねじり鉢巻きに紺染めの着物のイヌが、店の奥でうどんをゆでている。
もちろん、うどんを手繰っている連中も、みんな和服だった。
「ば、場違い感がすげえな、俺ら」
「お気になさらず。今日はそういう客が多いってだけですよ」
「いらっしゃい、なんにします?」
黄色い和装をした黒猫の模造人が、笑顔で注文を取りに来る。その姿を見て、俺はちょっと笑ってしまった。
「ど、どうしたんですか? わたし、何か変でした?」
「もうしわけない。昔見た絵を思い出しちゃって、つい」
「ああ、夢二の『黒猫』ですかい。大当たりですよ、そういう『こすぷれ』なんでさ」
マジかよ。
ってかあれは『黒猫を抱く女』であって、黒猫が和服を着てるんじゃないし、そもそも夢二は大正の人で、江戸とは全く関係がないとか、ツッコミが追い付かねえ。
そんな俺を置き去りに、元町さんは慣れた感じで注文を始めてしまう。
「焼酎を升二つに麦湯を一つ、ひしおに板わさ二枚、菜っ葉の天盛り三つ、うどん三つ。よろしく」
「はーい」
「ここは、あっしが持ちますよ。この前の、つけ払いってことで」
なるほど、大川さんたちと会った時のことか。それなら遠慮の必要もないな。
やがて、俺たちの前にささやかな宴席が整えられた。
「板わさって、かまぼこのことだったんだねぇ」
「てか、味噌とか醤油って、どこで造ってるんです?」
「二十一階の、試験農場ですよ。いくつかのギルドの肝いりでね。無論、魔界産の植物で代用したモンですが」
これで米があれば完璧なんだろうが、そこまでは無理だったんだろうな。
やっぱり文城のギフテッド、いろんな意味で特異点だ。
元町さんは、升に口をつけて、うまそうに中身を飲み干していく。
俺は軽くひしおに箸に取り、塩味とうま味いっぱいのそれを舌に乗せると、ぐっと升をあおった。
「っくぅ、麦焼酎かぁ。昼間から効くなぁ」
「麦っておもしろいね。お酒になったり、パンになったりするんだもん」
なんてことを言いつつ、文城は並んだ料理についてメモを取っていく。
その光景を、元町さんは目を細めて眺め、尋ねてきた。
「なるほど。小倉さんがよそのギルドに、福山さんを譲れない理由、分かりましたよ」
「まあ、そういうわけです。手前味噌ですけど、適材適所ってのは大事なんで」
不思議そうなネコに頷くと、俺は緑色の葉のてんぷらを、さくっと噛みしめる。
ほろ苦くて歯ごたえのある、蕗に近い食感。まさかこんなうまいてんぷらを、こっちでも食えるとはなあ。
「『新皇』や『ホライゾン』だと、ついていくだけで精いっぱいだろうし、『甲山組』や『EAT UP』じゃ、人付き合いの比重がでかい。と言って『インスピリッツ』は、専門性がネックです。うちぐらいの緩い感じで、少しずつやってくのが、いいんじゃないですかね」
「そこでてなもんやを含めないのは、何か理由があるんで?」
「悪い大人に染まって、かわいげがなくなると困りますからね」
不満げに鼻を鳴らすトカゲを、軽く笑い飛ばしてやる。文城は、俺たちのやり取りで、何事かをメモしていた。
「今回はだいぶ、盛大にやりなさるようだ。成功すりゃ久方ぶり、ムーラン大手柄ってことになるでしょうな」
「乙女さんは、南条さんをリスペクトしてますね。そんなにすごかったんですか?」
「『ムーラン・ド・ラ・ギャレット』は、南条南最後の作品、と言っても過言じゃねえですから。あのヒトほど肚の太い方は、そうそう見ないでしょうよ」
これはいよいよ、亡くなったのが惜しくなるな。俺もいっぺん、会ってみたかったよ。
前菜代わりのつまみがあらかた片付いたところで、大きなどんぶりがやってくる。
小さく切った肉と、白いヘビのようなうどんが、透き通った汁の中で静かにたゆたっていた。
「ほんとに一本だ! すごい!」
「前に俺が食ったのは、もっとぶっとい感じだったなぁ」
「ここは、濃い出汁の透き通ったやつですが、味噌煮込みで出すところもありますよ」
人だったころと違って、俺たちは『すする』のが難しくなっている。その点で、一本うどんは、口で保持しつつ食べられるのが便利だ。
ラーメンの店がないのも、ケモノ特有のマズルが関係してるんだろうな。
「そういや、この時期にずいぶんと、派手な人員整理をなさったそうで」
「耳が早いですね。っても、三十人近くが一斉に求職活動始めたんだから、当然か。俺のゴシップ持ってきた奴も、多かったでしょ?」
「そいつは守秘義務って奴で、のーこめんとでさあ。とはいえ、そんなチンケな話に、鼻紙一枚、くれてやる気もねえですがね」
すまし顔でうどんをたぐる元町さんの姿は、小さな蛇を丸呑みするトカゲそのもの。
このヒト、意外と健啖家だよな。俺らと同じぐらい食ってるし。
食事が終わると、俺たちは大通りに出て元町さんと別れることにした。
「ご馳走様でした。当日は皆さんの引率、よろしくお願いしますね」
「ご、ごちそうさまでした!」
「いえいえ。それと、一つご注進を」
去り際に、トカゲは意味深な視線を俺に投げた。
「雀のお宿から逃げ出した小鳥が、どこぞの奥方の庭に迷い込んだとか。疳気のカミナリに当たらねえよう、おへそを隠しなさったが、身のためですぜ」
まったく、なんて役に立たない忠告だよ。
俺は、不思議そうにメモを取る手を止めていた文城に、肩をすくめてみせた。
「さっきのは、なんの話だってか?」
「うん」
「たぶん、すぐに分かるよ」
そして、これから行く先に向き直る。
城下町の果てで威圧感を放つ、巨大な『移動要塞』がそびえていた。