教室
教室に入って、席に着くと青藍が近づいてきた。
「大丈夫だった?」
鋭い切れ目をこちらに向け尋ねる。決して怒っている訳ではないけれど、凛とした顔立ちに見つめられるとビクッとしてしまう。
「大丈夫だったよ!寂しかった?」
わざとおどけたように笑ってに見せる。青藍は勘がいいのだ。
「…う、うん。少しだけ…」
目をそらしながら恥ずかしそうに答える姿は、顔の端正さとは真逆で面白い。
「かわいいなぁ、もぉ〜」
頭をわしゃわしゃしながら青藍を机越しに抱きしめる。
まんざらでもなさそうな顔をして、抱きしめられている青藍を見るともっと抱きしめたくなる。
けれど、何か背中に嫌なものが走ったので青藍を解放する。
「勉強しなくていいの?もうすぐテスト始まるよ?」
やんわりと注意をしながら席に着くように促す。青藍はもっとして欲しいと言わんばかりに、顔を見てくるが優しく笑いかけると大人しく席に着いた。
さっきの悪寒はなんだったのだろう。悪寒というか何か嫌なものが聞こえそうになった。
初めての感覚で何かわからずにモヤモヤした。テスト中もずっと考えたが何が原因か全くわからなかった。
三つ目のテストのときになにか掴みそうだったが、頭の中で蓋がされたように次の瞬間には、何も分からなくなっていた。




