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一話 愛と友情

 ゲームの感想を書きたい。

 ゲームをして感じた事を誰かと分かち合いたい。

 という著者の我侭を形にしました。


 あくまでも著者の解釈なので、的外れな事を言っている場合があります。

 それは違うよ、という事があっても許してくれるとうれしいです。


 あからさまに何のゲームなのかわかるようにしますが、タイトルは書きません。

 興味のある方は、いくつかの単語をググれば行き着けると思います。


 できるだけぼかしていますが、許可もなく実在のゲームを題材にしているので、何かまずい事があれば即消去するつもりです。

 ご理解ください。


 ご指摘ありがとうございます。

 誤字を修正致しました。

 俺の名前は勇城ゆうぎ おさむ

 指定暴力団、振遊組ふりゆぐみで若頭をしている男だ。


 その日の俺は、舎弟を労うためにキャバクラへ繰り出していた。


 半円のソファー。

 俺はその中央に座り、舎弟達とキャバ嬢が俺の左右で交互に連なって座っていた。


「勇城の兄貴に乾杯!」

「乾杯!」

「かんぱーい!」


 そんな状態で、舎弟の義人よしとの音頭で皆がそれぞれ酒の入ったカクテルを掲げた。


「乾杯のだしに俺を使うな」

「ご馳走になるんですから、これくらいはしたいじゃないですか」

「いいから、気にせずに飲め。……苦手だったら、無理に飲まなくてもいいからな」


 俺は義人を始め、他の舎弟達にも声をかける。

 舎弟達は「うす。ありがとうございます」と声をあげた。


 みんな美味そうに酒を飲んでいる。

 酒が苦手なんて奴はそもそもいないようだ。


 それぞれ、キャバ嬢と楽しげにしながら酒や肴を楽しむ。

 俺もウイスキーの入ったグラスを傾け、軽くうがいしてから飲んだ。


「兄貴、何してるんすか?」

「何でもねぇよ」


 義人に問われて答えると、一人の女が席へ寄ってくる。


「勇城。あんたがここに来るの、珍しいね」


 その女性は着物姿で、ドレス姿のキャバ嬢の中では特異な存在だった。


室戸むろとか」


 俺は彼女の名を呼ぶ。


「兄貴、誰なんですか? この美人さん」


 やや呆けた様子で、義人は俺に訊ねた。


「ここのオーナーだよ」

「オーナー?」


 義人は鸚鵡おうむのように、言葉を繰り返した。


「勇城。ちょっと、話をしない?」


 そう言うと、室戸は席を離れるよう俺を促した。


「ああ」


 俺は答え、彼女について席を離れた。

 すると、後ろから舎弟達の話し声が聞こえてくる。


「すげー美人だなぁ……」

「兄貴とどういう関係なんだろ?」

「そんなの兄貴の『コレ』に決まってるだろ」


 どれだよ?


 室戸が俺を導いたのは、店の屋上だった。

 店の騒がしさが聞こえてこない、静かな場所だ。

 ただ、風だけが少し強く吹いていて、彼女の髪の毛をもてあそぶ。

 それを気にして、彼女は髪を押さえた。


「何の用だ?」

「これ、受け取ってよ」


 そう言って、室戸は俺にぎっしりと中身の詰まった封筒を差し出した。


「五百万、入ってる。これじゃまだ足りないけど……。少しずつ返しとこうと、思ってさ」


 その事か……。


 俺は、差し出された封筒を押し返した。


「あの金はやった物だって言っただろ」

「わかってる。でも、私はあんたに借りを返しておきたいんだよ。この店を持てたのだって、あんたの金があったからだ。あんたのおかげで、私は今の人生を歩んでる。恩返しくらい、させてくれたっていいじゃない」


 借りを返す、ね。

 気持ちはわからないでもないが……。


 そう思っていると、室戸は俺の胸に身を寄せてきた。


「なんなら、金じゃなくたっていいんだよ? この後、時間は空いてるから……」


 上目遣いで告げる。


「俺は空いてない」


 答えると、室戸はため息を吐いて俺から身を離した。

 腕を組んで、背を向ける。

 なんとなく、その後姿は怒っているように見えた。


「ふん。あんた、本当に子供ガキの頃から変わらないね。どうせ、家に帰ってする事も変わらないんでしょ?」

「まぁな。用事はそれだけか?」

「そうだよ! もう、行っちまえ」


 怒んなよ。


「一緒に降りよう」


 俺は手を差し伸べた。

 室戸はそれをちらりと一瞥し、逡巡してからその手を取った。




 店の中へ戻る。


「義人」

「はい?」


 俺は、義人に財布を投げ渡した。


「俺は帰る。支払いはこれで済ませろ。空にしてもいいぞ」

「え、はい! わかりました!」


 義人は驚いて訊き返した。


「いいぞ。じゃ、帰るぜ」

「は、はい! ご馳走様です! お疲れ様でした!」


 舎弟総出の挨拶を背に受けて、俺はキャバクラを後にする。


「まだそんなに飲んじゃいねぇのにな」

「兄貴は渋い男だからよ。こんな騒がしい所で飲むより、一人静かに酒を楽しむ方が好きなんだよ」

「そうなんすか。……なんか、かっこいいですね」

「だろ?」


 そんなんじゃねぇんだがなぁ……。


 店のドアをくぐるまでに聞こえてきた若い衆の声に、俺は心の中で否定した。




 自宅のマンションへ帰りついた俺は、堅苦しいスーツを脱いで軽くシャワーを浴びた。


 家に帰って一人で酒を楽しむ、ね……。

 正直、そんな事が楽しいとは思えないんだよな。

 ただ、一人で楽しむっていうのは間違いじゃないか。


 そして、すぐにゆったりとしたジャージ姿に着替える。


 大画面のゲーミングモニターを起動し、同時にコントローラーのホームボタンをプッシュする。

 ピッ、という起動音、ハードディスクとゲームディスクを読み込む音を経てモニターにロゴマークが浮き出た。


 これが俺の子供の頃からの趣味、ゲームである。


 それは大人になった今でも変わらず、ヤクザになった今でも変わらない趣味だ。

 高い車、うまい飯、良い女。

 他の連中はそういう物を楽しんでいる奴が多いが、そんな物よりも俺はゲームが大好きだった。


 ユーザー選択すると、好きなゲームのテーマ画面に移って音楽が流れ出した。

 若干、テンションが上がる事を自覚しつつ、ゲームパッケージの並んだ棚へ向かう。


「感情表現の強制パレード……」


 テーマ曲を口ずさみながら、今宵プレイするゲームを吟味していく。


 丁度、今までプレイしていたゲームが終わったので、別のゲームをしようと思っての事だ。

 しばらくやりたい新作ゲームがないので、棚にあるゲームを適当に遊んでやりたいゲームができるまでやり過ごすつもりだ。


「これかなぁ」


 その中の一つを手にとった。


「『0』と迷ったが、今夜は『極』だな」


 テーマ曲が途切れる事に名残惜しさを覚えながら、俺はディスクを入れ変えてゲームを起動した。


 確か、二週目の途中までやってたな。どこまで行ってたっけ?


 そう思いながら、ロードデータを確認する。


「……あー、ここか。今日中に、クリアは無理かなぁ」


 ストーリー自体はそれほど長くないので、それだけを追えばそこまで長くない。

 が、俺はサブストーリーを全部埋める派だ。

 俺はサブストーリーも含めて、このゲームのクリア条件だと思っている。




 このゲームは、伝説の龍と呼ばれるヤクザ『桐生』を主人公としたゲームだ。

 ちなみに、『極』は第一作のリメイク作品にあたる。

 プレイヤーはこのケンカが滅法強い男になって、街で起こるトラブルを解決したり、絡んでくるチンピラをぼこぼこにしたり、ミニゲームを楽しんだりしつつ、メインストーリーを攻略する事になる。


 そしてこの主人公がまた魅力的なのだ。

 生き様が良い。


 それに何より、声が良い。

 本当に人間か? と疑いたくなる声をしている。


 初めて声を聞いた時は、最速で「ドリャー」と叫ぶ男と同じ声だと思っていた(そっちも人間じゃないような声をしている)が別人だと知って驚いた。


 今では区別がつくようになったけどな。

 ふふん(得意げ)。


 桐生の声を担当する声優は、強い酒でうがいをしてその声を手に入れたそうだ。

 その話を聞いて、俺も最近真似しているのは内緒だ。


 ちなみにこのシリーズは、一年に一度というハイスピードで新作が出る事でも有名だ。

 ナンバリング作が『6』で完結したが、今でも一年に一度は外伝や亜種などの関連したタイトルが出ているので今後の展開が楽しみである。


 個人的に、次回作で『般若が如く』とか出してほしい……。


 人は何故、ゲームをするのか。

 コントローラーを握り、ローディングの暗転の中でそんな事を考える。


 それは、自分の人生では本来味わえない体験をする事が楽しいからだ。

 と俺は思っている。


 つまり、非日常の体験だ。


 そういう観点からすると、ヤクザのくせにヤクザになる体験をする事は楽しいの?

 って感じになるんだろうが……。


 まぁ、十分に楽しめる。


 俺はヤクザだが、この主人公みたいな『THE侠』的な人間ではない。

 それに、こんな波乱万丈な人生送ってるヤクザなんてそうそういねぇよ。


 少なくとも、カーチェイスしながら襲ってくる敵と銃撃戦を演じた事なんて一度もない。

 そんな事したら相手共々逮捕される事必定である。


 だから俺にとっても、体験できない事である事には違いないのだ。


 少なくとも、俺はこのゲーム体験に感動を覚えている。

 笑いや怒り、楽しさ、うれしさ、もちろん哀しさだって感じる。


 人によっては、その感動を受けるゲームのジャンルも違うだろう。


 ファンタジー世界で剣と魔法を駆使し、ドラゴンなどの強大な物を相手にする事に感動を覚える人間だっている。

 近未来やサイバー空間など、SFチックな世界に感動する人間だっている。


 つまり俺が思うのは、どんなに異なった世界を舞台にしていても人が楽しさを感じる部分は、自分にとっての非日常なのではないか、という事だ。


 だから人は、その非日常を求めてゲームをするのだと思う。


 ローディングが終わり、ゲームが始まる。


 ロードデータは二週目のEXハード。

 俺はそんなにゲームが上手いわけじゃないが、このシリーズに関しては初プレイからEXハードでも丁度いいくらいだ。

 雑魚との乱戦で『虎落とし』というカウンター技を戦略に組み込める程度には上手い。


 ちょっとした自慢である。


 このゲームはマップで次に行く場所を表示してくれる。

 ストーリーを忘れてしまっていても大丈夫な親切設計なのだ。


 今の所、できるサブストーリーはなさそうだ。

 さては、ストーリーそっちのけでサブストーリー攻略に勤しみ、それが一通り終わってセーブしたまま新しいゲームを買ってそちらを始めたのだろう。


 サブストーリーもまた、このゲームにおける大きな魅力の一つだ。

 シリアスなものもユーモアの強いものもある。


 たとえば……。

 別のシリーズになるが、飛び降り自殺を止めようとしてバトルになり、その相手を叩きのめして反省させるのだが……。

 その相手をビルから落として勝利する事もできる。

 ちなみ、落とされた男は何事もなかったかのように生きていて反省する。


 シュールである。


 そんな魅力的なサブストーリーであるが、個人的にはキャバ嬢攻略をサブストーリーに加えるのは正直やめてほしいと思っている。

 あと、キャバクラ経営で一億稼がせようとかするのも……。

 プレイ時間がキャバクラ経営で削られていく日々は心が荒んだ。


 そんな事を思いながら主人公を操作する。


 チンピラにケンカを吹っかけられる。

 このゲームは結構な頻度でチンピラから襲われるので、うんざりする部分がある。

 が、そんなものはどんなゲームでも一緒である。

 ルーチンワークは面倒な物だ。


 しかしこれが久しぶりとなると、雑魚との戦いとはいえ楽しい物だ。

 これもどんなゲームであっても同じ事である。


 主人公が、倒れたチンピラの顔面を思い切り踏みつけた。

 痛そうだ……。


 多分、俺が町中で同じ事をしたらすぐに捕まるだろうな……。


 ……しかしいつも思うのだが、この町のチンピラは勇敢だな。

 実際に堅気とは言え、どう見ても堅気じゃない男に平然と喧嘩を売るのだから。


 まぁ、それはいいとして。


 このゲームはやれる事が多い。

 ケンカはもちろんだが、それだけじゃない。

 近くの遊技場で、一風変わった遊び方もできる。

 それらの目に付くプレイスポットを見つけると、なんとなくアクセスしたくなってしまう。


 特にポケサー……。

 これは人によって、懐かしくて泣きそうになる代物だろう。


 なんて事をしていると眼帯を着けた怪しい派手な男に見つかった。

 自然な流れでバトルになった。


 この男は『真島』といういろいろと破格の男で、今作ではなんやかんやと理由を着けて街中で襲ってくる。

 人気キャラクターで、ファンからは『兄さん』の愛称で親しまれている。

 毎回絶妙な強さを見せてくれる名中ボス言っていいキャラであるが、『極』では何度でも襲ってくるため慣れてくるとていの良い経験値にされるという悲しい運命さだめを背負った男だ。


 特に『虎落とし』を覚えた後はさらに効率が上がる。

 もはや作業だ。

 大量の兄さんが狩られる事となるわけだ。


 しかしやっぱり、このゲームは世界観に浸るのが楽しい。

 ただストーリーを追うだけでなく、それ以外の事をしているのが楽しいというのは、良いゲームの証拠だ。


 と、寄り道しすぎた。

 ストーリーを進めよう。




 程なく進むと、ボス戦になった。


『フン……。ほな ぶっちゃけ言いますわ。ワレほどの男を こんな所で殺しとぉないんすわ』


『林』……。

 こいつ、好きだな。


 好きなキャラだが、シリーズ中であまり優遇されていないのが残念だ。

 特に外伝作品での扱いが酷い。


 桐生のごついライフルでガンガンやられて「えろう……きもちええ……!」とか言ったり、逆に部下をがんがんやったりするという役所を押し付けられる事になる。


 林は声が良い。

 凄みがあってカッコいい。

 主人公の声も良いが、こいつの声も良い。


 あと、性格も嫌いじゃない。

 というか好きだ。


 ボスとの戦闘が始まる。

 戦闘はボス以外にも、複数名の雑魚も含めた乱闘だ。


 しかし、このゲームの戦闘も一作目からとても変わった。

 昔は、狭い場所で雑魚からたこ殴りにされるとすぐピンチになるゲームだった。

 今も初心者ならそうなるかもしれない。

 でも、今は一作目になかった四種類のスタイルを駆使して戦う事ができ、上級者であればさまざまな状況に対応可能だ。


 そういった改善部分が多々あって、今では爽快感の強いバトルができるようになった。

 とてもスタイリッシュな戦い方ができる。


 ……まぁ、一作目をプレイした時の俺はまだ分別のつかないガキだった。

 それが今や舎弟を何人も面倒見てるヤクザ者だ。

 変わりもする。


 でも、変わらない物だってある。

 それはストーリーだ。


 リメイクで追加シーンこそ増えているが、根底にある部分は同じだ。

 その部分が、俺がこのゲームを愛し続ける理由の一つでもある。


 このゲームのストーリーにはいろいろな人間同士の感情が詰まっている。

 それは愛であり、憎しみであり、友情である。


 人によって解釈は違うだろうが、俺はその中でも友情が最も濃いと思っている。


 確かに、愛情も強く存在している。

 愛した女への愛。

 家族への愛。

 そのために桐生は戦っていた。

 多くの困難に苛まれながらも、それらを守って戦ったのだ。


 だがそれを踏まえてもあえて、俺は言い切ろう。

 俺にとってこのゲームは、主人公である桐生とその親友である『錦山』の物語だ。


 ある理由から桐生は錦山の負った罪を被り、刑に服する事となる。

 それは親友を思っての事だ。

 親友を助けたかったから、桐生は彼を庇った。


 しかし、刑期を終えた彼を待っていたのは百億の少女と、それを狙う様々な勢力との戦い。

 その勢力の中には、錦山も含まれていた。


 再会した錦山にかつての面影はなく、親友である桐生に対しても非情な判断を下す男になっていた。


 だが、だからと言って錦山の中に桐生へ対する友情がなかったかと言えばそうでもないだろう。


 結果として錦山は裏切ってしまったのかもしれない。

 でも、そうなるに至った原因は、きっと対等でありたいという気持ちがあったから。

 胸を張って、桐生と友人でありたいと思う気持ちがあったからだ。


 だからこそ、錦山は昇ろうとしたのだ。

 龍へ至るために……。


 少なくとも、俺はそう思う。


 そんな桐生と錦山。

 二人の友情。

 その強い想いがぶつかり合う、『極』のラストバトルは全シリーズを通して最高のバトルかもしれない。


 そこへ導いたさまざまな要素は、この戦いとその決着のためにあったのだ。


「友情、か……」


 ボス戦が終わって、俺はコントローラーから手を離した。

 ムービーが流れているがその内容に意識を向けられず、つい今日あった事へ意識が向く。




 数時間前。

 屋上から、建物の中へ戻った時。


「……ねぇ、どうして私を助けてくれたの? 私のために、あんな大金……。あの頃はまだ、あんたも、まだペーペーで余裕なんてなかったのに」


 手を繋いだまま廊下を歩いていると、室戸はそう俺に訊ねた。


 俺が……幼馴染のこいつと再会したのは、七年ほど前になる。

 その時の彼女は、大きな借金を抱えて苦しんでいた。


「お前が、大事な友達だったからさ。だから、助けたいと思ったんだ。自分にできる事なら、何してでも……。それだけだよ」


 彼女はその金で借金を返し、今はこのキャバクラを経営している。

 今はその経営も上手くいっているようだ。


 答えても、室戸はすぐに返事をしなかった。

 しばらく、廊下を歩くかつかつという音が響く。


「……その言葉は、嬉しい。……でも、今の私はもっと別の言葉が欲しいと思ってるよ」


 そう言うと、室戸は俺から手を離した。

 早歩きで俺を追い越し、振り返った。

 通せんぼされる形になって、俺は立ち止まる。

 そんな俺に、室戸は不敵な笑みを向けた。


「そして、これからもそう思い続けるつもりだからね!」


 そう宣言した彼女の姿と、かつて見た子供の頃の彼女の姿が重なって見えた。


 彼女の笑みには無邪気さがあって、だからそう思えたんだろう。




「俺は助けたかったんだ。友人ダチを……。桐生が、錦山を助けたように……」


 声に出して言い、小さく笑う。


「俺にとってお前は、大事なやつだ……。だから余計に、そばへ置きたくねぇんじゃねぇか。ヤクザ者のそばになんか、な」


 彼女自身には言えない言葉が、その後に続いて漏れた。


「俺には、愛より友情の方が似合ってるのさ」

 一応連載の形にしますが、更新は遅いです。

 ストレス解消の意味合いもあるので、書きたい時に書きます。



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