家にて
ここのところずっと学校を休んでる。ご飯を食べようとも思わず、カーテンを開ける気も起きない。
「緑、今日も学校休みの?」
ドア越しに母が尋ねる。
「うん。まだ頭痛い。」
「わかった。学校に連絡しておくね。」
それ以外の何もなかった。もう何も考えたくなかった。これまで一度も起きなかった感情が沸々と湧き上がってくる。
「バンドやめたい。」サボり2日目にしてどんどん気持ちが強くなっていく。もうにすら学校にも行きたくない。いっそ死んでしまおうか。
五階のこの部屋から飛び降りるのはそう難しい事ではないだろう。負の思考が連鎖し始めていた。
「緑、明日からテストよね?」
唐突に母の声が聞こえて来た。
「うん。」
「緑お願いだからテストだけは行ってくれない?それからはいいから…テストだけは…ね?」
母の懇願する声が聞こえる。母のこんなに悲しそうな声は一度も聞いたことがなかった。
「わかった。テストは行ってみる。」
「うん。…ありがと。じゃあお母さん仕事行ってくるね。」
「いってらっしゃい。」
学校か…今は誰とも会いたくない。しかしあそこまで母にお願いされたら行かないわけにもいかない。
今日は早めに準備をしよう。明日になったら行きたくなくなるのは目に見えている。




