想い
「明日、放課後練習ね」昨日の晩に紫織からメッセージが来ていた。
その指示通りに、スタジオに来たがまだ誰もいなかった。
マイク、ギター、ベース、ドラム、それぞれの機材がいつも通りの位置に置いてある。
マイクで「あー」と言ってみたり、ギターをジャンと鳴らしてみたりした。
ドラムの椅子に座ると、なんとなく力が湧いてきた。青藍に教えてもらったエイトビートを、なんとなくやってみると、何か宝箱が開いたような気がした。
青藍が好きだった曲を、うろ覚えのまま叩いた。どんどん青藍との思い出が蘇ってくる。
一緒に遊んだ日のこと、学校行事や秘密の話をした公園、どれも大切な思い出だ。
視界がぼやけ、手に水が落ちてくる。「ありがとう、青藍」そう呟くと、バダンとドアが開いた。
「青藍!」
息を切らしながら、友黄が入ってきた。友黄はこちらを見つめたあと、「緑?」と呟いて呆然と突っ立っていた。
「あぁ、緑。ドア少し開いてたぞ」
その後に、紫織と赤華が入ってきた。
「それにしても、緑ちゃんドラム上手いんだね。ドラムの方が向いてるんじゃない?」
友黄の方をちらちら見ながら、赤華が笑いかける。
「青藍が叩いてるのかと思った」
視線を宙に浮かせ、ポツリとつぶやいた。
その発言を隅に追いやるように、練習が始まった。三人のたっての希望もあり、私はドラムをした。
初めてドラムで合わせるにも関わらず、物凄く音が合わさり、スタジオが光り輝いて見えた。




