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1.ふわふわの布団には抗えない

 ある日の明け方のこと。


「な、ななななな!?なんなんだこれは!?!?」


 僕の名前は田中茂雄(49)。田舎でサラリーマンをしている、ただの一般人。の筈だった。


「な、何で僕がこんな豪華な布団で眠っているというんだ???」


 そう、僕は一般人。昨日も会社から帰宅し、夕食と風呂を適当に済ませて、ペラペラのせんべい布団で眠りについたというのに。


「なんてふかふかなんだ…!しかも天蓋付きだなんて…ああっいけない!こんなに…あったかくて、ふわふわで…スヤァ」


 会社に行きたくなくなっちゃうじゃないか!(怒)僕は悪くないと思うんだ、みんな言ってるよ、職場の子達も言ってるよ。暖かくふわふわなお布団の前では、人類皆無力だって。このまえ遅刻してきた部下がそう力説してきて、思わず「う〜ん、じゃあしょうがないねぇ」って言ってしまって、他のみんなに怒られたんだよね…甘いって。


「…っていけない。起きないと、というか本当にどこなんだここは……」


 ふわふわの布団から起き上がって、周りを見渡してみる。きらびやかな調度品、可愛らしい家具、ぬいぐるみが目に入る。女の子の部屋なのかな?思わずほっこりしてしまった。


 いやほっこりしてる場合じゃないよ。本当にどこなんだここ。こんなかわいい部屋にこんなおじさんが寝ていちゃいけないよ、可哀想だよ持ち主が。好きで寝てたわけじゃないんだ!ごめんよ、持ち主の女の子…。


「…誘拐、とか?」


 流石に、ないよな。だってこんなくたびれたおじさん(49歳)誘拐して一体何になる?僕にできることなんて何もないよ?お金もないよ?一人暮らしだったし身代金とかも無理だよ?わからない…もうおじさんわからないよ(泣)


 うーーん、と唸ってみてもなにもわからなかった。そして気づいた。


「ん…?んん!?!?なんだか声もおかしくないか!?僕の声、こんなに高かったっけ?いや違うな?」


 高い、まるで少女の声だ。まさかそんな、僕の声が少女のような声だなんて…まさかまさか、まさか!?


「ああーー!からだもなんか、なんかちっちゃいし髪も長いしふわふわしてるー!うわーー!…いや、絶対夢だな、やだなあ、いい歳してなんでこんな夢見てるんだろ…もう一度寝るかな…」


 再びふわふわな布団にダイブして目を瞑った。朝が来たらまた仕事か〜明後日の会議の資料まとめないとなぁ。何で仕事って行く前からこんなに帰りたいんだろうなぁ。


 そんなことを考えながら、眠りに落ちた。

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