逃げ?
起きてすぐに時計を見ると3日後のお昼だった。妙に頭が重かった。
起きた私は、相当お腹が空いていたのでリビングに行き冷蔵庫を漁っていた。
ちょうどその頃母親が、買い物から帰ってきた。
母は、私を見るなり目を大きく開いて、買い物袋を落としてしまった。
「あんた何してんの!大丈夫なの?」
「う、うん…大丈夫だよ?どうしたのそんなに驚いて。」
母は半分叫びながら、質問を浴びせてくる。その大半は私のことを心配している事なのだ。
何故だかわからない上に肩を揺らされながら大声で、質問されたら誰でもイラッとくるだろう。
「もう!わかったから!大丈夫っていってるでしょ?」
私が母以上に大きな声で、そう言うと母は落ち着きを取り戻し、近くのスーパーで買ってきたものを冷蔵庫に入れ始めた。
「まぁ無事ならよかったよ。ほんと心配したんだから。」
とかなんだかブツブツ言いながら、手際よく卵や牛乳を詰めていく。
それを横でぼーっと見ていると、母が「お腹すいてない?」と言いながらバックを漁る。
「うんめっちゃお腹すいた。なんかない?」
「ヨーグルトならあるけど。」
バックから取り出したのは、特売品のヨーグルトだ。一つを渡し、後の残りを冷蔵庫にいれる。
私は、テーブルにスプーンを持って行きゆっくり丁寧に開ける。
「母さん、私3日間も寝てたけど学校になんて説明したの?」
何気なしに聞いた疑問は、母の目を点にした。
「あんた何言っての?あんた3日間ずぅーと布団にくるまって、ご飯も食べずにブツブツブツブツ言ってたじゃないの。そして昨日うがぁーって叫んで、寝ちゃったじゃない?」
…覚えていない。とゆうかそんな奴はやばい奴じゃないか。精神科に連れていくべきだ。
「だから今日、近くの精神科医のところに連れて行こうと思ってたの。いく?」
…真っ当な思考回路だ。私もそう思う。しかし、自分が連れて行かれる身なら少々腹が立つ。
「その様子じゃ大丈夫そうね。もうお昼だけどご飯食べる?」
「うん。お腹ペコペコ!」
そういえば3日間何も食べてない。母の話に集中し過ぎて忘れていたが。
母が買い物袋から取り出した惣菜たちを、テーブルに並べる。
私の楽しみな食事の時間が始まった。ご飯を食べているときは、他の何事も忘れられる。
そういえば3日前何があったけ?思い出せないし、何故か考えたくもない。
考えたくもないことを考える趣味もないので、目の前の楽しみだけに集中した。




