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バンド  作者: こくぼなり
二章
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55/60

最終

 いよいよ、明日がフェスの本番となった。今日で最後の練習だ。

 今日の練習は、これまでで最高の練習ができた。紫織の「お疲れ様」の言葉には、涙が含まれていた。スタジオに出るときに、Paletteに向かってみんなで一礼をした。もうこの五人でスタジオに来ることは絶対にない。

 赤華と帰るときには、フェスの話しかしなかった。「明日のフェス楽しみだね」や「忘れ物しないようにね」など。

 家に着くと、その足でリビングに向かい家族全員に、明日のチケットを渡した。

 妹と母は「絶対行く」と、父は「行けるか分からない」と、返事をしてくれた。しかし、父の行けるか分からないは、大体来れる時の返事だ。

 昔、「なんで来れるって言わないの?」と聞いた時ら、「昔、お母さんとのデートに来れるって言っていけなかったことがあるから」と照れ臭そうに頭をかいていた。

 食事を済ませ、お風呂に入り、後は寝るだけだ。やはり、寝る前になって不安が押し寄せてくる。

 明日はミスなく叩けるのか、きちんとみんなと音を合わせられるのか。

 考えれば考えるほど不安になる。頭の中で不安という文字がグルグル回り始めた時、机から何かが落ちた。

 それは、明日のフェスに使うために持って帰っていた、青藍のスティックだった。

 seiraちょうど真ん中に書かれた文字はほとんど掠れていた。

 その文字を見ると、なんだか青藍からやる気をもらっているような気がした。

「青藍、頑張るね」

 そう呟くと、スティックの文字が笑ったような気がした。

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