サザエさん補正
「今日は調子良いんだ」
「おお、勉強が捗りそうだな! さ、やるぞ!」
「なんで調子が良いかというと……」
「いや、そこの説明は求めてないんだけど」
「星座占いで1位だったんだ」
「え、それだけ? まあそう思えるのは良いことか。じゃあ、せっかくの1位を無駄にしないためにも勉強しようか」
「それだけじゃない」
「もう良いんだけど。勉強しようよ」
「他局の血液型占いでも、誕生月占いでも1位だったんだ」
「もしかして、朝から色んな番組の占いを梯子してるの? 確かに、3つで1位はちょっと凄いけどさ。はい、ここで話おしまい。勉強しような」
「しかも、それだけじゃない」
「俺の声は聞こえないの? あと、小出しにするな」
「先週、サザエさんにジャンケンで勝ったんだよ」
「占いじゃないだろ、アレ! 確かに勝ったら良いことありそうだけども!」
「一般的なジャンケンの勝率は、そこまで低くない。特にサザエさん形式だと1戦だけだから、勝つか負けるかあいこの三択だ。しかしだ、サザエさんは異様にジャンケンが強い。それ故に、サザエさん補正が入って、サザエさんに勝つ確率は1%まで下がるんだ」
「サザエさん補正とんでもないな! それもう、サザエさんが公共の電波で催眠術使ってるとしか思えないよ!」
「その可能性はある」
「ねーよ! しかも1%って! 年間の放送が50回だとしたら、2年に1回しか勝てない計算になるぞ!」
「そうなんだよ」
「そうなんだよじゃねえ! 体感としてはもっと勝ってるぞ!」
「あまりにも負けすぎて現実逃避してるんだよ。あいこでも勝ちだと錯覚してるんだ」
「俺を悲しいやつみたいに言うな!」
「今なら何でも出来る気がする。宝くじでも買いに行こうかな」
「勉強しろ!!! そして、帰りに宝くじを買え! 結果を楽しみに待つ!」