大人しそうなわたしがなぜか毎度、変態サイドからお断りされてイタズラ電話を切られたりする羽目になる話
接客業をしていれば、まぁたまには変態の一人や二人は遭遇しますよね。
わたしも変態からの電話二件、女性店員と見ればナンパをしてくる高齢男性にも遭遇したことがあります。
いずれも先方から電話を切られたり、立ち去られました。
なぜなのか。
見た目や雰囲気はよく小さいお子さん外国の方に話しかけられ、方向オンチなのになぜかよく道を聞かれ、観光地に行けば必ず「写真撮ってもらってもいいですか?」と指名を受けるそんなタイプ。
いたって無害そうなんでしょうね、きっと。
声は先日、お客様から「ドラ○もんに似てるって言われない?」と…。
初めて言われたわ。でも、たぶん今のドラ○もんだろうな…と自分でも思う程度にはそんな声。
これでなぜ変態のほうから立ち去るのか。
【ケース1】
外線で商品の問い合わせ ドラッグストア
「はい!お電話ありがとうございます。ドラッグストア○○某店の飴矢が承ります」
「もしもし…すみません、ちょっと商品があるか聞きたいんですけど」
若い男性の声ですね。
「TEN○Aって置いていますか?」
アレですね。男性がこうお一人で楽しむ用の…まぁ、要はアダルトグッズの一つですね。
しかし、そこは普段から荷出しで見慣れていることもあり何も思わない。
「TEN○Aですね!はい、当店に在庫ありますよ!」
電話って声しかわからないから、普段より元気いっぱい返事をします。
「種類はどれがありますか?」
ヤバい。いくつか種類あるけどそこまでの名称覚えてないわ。
「売場に確認に行くので少々お待ちください」
そして確認へ。
「お待たせいたしました。種類は〜……」
元気に一つずつ商品名を読み上げていくと、相槌がどんどん小さくなっていく。
「以上になりますね!」
「…わかりました、ありがとうございます…」
なんか声ちっさいなくらいの感じに思っていました。
「それではご来店、お待ちしております」
の「お待ち」あたりで電話、切られた。
え?切れた?何で?と、しばらく考えて「これはイタズラ電話だったのでは?」と気付く。
そう考えると徐々に彼がトーンダウンしていったことにも納得する。
そりゃあ元気いっぱい答えられるより、恥じらうか「え?」なんて困惑してほしかったことだろう。
あと来店を待たれてもな…。ちょっと反省した。
そして退勤時間までこの商品は一つも売れなかった。
【ケース2】
来店時対応 アパレルショップ勤務時
「いらっしゃいませー」
年配の男性のご来店です。赤いベストがこう…独特なファッションセンスですね。
バッグコーナーを見ていらっしゃいます。
「どうぞ、試しに持ってみてくださいね。バッグはかけて、実際に持ったときの感覚もあるので」
「おう、ありがとうお姉ちゃん。なぁ、お姉ちゃんこれ知っているか?」
ん?何だろうか?
「あまおうって何の略か知っているか?」
ご存知、福岡の名産品のブランドいちごですね。
生粋の福岡県人のわたしです。
「はい!あまい、まるい、うまい、おおきいですね!」
即答です。もちろん正解ですとも。
「…おぅ」
年配の男性はバッグを戻し立ち去っていきました。
「ありがとうございましたー」
後日、飲み会でレディースアパレルショップの女の子から「赤ベスト」と呼ばれる年配の男性がいてしつこく連絡先を聞いてくる迷惑客だという話を聞く。
特に新人スタッフを狙い、何度も来店してくるし長時間居座って迷惑だという…。
赤ベスト!
…当店にはクイズに即答したあの一度しかご来店してませんね。滞在時間一分だし。
ちなみに後輩にあまおうクイズ出したら、不正解だった。
【ケース3】
外線電話対応 メンズアパレルショップ勤務時
「はい、お電話ありがとうございます。○○○某店の飴矢が承ります」
「あの…すみません、聞きたいことがあるんですけど…」
ボソボソとした中年男性の声ですね。ちょっと聞き取りにくいです。
「はい、お伺いします」
「…すみません、名前…もう一回いいですか?」
げ、名前聞くのか…クレーム対応かもしれない。…これは気合を入れてちゃんと一回で聞き取らないと。
「はい、わたくし飴矢と申します」
「そう、飴矢さん…。飴矢さん、今日の午前中…店の前でしゃがんでましたよね?」
午前中…早番はわたし一人です。
洋服を陳列するのに、少ししゃがむことはよくあるのですが…はて?何かした記憶はない。
「はい、確かに作業中にしゃがむことはありますがいかがしましたか?」
んー…商品置くだけだから、サボっているようにも見えないはずだし何だ?
「飴矢さん…しゃがんだときですね…パンティー…見えてましたよ」
何だ、そんなことか!
「いえ!お客様。わたしは今日はジーパンですし、当店はメンズアパレルショップでわたし以外のスタッフは全員男性です!すみません、お店をお間違いではないでしょうか?」
「では」のあたりで電話切られた。
なーんだ、クレームじゃなかったし人違いじゃーん!とホッとして以降は元気に話していたら突然に切られた。
えぇ…と思うも、ふと気付く。
これは「ねぇ?何色のパンツ履いてるの?」と同類ではと。
気が付くと、イライラしてきた。何で!わたしが!変態のほうから電話切られないといけないの?!
「後輩ー!変態から!変態の方から!!電話、切られたんだけど?!」
荒ぶっていたら「飴さん、一服でもして落ち着いてきなよ」と送り出された。できた後輩である。
落ち着いたので、ショッピングモールの警備に報告をした。
一応、その対応でも正解だったと言われ他の店には今のところ同じような電話があったとの報告はないとのこと。
たぶん被害の拡大は防げたんだと思う。
母も若い頃、電話先でハァハァ言う人がいたから
「大丈夫ですか?どうしたんですか?」と一生懸命に話しかけたことがあり、
父から「イタズラ電話だから相手したらいけない」と叱られたらしい。
まぁ、わたしもこうしてなぜか向こうから立ち去っていくので血筋でしょうね。
よく変態からの電話は「業務に関係ないことにはお答えできないので、切らせていただきます」とこちらから電話を切ってもいいと言われますが
向こうから切られるんですけど。
いや、別に変態に言い寄られたいとかいうわけではないんですけど釈然としない何かが残るわけで。
でも、この「思っていたのと違う」となれば今のところ同じやつから電話はかかってきません。
穏便に済むので機会があればお試しを。
余談ですが飴矢がクレーム対応にはいると15分後には「苺の収穫のピークは12月」などとにこやかな雰囲気で雑談になり、お客様は帰っていきました。
横にいた同僚はずっと「えぇー?」って顔をしてた。