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バンド  作者: こくぼなり
一章
6/60

学校

 学校までの道のりが長い。いつもは15分ぐらいで着くはずなのに、もうかれこれ30分は歩いてるはずだ。

 7時45分に家を出た。これ以上時間をかけたら学校に間に合わないかもしれない。

 しかも一歩一歩地面にエネルギーを吸い取られているかのように足が重い。あつい。だるい。ここに来て負の思考が襲ってくる。

 勇気が出るようにカバンからお茶を取り出して飲む。

 今日母が入れてくれたお茶だ。「頑張っていきなさい」との言葉と一緒に渡されたお茶は、元気の源となっている。

 途中途中お茶を飲みながら歩いているとようやく学校が見えてきた。

 ぼんやりと校門を目指して歩いていると、結衣が靴を履いているのが目に入ってきた。

 「謝らなきゃな」そう思い早足で近づくと結衣は驚いた様子でこちらをみている。

「おはよう結衣。ごめんね先帰っちゃって、体調崩れちゃってさ。」

 反射的に嘘をついてしまうが嫌になる。

「いやいや、全然いいよ!それより体調大丈夫?」

「もう全然大丈夫!完全に治ったよ!」

 聖母のように優しい結衣はいつも周りのことを気遣い、人の悪口など聞いたことがない。しかし、今回はその優しさが痛い。

「…緑。なんでも相談してね…」

「う、うん。」

 いつも妙に鋭いこの子は何を感じ取ったのだろうか。

 それから教室に着くまで一言も言葉を交わすことはなかった。

 教室に着くと教室のアナログ時計は8時を指していた。

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