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聖女の代行、はじめました。  作者: みるくてぃー
悲しみは出会いの始まり
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第9話 何でこうなった……

沢山のブックマーク&評価、ありがとうございます。


「な、何ですかこれは……」

 ラッテが部屋に入るなり目の前に広がる光景に思わず後ずさる。

「さ、さぁ? 新手の嫌がらせかしら……」

 何ですかと問われても答えようがない、私だってラッテが来るまで生きた心地がしなかったわよ。


 私たちの目の前に広がる光景、テーブルいっぱいに並べられた料理の数々。それも後から後から出てくる出てくる。

 思わずもう結構ですからと断ったわよ。


「これって食べていいのよね?」

「その筈ですが……」

 今この部屋には私とラッテ、そしてライムの三人だけ。しかも流石お城の客間というだけあり煌びやかな装飾が施された室内には、豪華な暖炉やゆうに三人は寝られるだろうと思われる天蓋付きのベッド、王女様の部屋も大概豪華だったが、あれは生活することを重点においたのか、この部屋に比べるとまだ落ち着いた感じだった。


 コンコン

 私たちが目の前の食事を食べていいのかと迷っていると、誰かが部屋を訪ねてきた。

「ど、どうぞ」

 ノックの音に私が答える。この場合これでいいのよね? ラッテなんて座っていたところを慌てて立ち上がり、急いで私の横に控えるように立つ。


「失礼いたします」

 入ってこられたのは二人のメイドさんを従えたご年配のメイド、確か名前がアドニアさん。


「ティナ様、先ほどは失礼いたしました。私はここでメイド長をしておりますアドニアと申します。改めましてこの度はユフィーリア様をお救いいただきありがとうございました」

 アドニアさんが腰を45度に曲げて頭を下げられると、それに付き従って後ろに控えている二人のメイドさんも同じようなポーズをとる。

 ラッテでメイドさんは見慣れたと思っていたが、目の前の三人は明らかにその動きが違う。


「あ、いえ、先ほども言いましたが、大したことはしておりませんし、私は平民ですのでそんなに畏まられても落ち着かないというか何というか……」

 貴族子女の教育を受けているならこの場に相応しい対応のしようもあるが、残念なことに私にそんな経験はない。唯一簡単な礼儀作法とダンスはエステラ様に教わったとはいえ所詮数日程度の付け焼刃、メイドさんへの対応も知らなければ目の前の食事のマナーさえも知らない。


「いいえ、それは違います。ティナ様は我らが大切にしておりますユフィーリア様のお命をお救いくださったのでございます。これが大したことでなければ何が大したことなのでございましょう。それなのに……。

 班長であるカミラが皆様に行った所業は只今調べさせております。明日にでも本人とそれに従った者たちには全員それ相当の処分を下しますので、どうぞご気分を悪くされないよう、お願いいたします」

 あ、やっぱり処分されちゃうんだ。さっきの話の流れからそうなるんじゃないかなぁとは思っていたけど、流石プロのメイドさんたちだ。悪いけど処分を取り下げてあげて、なんて言えるほど私はできた人間ではない。


「一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」

「はい、何でございましょうか」

 私は疑問に思っていたことを口にする。


「そのカミラさんってメイドさんは何で私たちにあんなことをされたんですか? 私が平民だからってだけではないですよね?」

 目の前のメイドさんたちを見てこれがプロだって分かった気がするんだけれど、先に出会ったカミラさんはどうもそんな感じがしない。仮にもお城に仕えているメイドさんなら主人が客人として迎えた者が平民でも、他の貴族の方と同様に扱われるのではないだろうか。


「お恥ずかしい話ではございますが、この度聖女候補生の皆様をお世話をしている者は皆、貴族出身の者でございました。本来ならもっと気を使うべきところだったのではございますが、警備上の問題で臨時に雇い入れる訳にもいかず、このような失態を犯してしまい申し訳ないと思っております」

「貴族? メイドをされている方が貴族出身の方なのですか?」

 それは初耳だ、メイドさんって平民が付く職業だと思っていた。隣に立っているラッテだって元は平民、それも露店主の一人娘さんだ。


「不思議に思われるかもしれませんが、この城内で働く者はそのほとんどが貴族出身でございます。もちろん一部の専門職に従事している中には平民出の者もおりますが、ここでは身元がしっかりしていることが第一条件となります。

 もちろん個人スキルも必要とはなりますが、それはおいおい学んでいけばいいこと。それに貴族と一言でまとめてはおりますが爵位を持たぬ家系も多く、一概に全員が裕福かと言えばそうでもないのでございます」

 あぁ、なるほど。確かにここはこの国で一番重要な場所には変わりない。そんなところにいくら能力が高いからっておいそれと雇う訳にいかないんだ。


「ってことは私がここにいたらマズイんじゃないんですか?」

「その点はご心配には及びません、ティナ様はソルティアル子爵様の推薦をいただいておりますので身元保証は問題ございません」

 うわぁー、何このプレッシャー。私が何か問題を起こせばクラウス様に責任が行くって意味だよね、こんなところで釘を刺してくるなんて流石この城のメイド長さんだ。



 この後アドニアさんは下がり、残された二人のメイドさんに給仕をしてもらいながら食事を頂いた。

 ラッテなんて同じメイドさんで、しかも貴族出身と聞かされた後なので、カチコチに固まって何を喋っているか分からなかったわよ。でも貴族出身って聞いていたけれど、二人とも気さくな方で大変よくしてもらった。中でも王女様の話に至ると自慢げに色々おしえてくれた、幼い頃はどうだった、庭園でお花を愛でるのが好きだとか。私は王女様と話すことはできなかったけれど、どれだけ周りの人に愛されているかはこの二人を通して感じることができた。

 そしてその日の夜……




「何でこうなった……」

「そ、それは私の方がききたいですよぉー」

 私のつぶやきを、ラッテが目に涙を浮かべてすがってくる。


 ここはアルタイル王国アルタイル城、ここまでは良しとしよう。これでも聖女候補生として覚悟を決めて来たんだ。少なくとも一年間は頑張らなければならない。だけど……

「何で私は王女様の隣の部屋にいるんだろう?」

 そう、ここはお城の中の中、国王様のご家族が生活するプライベートエリア。

 昼間は緊急事態だったために入ることができたが、本来聖女候補生どころかお城に仕えている方でも選ばれた者でないと入れない場所。

 この部屋の向かいには国王様と王妃様の寝室があると聞かされては、ウトウトと眠れるわけがない。


 部屋の中には王女様が寝ておられた物と同じ天蓋付きベッドに、臨時に用意された簡易ベッドが一つ。つまりはラッテもここに泊まれと言うことなんだろう、本人には悪いが一人でないことが非常に嬉しい。



 数時間前、昼食を頂いた私たちはそれぞれの自分の仕事に戻った。ラッテは部屋の掃除、私は草むしりの続きをするために神殿に。そして割り当てられた宿舎に戻った私は夕食の用意ができていると言われ、ライムと共に本城に案内された。

 いやいやいや、何でまた本城に来ているのよ、っと自分で軽いツッコミを入れつつ待ち受けていたのは国王様と王妃様。

 なんじゃこれ! ってテーブルをひっくり返たい衝動を必死に抑えつつ、何とかお二人を前に食事をやり過ごしたかと思うと、次に案内された先はこの部屋だったというわけだ。

 因みにラッテはお城のメイドさん(エリート)と一緒に食事を済ました後、この部屋に連れて来られたらしい。

 帰りたい、めっちゃ帰りたい。


 結局豪華なバスタブで湯浴みをした後、ベッドに入って僅か一分で熟睡したことには触れないでほしい。私だって疲れていたんだよ!


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