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第7話

『お前、何してるんだ?』


声をかけたらかけたで少年は飛び上がって驚いた。そして酷く怯えていた。


『通じなかったか?』

「なっ、なっ、喋ってる!?」


【念話】にすごく驚いてる。やっぱり喋る魔物って珍しいのかなあ。


『喋ってはいない。俺には発声器官がないからな。これは【念話】。俺もまともに使うのは初めてだけど。』

「今話してるのは目の前のスライムさん?」

『そうだ。』

「ほへえ~…」


少年は尻もちをついたまま呆けている。ふわふわ淡い茶色の髪に蜂蜜色のくりっとした瞳。鼻は小ぢんまりしているけど形よく。唇も口角が上がっていて好ましい。ポカンと開けた口は八重歯が少し長いように思う。決して美貌の少年というわけではないが、全体的に愛嬌のある顔立ちだ。


「あ、あの。助けてくれてありがとうございます。もう少しで死ぬところでした。」


少年がぺこりと頭を下げる。


『どういたしまして。それでお前は何をしてたんだ?ここには危険な生き物がいるって教わらなかったのか?』

「そ、その僕…」


俺はこの少年がつくづく男で良かったと思った。女の子だったらこんなに強気に話しかけられないところだよ。前世魔法使いを舐めるな。

少年の発言をまとめると、少年は11歳である。この国では11歳までは基礎教育。そこから少しでも才能があれば12歳から15歳まで専門的な学問を学べる。しかしジョブ制度というものがある。3歳の頃教会で洗礼を受けた時ジョブが発覚する。少年のジョブはテイマー。テイマーは所謂不遇職らしい。ティムする為には相手を屈服させる必要があり、つまりは従える魔物より強くなければならない。そんなに本人が強いんだったら自分で戦うっつーの。というのが一般論だ。ティム出来ない事はないけどティムできるのは明らかに自分より格下な魔物ばかり。少年は15歳まで通える方の学校に行きたくて一発逆転を狙って森に入り、危うく森狼の餌食になりそうになった…というわけだ。


『とても屈服させられそうには見えなかったが…』

「無謀だったなあ、と思っています。」


まあ、これでこの少年も懲りただろう。なんて毎日格上にチャレンジしている最弱の名を冠するスライムです。最近「スライムって知能があれば結構強いのかも?」と思ってるところだけど。

しかし人間の街はちょっと面白そうだな。行ってみたいけどスライムじゃ無理か……ん?


『普通従魔は街中に連れて入れるのか?』

「入れるよ。あんまり大きいと無理だけど。宿屋とかだと従魔用の宿舎がある。」

『じゃあ、俺をティムしろよ。』

「ええ!?」

『お前は従魔が欲しい。俺は街に入りたい。利害は一致してるだろ?そうそう無茶言わない限り要望にも応えてやってもいいぜ?』


この少年なら御しやすいと思うし。ティムされた従魔の生活にもちょっと興味ある。餌は何が出てくるんだろう?概ね何でも食べるけど。テイマーって将来的には冒険したりするのかな?うぬ。オラなんだかワクワクしてきたぞ。


「要望って言うか、ティムしたら、僕の命令は聞かなくちゃならなくなっちゃうよ?」

『なに?そんな無茶苦茶な事命じる気なの?』


それならお断りするが。脳裏にショタ神の姿がよぎる。無茶振り怖い。いくら俺でもオーガの群れに単騎突撃して来いとか言われたら泣いちゃうんだからね!…スライムは涙が出ないけど。


「まさか!常識の範囲内だよ!…でも」

『うん?』

「スライムは弱くて知性も低いから、ティムしてもあんまり評価にならなくて…」


まあ、確かに普通のスライムは弱いよな。頭もボディも。誰にでもティムできるんだから評価が低いのも頷ける。


『それが【治癒魔法】と【酸弾】を使える個体でもか?』

「使えるの!?」

『ああ。』

「それなら評価されるかも…って言うかさっき狼を倒したのは水魔法?一瞬にして現れたのは??」

『俺は確かに色々魔法を使える。でもあんまり異色のスライムだと評価はされるかもしれないけど、他人に取り上げられたりしないか?』

「それは…確かに。」


研究所送りであちこち調べられたりするの嫌だよ?複数の魔法が使えて、人型になって戦えるとか知られたら…ブルブル。


『俺が使えるスキルは【治癒魔法】【酸弾】【分裂】だけということで。』

「わかった。じゃあ、ティムしてもいい?」

『かまわない。』


少年は祝詞のような呪文を口にして人差し指でツンと俺をつついた。つつかれた部分がぽっと温かくなる。案外心地よい感覚だ。


「後は名前を付けるんだけど…」

『格好悪い名前を付けたら承知しないからな。』


自分のネーミングセンスは棚上げして言う。


「うう…『ラヴィ』ってどうかな?」


天宮和希改めラヴィね。


『まあまあじゃないか?お前の名前は何なのさ?』

「僕はリオン・クラヴァス。アートミル初等部3年。普段はリーフィの街で暮らしているよ。」

『そうか。リオン、よろしく。最後になるけど…』

「?」

『【念話】って多分口に出さなくても喋れると思う。今度から黙った方が良い。頭のおかしな奴と思われたくなければ。』

「早く言ってよ!」


リオンは頬を膨らませた。


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