えぐい渋いも味のうち
靴を履いていると自動販売機からちょうど戻ってきた、青藍にあった。
「おっす!あのあと緑は見つかったか?」
「いや、結局見つからなかったみたい…。しかも、今日も休んでるし…」
「そっかぁ…。心配すんなって、きっと体調崩して帰って、連絡忘れてるだけだって」
「うん…」
今日の青藍は、物凄くテンションが低い。青藍と緑は、仲がいい上にクラスが一緒だ。だから、余計心配なのだろう。
「そんなに気に病むなよ!じゃあジュース買ってくるから」
青藍のことも心配だが、速くジュースを買って帰らないとご飯を食べずに待っている真波が可哀想だ。
「…かっ…い…」
「ん?なんかいったか?」
そう言って振り向くと、微笑んだ青藍が、
「なんでもない」と、顔を横に振った。なんか仕草がいつもと違うな、と思いながらもなんでもないのなら、なんでもないのだろう。
特に気にせずにその場を去った。
教室に帰ると、真波が私の席に椅子を持ってきて、腕と足を組んで座っていた。
「えっと…これで勘弁してください」
「遅い。とにかく遅い!どれほど待たせるの!」
「悪い悪い。友達と会ってさ…ほんとごめん!」
「…もしかしてバンドしてる腐れ縁の?」
真波が顔をしかめる。
「まあそうだけど…」
「もう縁切っちゃいなよ。めんどいんでしょ?」
あたかも知ったような口を利くやつだ。
「まあ私はバンド続けたいし…。なんか放っとけないっていうか…」
「あっそ。てか、早く食べようよ」
「うん。早くしないと昼休み終わっちゃう」
真波がバンドに興味ないことに少しホッとする。これ以上追求されたら、面倒なのだ。
一時期五人の人間関係が希薄になり、無理に関わらなくてもいいと思うような時があったが、今はもうどうでもいい。
しかし、歌うことが好きな私にヴォーカルとしてのポジションをくれたことにはとても感謝している。
歌うことと、人間関係の面倒さを天秤にかけても、断然歌うことの方が大事だ。
偽ってでもやりたいことがある私は、青春をしているのだろか。




