フレーミング効果
「フレーミング効果って知ってる?」
「それを言うなら、フレミングの法則だろ。ていうか、明日の科目は物理じゃない、数学だろ」
「違うよ」
「違わないよ。数学と家庭科だ」
「いやそうじゃなくて、フレーミング効果で合ってるんだよ。同じ内容でも、表現の違いで受け取り方が違うってやつ」
「……それ、数学か家庭に関係あるのか? 無いよな、今する話じゃないよな。因数分解やってるんだよ、俺は。お前もやれよ、因数分解」
「例をあげるなら、『ビタミンC、1000mg配合!』ってやつかな。『ビタミンC、1g配合!』よりも多く見えるだろ。でもな、例え多く見えるからって『ビタミンC、1000000000ng配合!』じゃダメなんだ。細菌数みたいでちょっと嫌だろ」
「俺の話が聞こえてないのか? そんな長々と話さなくて良いから、早く因数分解しろよ」
「フレーミング効果を使えば、俺のやる気を引き出せるかもしれないぜ?」
「何で俺が言い方に工夫しないといけないんだ! 勉強なんて自発的にやるものだろ」
「俺はお前が勉強してようが関係なく話しかけるぜ。うるさいだろ? 邪魔だろ? そこでフレーミング効果だ。俺を勉強させてみな?」
「いや、面倒くさーな! あと、上から目線が気になる」
「フレーミング効果使ったんだよ。勉強させてみろ! て言うよりも、させてみな? ていう表現の方が、やる気が出るだろ」
「ただ不愉快になっただけなんですけど。フレーミング逆効果なんですけど」
「良いから、はやく! ほら、フレーミング、フレーミング!」
「フレー、フレー! みたいに言うな。はあ、分かった分かった。因数分解したら、彼女出来るらしいよ。はい、これでやる気になっただろ」
「でも俺の姉ちゃん、因数分解し始めた頃から間食が止まらなくなったらしいからやめとく」
「ただの成長期だろ! ていうか、断んじゃねーよ!」