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早朝
朝起きた時から身体がだるかった。しかし、いつも起きる30分前に目が覚めてしまった。
二度寝することも叶わず、廊下を挟んで向かいのリビングを目指す。
ジュウジュウと何かが焼ける音とベーコンの香ばしい匂いがする。
「おはよ。」
今日は珍しく、眠たげな妹が朝ごはんの用意をしていた。
「今日は早いのね。」
「うん。今日は花壇の水やりだから。」
こちらをちらりとも見らずに答える。
「できたよ。」
目の前のテーブルにベーコンエッグトーストが置かれる。テレビをつけると早朝のニュース番組が中盤を迎えていた。
「いただきます。」
丁度いい焼き具合に半熟の目玉焼き、妹は全て分かっている。
感謝の気持ちでも伝えようかと顔を上げるが、相変わらず眠そうな妹は話しかけられても迷惑だろう。
ニュース番組の妹お気に入りのCMが終わると、妹は足早に食器を片付けてリビングから出て行く。
「いってらっしゃい。気をつけて。」
一瞬だけ立ち止まると、
「いってきます。…頑張ってね。」
朝は口数が少ない妹の言葉が、心にしみてしまい溢れ出た涙はニュース番組の次のCMまで止まらなかった。




