最終
いよいよ、明日がフェスの本番となった。今日で最後の練習だ。
今日の練習は、これまでで最高の練習ができた。紫織の「お疲れ様」の言葉には、涙が含まれていた。スタジオに出るときに、Paletteに向かってみんなで一礼をした。もうこの五人でスタジオに来ることは絶対にない。
赤華と帰るときには、フェスの話しかしなかった。「明日のフェス楽しみだね」や「忘れ物しないようにね」など。
家に着くと、その足でリビングに向かい家族全員に、明日のチケットを渡した。
妹と母は「絶対行く」と、父は「行けるか分からない」と、返事をしてくれた。しかし、父の行けるか分からないは、大体来れる時の返事だ。
昔、「なんで来れるって言わないの?」と聞いた時ら、「昔、お母さんとのデートに来れるって言っていけなかったことがあるから」と照れ臭そうに頭をかいていた。
食事を済ませ、お風呂に入り、後は寝るだけだ。やはり、寝る前になって不安が押し寄せてくる。
明日はミスなく叩けるのか、きちんとみんなと音を合わせられるのか。
考えれば考えるほど不安になる。頭の中で不安という文字がグルグル回り始めた時、机から何かが落ちた。
それは、明日のフェスに使うために持って帰っていた、青藍のスティックだった。
seiraちょうど真ん中に書かれた文字はほとんど掠れていた。
その文字を見ると、なんだか青藍からやる気をもらっているような気がした。
「青藍、頑張るね」
そう呟くと、スティックの文字が笑ったような気がした。




