特別篇…成就荘 活動記録その②
頭がおかしいと思う芸能人 。
第1位 結城 ひかり(21)
「だぁぁぁぁあああ!!誰が、誰が、だーれが!頭がおかしいじやぁぁぁあ!!」
ひかりちゃんが天に向かって叫びます。
「はぁ、はぁ、はぁ…お、おのれ愚民ども」
と、投票した人をディスります。
「ぷぷぷ」
「あ"」
「こら。喧嘩はダメよ」
「…………可哀想」
『あ"』
「あ、頭がおかしいランキングって、これっていいの?」
流石に酷くないか?と、私は思うのです。
「う〜ん。難しいところね」
と、この中で一番詳しい結衣ちゃんが答えます。
「抱かれたくない芸能人ランキングっていうのもあるぐらいだから…そうね。きっと、編集者も困ったんじゃないかしら?」
「どういう意味?」
「天才子役は誰か?頭が一番悪い芸能人は誰か?それを決める為のランキングっていうのは分かるわよね?」
「うん」
「天才子役とはつまり、一番演技の上手い子役は誰か?という意味だと思うけど、まさかゆずが選ばれるとは編集者も思わなかったでしょうね。また、頭が一番悪い芸能人とはつまり、おバカキャラでブレイクした芸能人は誰か?という意味だと思うけど、ここでもまさかひかりが選ばれるとは…ね」
「な、なるほど…」
「あゆみが言う可哀想とは、編集者が可哀想って意味でしょ?」
「………うん」
「ったく。編集者に抗議してやろうかしら」
「うむ。我の頭はおかしくはない。な?そうじゃろ?」
『……………』
「おい!」
「で、でもさ、やっぱり二人は凄いよ!」
『どこが「よ!」「じゃ」』
「だ、だって、演技が一番上手いって、皆んなから認められて、褒められるなんて、誰にも出来ない事だよ!」
「…………!?」
「ひかりちゃんだって、たくさんいるおバカキャラでブレイクした人を抑えての1位…それって、凄い事だよ!」
「そ、そうかのぉ?」
「うん!凄いよ\( ˆoˆ )/」
「ふ、ふん。子供って思われてるのはシャクだけど、遥の言う通り、演技は認められているってわけだから、喜ぶべきなのかもね」
「ク、ク、ク。頭が悪いと思わせておる我。流石じゃ」
「…………尊敬」
「そうね。アイドルデビューしたらきっと、凄い事になるわよ」
トップが二人もいるグループ。
凄いと思いませんか?
「デビューかぁ…どんなんだろう」
「…………怖い」
「ふん。アンタは声優なんだから、慣れてなきゃダメよ」
「そうね。時代の流れというべきなのかしら」
少し前まで声優さんの多くは、顔出しNGの人がほとんどでした。
子供の夢を壊したくないとか色々な理由があったんだと思います。
その為、声優さんがメインのテレビ番組やラジオ番組などがない時代だったのですが、今ではあるのが当たり前のようになっています。
なりたい職業の上位。
付き合いたい職業の上位。
それが声優です。
なぜか?
答えは簡単です。
声が良い。
これが答えです。
だからこそ、声優さんのテレビ番組やラジオ番組があるのです。
「けど、あれよね」
「…………あれ?」
「声がいいってだけで凄いのに、顔やスタイルまでいいなんて反則よ」
ついでにつけ加えると、歌も凄く上手い。
その凄さは、キャラソンを聞けば分かるはずです。
「………すみぺは別格」
「ざーさんもいいよね♡」
「ク、ク、ク。黒猫の時といい小鳩の時といい、どちらのキャラソンも神曲じゃったわい」
「ゆずの言う通りね。あゆみは見た目はいいんだから、後は自信をつけるだけだと思うんだけど」
見た目はいい。
なんだかトゲのある言い方ですが、仕方がありません。
あゆみちゃんは声優さんですが、自分に自信がなく、恥ずかしがり屋さんでもあり中々前に出られないタイプ…引っ込み思案さんなんです。
多くの声優さんは、舞台挨拶があったりイベントがあったりします。
ゆずちゃんの言う、慣れてなきゃとは、この事をさしてるんだと思います。
「…………頑張る」
と、あゆみちゃんは気合いを入れます。
両手をグッと握り締めるその姿。
あぁ…可愛いすぎます♡
「さて、夜は私が作るから楽しみにしててね」
『……!?』
「な、何よ?文句があるなら言いなさい」
「ももも、文句なんて、ね、ねぇ?」
「…………う、うん」
「ク、ク、ク。今宵の晩餐はいらぬ。アキラと作戦を練らねばならぬゆえにな」
アキラとは、修二さんの事です。
あだ名みたいなものだと思われます。
「修二さんは帰って来るのですか?と、レイは尋ねます」
「………!?」
「ひ、ひぃ!?」
「こら結衣。怖いからやめて頂戴」
「そ、そこまで、怖くないでしょ?」
「ん?違う違う。結衣が夕飯を作る何て言わないでって言ってるのよ」
さ、流石はゆずちゃん。
親友パワーってヤツです。
「な、何で私が夕飯を作るって言ったら、怖いって事になるのよ!ね?怖くないわよね?」
あゆみちゃんやひかりちゃんと私は、スッと視線を逸らします。
修二さんの言う「料理番組に呼ばれた時に自分が恥をかかないようにしとけ」とは、結衣ちゃんの為にかけられた言葉なのではないでしょうか?
「だ、だって、私だって作りたいんだもん」
「だっても何も、今日の当番は私よ。殺人料理は週に一度で充分よ」
「……届かないクセに」
「あ"」
「ま、まぁまぁ落ち着いて。ね?そ、そうだ!修二さんの分を結衣ちゃんが作ればいいんじゃない?」
ごめんなさい…修二さん。
「い、嫌よ!」
「え?どうして?」
理由を尋ねると、結衣ちゃんは顔を赤くしながら理由を答えてくれました。
「不味い料理を食べさせるだなんて……嫌われるじゃない」
「不味いっていう自覚はあったのね」
後半は聞き取れませんでしたが、自覚があって良かったです。ん?良かったのか?
「はぁ…仕方ない。私と一緒にやりましょ」
「うん」
「じゃぁ解散で」
昼ご飯を食べ終えた私たちは、各々が自分の部屋に帰って行きました。
ーーーーーーーーーーーー
遥の部屋。
カチャカチャカチャ。
「デビューかぁ…出来るのかな」
『だ、大丈夫だよ。お兄ちゃん』
カチャ。
『だ、だって…お兄ちゃんだから』
「グヒッ、グヒヒ…そ、そうかなぁ」
カチャ。
『アミはずっと、お兄ちゃんの味方だよ』
「ありがと♡アミちゃん…グヒヒ」
何だかいけそうな気がします。
あっ!アミちゃんとは、私の妹です。
【妹だけど愛さえあれば関係ないよね♡】という神ゲーの中の妹です。
可愛いんですよ♡
コン、コン。
ん?
「…全く。誰ですか」
素早く保存をクリックし、PCの電源を落とした私は、どうぞーと声をかけました。
「あゆみちゃん?どうしたの?」
部屋に入ってきたのは、あゆみちゃんでした。
「……遥。これ」
「ん?何これ?」
筒状のポスターを手渡された私は、サササッと広げました。
「…………ブ!?」
「ブ?」
そのポスターには、妹だけど愛さえあれば関係ないよね♡のキャラクターが描かれていたのです。
「ああああ、あゆみぢゃん。どどど、どうぢだのごれ?」
「…………事務所の先輩から貰ったから。遥から修二さんに渡しておいて」
私から。
修二さんが欲しがっているからと、声優であるあゆみちゃんにお願いしてあったのです。
その際は私から渡すからと伝えてあります。
勿論、嘘ですよ。
修二さんではなく、私が欲しかったのです。
なぜ嘘をつくのか?
簡単な事です。
気持ち悪いとか思われたくないからです。
「しゅしゅ修二さんったらもぉ。あははは」
くるくると筒状にはせず、自分の机の上に置きます。
「……………遥はどう思う?」
一瞬ドキッとしました。
「…どうって?」
「………このポスターって、妹だけど愛さえあれば関係ないよね♡っていうゲーム何だけど」
そう聞かれた私は思わず、神ゲーだよね!!と、声に出すところでした。
女の子がどハマりするゲームではない。
男の子向けに作られたゲームなのだから…。
どうする遥?と、私は悩みます。
ゲームでいうところの分岐点。選択肢。フラグ。
早い話し、私の出した答えによって、あゆみちゃんとの関係が変わるということです。
し、しかしですよ?
アミちゃん達に向かって、嫌いだなんて言えますか?
アミちゃん達が私の机の上から見てるんです!
ならば、私のとる選択肢は一つしかありません。
「このゲームって凄く面白いで有名だよね?私は好き……かなぁ」
やった事があるとも、持っているとも言わず、好きだと伝えます。
受けて側にゆだねる。という選択を私はしました。
「…………好き?」
「…う、うん」
アミちゃん達の前では嘘はつけませんから。
正直に答える私。
「……………どうして?」
当然ともいえる質問。
「う〜ん。声がいいからかなぁ」
「………!?」
これではまるで、やった事があると思われても仕方がありません。
しかし、何度も言いますが、アミちゃん達が見てるんです!!
嘘はつけませんよ。
私がそう答えると、あゆみちゃんは少しだけ、頬を赤くしながらこう言いました。
ありがと。と。
果たしてその意味が何だったのか。
果たしてあゆみちゃんはどう受け取ったのか。
答えはあゆみちゃんにしか分かない事です。
だけど私は思うのです。
きっと、同じ声優さんとして褒められた事が、嬉しかったんだろうな。と。
ーーーーーーーーーーー
あゆみちゃんが部屋から出た後、私はベッドの上でゴロゴロしていました。
「グヒ、グヒヒ…アミちゃん可愛いよぉ」
ポスターを天井に向けて広げ、何度も何度も見ていると、またしても来訪者です。
ふー。落ち着け私。
あゆみちゃんの時とは違い、少しだけ待ってほしいと伝えます。
ヨダレを拭き、髪を少し整えた私は、部屋を開けました。
「ク、ク、ク。コレを見よ!」
と、扉を開けるとひかりちゃんが携帯を差し出してきました。
デジャヴではないですよ。
携帯にはLINEの画面が開かれており、闇の力がとかのやり取りが並んでいました。
"アキラ"と書かれている事から、修二さんとのやり取りでしょうが、闇の力とかがどう関わっているのでしょうか…。
すーっと、会話のやり取りを見る私。
「こ、これは…す、凄いよひかりちゃん!」
そこには灼熱大陸の出演が決まったぞ。という事が書いてありました。
灼熱大陸。
何ヶ月かの密着があり、結城ひかりというタレントがどのような活動をしているか?どのような事を考えているか?そういった事をお届けするドキュメンタリー番組です。
「時は来た!にゃぁはっはっはっは!」
超人気番組の出演。
どれだけ凄い事か分かりますか?
「ちょ、ちょっと待って」
「クク。我に後退の二文字など存在せぬは!」
「い、いや、そうじゃなくて、密着って事はこの家に来るって事だよね?」
「…………!?」
「わ、私もインタビューとかされちゃうのかな?」
近隣住人として…というより、隣の部屋なんですけどね。
テレビの取材ですよ?
しかも、あの局の取材。
高視聴率のある番組に出られるかもしれない。
興奮するこの気持ち…分かりますよね?
「あぁ…どうしよう。服とかどうすれば良いかな?」
服や髪型など、女性ならこの気持ちが分かるハズです。
「ひかりちゃんはゴスロリ服だろうけど…って、ひかりちゃん?」
ひかりちゃんはいつもゴスロリ服を着ている為、迷わないハズなのですが、何故かプルプル震えていました。
心配になった私は、どうかしたの?と、声をかけました。
すると…。
「マ、マズイ…マズイぞ」
「何がマズイの?」
「こんな家に住んでる何てバレたら、マズイじゃろ!」
こんな家。
あまり言いたくはありませんが、ボロい寮です。
元々は学生寮であり取り壊しの予定だったこの寮を、社長である千尋ちゃんが買い取ったのです。
「え?ダメなの?」
流石にプライバシーがありますから、外観を撮って放送などはしないハズですし、部屋の中しか映さないハズですから、マズイ理由が分かりません。
「我は闇に生きる者なり。このような家ではいかんのじゃ!」
ち、近いよひかりちゃん…でも、可愛い♡
グッと握り拳を作りながら、力説してくるひかりちゃん。
「どういう家ならいいの?」
「うむ。館か城じゃな」
「え…と…」
「あるじゃろホレ!草が絡みついたような屋敷みたいな家が!」
ホラー映画に出てきそうな屋敷を要求するひかりちゃん。
「で、でも、それってヤラセなんじゃ?」
ヤラセ。
つまり、でっち上げるという意味です。
テレビ局最大のタブー(禁止)とされています。
「よいよい。どうせ外観など撮らぬのじゃから」
「じゃぁこの家でもいいんじゃ…」
「それもそうじゃな…となると、万が一この家の場合、ある物が必要じゃな」
「ある物?」
「うむ。執事ではないがメイドはおるし、眷属もおるのじゃが、我が眠りし安息の地に足りぬ物があるのじゃ」
メイドとは、レイちゃんでしょう。
眷属とは、修二さんの事でしょうか?
眠りし安息の地は、ベッドの事でしょうか?
「足りない物って何?」
「ク、ク、ク。棺じゃ棺」
「ひ、棺!?」
「そうじゃ。我はそこで魔力を貯め、夜に覚醒する者…棺がないといかんじゃろ?」
「となると今は、覚醒していないって事にならない?」
「…!?い、今は魔力を解放しておるから、だ、大丈夫なのじゃ!!」
うん。
やっぱり可愛いです♡
「仕方がない。ヤツにイデアリンクするしかあるまいか…」
「イデアリンク?」
と、質問をすると、ソナーとか、はたらくとか、魔王さまとか言われてしまいました。
何故分からぬのじゃ!と、怒られちゃったけど、おそらく修二さんにしか解読できません。
どうするのかな?と、ひかりちゃんを見ていると、携帯を操作し始めました。
もしかしたら、アプリの事なのかもしれませんね。
携帯を耳にあてるひかりちゃん。
どうやらリンク出来たみたいです。
「ク、ク、ク。我じゃ!」
自信たっぷりにそう告げます。
相手は修二さんでしょうか?
「ほほぅ。我に意見するとは、偉くなったものじゃのぉ」
どうやら何か言われたみたいです。
「しかと聞くが良いわ!」
バッと、左手を真っ直ぐ伸ばし、ひかりちゃんは言います。
「我はライトニング!この世界を救う者なり」と。




