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短編

虚しさ

作者: 生豚

時計の針が12時を指し、一日の終わりと新たな一日の始まりを告げた。

「はぁ⋯」

今日も何もしなかった。

最近は暑いし蒸し蒸ししてるから外に出かけるのもできない。

それに家に籠っているにしても、エアコンが壊れているから扇風機の前から離れることもできない。

こんな暑い中で頑張っている、部活であろう学生や社会人を見ると「頭がおかしいんじゃないか」と思う。

まぁそんな感じで夏の間は風呂とトイレの時以外は動きたくないわけであって、もちろん働くなんてことはしたくないわけだが最近は少しだけ虚しくなってきたのである。

なんで虚しいのかと言われれば、語るにしょうもない話であるが、人生を浪費しているような気がするのである。

私を古くから知っている人らがこれを聞いたらきっと鼻で笑って「いまさら何を言うのか」というだろう。

しかし私には今この瞬間が人生で初めて意味のない時間として感じられるものであり、今まで無意味だと感じた事はただの一度もなかったのである。

今ならば旧知のものたちの忠告も価値あるものであると理解できるし、それに従わなかった自分の愚かさも渋々ながらに認められる。

しかしまぁ時というのは残虐非道なものであり、私から多くの金や体力を奪っているのである。

そこで思い至ったのであるが働くならしっかりやろうと思う。

当たり前だが。

しかし眠いので方法は明日考えるとして今夜は寝ようと思う。

真夜中3時頃であろう時、ふと目が覚めた。

蝉の鳴き声が暑さを増長させて憎たらしいがどうしようもない。


 暑さで茹で蛸のようになった体を冷やすために台所の蛇口をひねる。

 そしたらなんと黄金の液体が流れ出てくるではないか。

やったー、これでこんな暮らしとはおさらばだ!

親に少し分けてやろう。

嫁さんもらって派手に生きよう!

よっしゃああ!


 「 あぁぁ…… 」

 目を醒ました。

…醒ましてしまった。

夏の夜は夢のようには暑くなく、ただじめじめとした空気が漂うだけだ。

勿論黄金なんてのは幻である。

しかしつい先程たしかに掴んだそれの残像を溢さないように手で黄金の液体のあった場所を掬う。


 しばらくしてあれが夢だと完全に気づき、落ち込む。


 再び眠りに落ちながら思うのだ。

 

 「なぜ生きているのか。」


 「私達はどこから来てどこへ向かうのか。」


 …………etc


答えのない課題に向かい合い、思考を停止する。

見た目課題に取り組み思考しているが、それは無から有を生み出す錬金術のようなもの。

私の人生は他人の不幸で肥えた肥溜めだ。

人生はそんな簡単に好転しないし、夢幻のようなことが現実には起こり得ない。

明日もただ生きていればそれでいい。










 私は導き出した。





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