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バンド  作者: こくぼなり
一章
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25/60

えぐい渋いも味のうち

 靴を履いていると自動販売機からちょうど戻ってきた、青藍にあった。

「おっす!あのあと緑は見つかったか?」

「いや、結局見つからなかったみたい…。しかも、今日も休んでるし…」

「そっかぁ…。心配すんなって、きっと体調崩して帰って、連絡忘れてるだけだって」

「うん…」

 今日の青藍は、物凄くテンションが低い。青藍と緑は、仲がいい上にクラスが一緒だ。だから、余計心配なのだろう。

「そんなに気に病むなよ!じゃあジュース買ってくるから」

 青藍のことも心配だが、速くジュースを買って帰らないとご飯を食べずに待っている真波が可哀想だ。

「…かっ…い…」

「ん?なんかいったか?」

 そう言って振り向くと、微笑んだ青藍が、

「なんでもない」と、顔を横に振った。なんか仕草がいつもと違うな、と思いながらもなんでもないのなら、なんでもないのだろう。

 特に気にせずにその場を去った。

 教室に帰ると、真波が私の席に椅子を持ってきて、腕と足を組んで座っていた。

「えっと…これで勘弁してください」

「遅い。とにかく遅い!どれほど待たせるの!」

「悪い悪い。友達と会ってさ…ほんとごめん!」

「…もしかしてバンドしてる腐れ縁の?」

 真波が顔をしかめる。

「まあそうだけど…」

「もう縁切っちゃいなよ。めんどいんでしょ?」

 あたかも知ったような口を利くやつだ。

「まあ私はバンド続けたいし…。なんか放っとけないっていうか…」

「あっそ。てか、早く食べようよ」

「うん。早くしないと昼休み終わっちゃう」

 真波がバンドに興味ないことに少しホッとする。これ以上追求されたら、面倒なのだ。

 一時期五人の人間関係が希薄になり、無理に関わらなくてもいいと思うような時があったが、今はもうどうでもいい。

 しかし、歌うことが好きな私にヴォーカルとしてのポジションをくれたことにはとても感謝している。

 歌うことと、人間関係の面倒さを天秤にかけても、断然歌うことの方が大事だ。

 偽ってでもやりたいことがある私は、青春をしているのだろか。

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