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バンド  作者: こくぼなり
一章
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違和感

 家についてホッと胸をなで下ろす。今日はそんなに人と話さなかった。けれど、ドッと全身に疲れが襲ってくる。

 「疲れた」口から流れ出る言葉を止めようともせず、冷蔵庫を開ける。

 冷蔵庫からプリンを取り出して勢いよくフタを開ける。

 朝、母が用意してくれたプリンを口に運ぶ。甘さが口いっぱいに広がっていく。

 「帰ったら食べなよ」との言葉には、「テストを我慢して帰ってこれたら食べていいよ」と、子供扱いするようなニュアンスが読み取れた。

 まったくこんなもので私が、釣られるとでも思ったのだろうか。子の心親知らずとはよくいったものだ。

 まあ、明日もこのプリンがあるなら、学校に行く足取りは少しは軽くなるだろが。

 幸せの時間が過ぎるのは一瞬ですぐにプリンは無くなってしまう。

 そろそろ勉強をしなくてはならないが、生憎今回のテストは初日から点数を取れない様子なので、諦めてテスト後の半日休みを楽しもうと思う。

 部屋に入って何をしようかとあたりを見渡すとふと、ベースが目に入る。

その瞬間朝、青藍を抱きしめたときに感じた嫌な感じが数十倍になって襲ってくる。たまらずトイレに駆け込んで、吐いてしまう。

 頭がボーとしてきて、何も考えれなくなる。ただ頭にあったのは、プリンを無駄にしてしまった母への申し訳なさだけだった。

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