タピオカを添えて
「最近、タピオカ流行ってるよね」
「ああ…」
「俺、タピオカミルクティー飲みながら勉強しようかな」
「どっかで買ってくるのか。ていうか、そもそもタピオカミルクティーを学校で飲むってウィットに富みすぎだろ。あと早く勉強しろよ」
「実は水筒の中身、タピオカミルクティーなんだよ」
「え、お前水筒にタピオカミルクティー入れてきてんの? 学校が意図してる水筒の用途じゃないよ、それ。早く勉強しろよ」
「学校サイドは水やお茶を入れる目的で水筒の所有を許可してるかもしれないけど、今の時代は嗜好に合わせて飲み物を選ぶ時代やで」
「急な関西弁やめろ。まずタピオカミルクティー水筒に入れていいの? なんか水筒にも良くなさそうだけど。勉強しやがれ」
「知らないけど、水筒なんていくらでも代わりはおるわい」
「なんかそのニュアンスの言葉、有名なアニメ映画で聞いたことあるぞ。勉強しろ」
「はい、ここに水筒があります。フタを開けると、なんとそこにはタピオカミルクティーが……ないやんけ! おい、なんでないねん! 誰か飲んだか!」
「一人で何言ってんだよ。もう良いから勉強しろよ」
「クソ、誰だ! 俺のタピオカミルクティー勝手に飲んだやつ! 出てきやがれ、許さんぞ!」
「知らん。ていうか、お前その水筒からすごい臭いしないか」
「……そういえば臭いな。まるでタピオカミルクティーが腐ったような臭いだ」
「まさしくそうじゃないか」
「あ、持ってくる水筒間違えたわ。しかもこれ、洗うの忘れてたやつだわ。こりゃあ、してやられたわ」
「解決したな。さあ、勉強しようか。あと早く水筒のフタ閉めろ」
「決めた! 俺、タピオカミルクティー買ってくる! すぐ帰ってくるから待ってろよ」
「おい、待ってろってお前! ……あー、行っちゃったか。普通に考えて、学校の図書館でタピオカミルクティー飲んだらダメだろ…」
二十分後
「ふふふ、コンビニまで全速力で行ったぜ。これこれ、これがないと勉強が進まない! さあ始めるぞー!」
三十分後
「あ、ちょっと待って、お腹痛い。俺、牛乳とか飲んだらお腹壊すタイプだった。だからタピオカミルクティー飲むのやめてたんだ。タピオカ云々よりも前にミルクティーに対応してなかった」
一時間後
「ごめん、四回トイレ行って気付いたんだけど、これ家で安静にしてた方がいいと思う。帰るわ」
「……結局、一人で勉強してたのと変わらんな」