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ジェニファー②

父親に自分から話しかけたうちの出来事の一つ。


「もう、なにがわからなくて何を聞いたのか覚えていないんだけど、取りあえずパパに聞いたの。多分小学生のときだった。宿題がね、わからないところがあって。おばあちゃんに、パパに聞いてみなさいって言われて」


タリアはジェニファーのおばあちゃんの葬式に出たことを一瞬思い出した。

初めて見た死んだ人。

蝋人形みたいになってた。


「自分で考えなさいって言われたのよ。自分で考えろ。だからわたしはパパに一切聞かなくなった。成績が良くても悪くてもなにも言わないし、なんの反応もない。わたしが具合悪くしててもなにも言わない、遊んで遅くなってもなにも言わない。興味がないのよ、自分の娘に。だからわたしも関わらないことにしてるの。お互い趣味も好みもなにも知らないわ。話すことがないの。ママがあいつをどう思ってるか知らないけど、なにも言わないしケンカもしないから別にこれでいいのよ。仕事熱心でタバコアルコールギャンブルを嗜まない、なにも喋らない。最高でしょ?」


「うちは勝手に部屋に入るし、電話が長いと誰が相手かいちいち聞いてくるしもちろん遊び相手も報告しなきゃだし、最近やっとビールの缶が減ってきたくらいでまだ立派な依存症。勉強勉強うるさくて良い仕事につけとか、でもそのくせ自分は何回仕事を変えたの?って言いたくなるわ。最悪なことにちょっとお風呂が長くなると見に来るのよ」


「ママが?」


「エドが」


「うえっ信じらんない」


それでもジェニファーは自分とは全く違う家庭のタリアをうらやましく感じ、でもあまりにも干渉されるのは死ぬほど嫌だなと思った。

タリアもきっと同じように思っているだろう。

あまり干渉されたくないけど、同じ家にいて全く会話がないなんて窮屈そう、とか。

まるで家族じゃないみたい、とか。

でもそういう家もある。親を選ぶことは出来ない。



タリアとジェニファーは買い物の約束をし、別れた。

もう何回一緒にしたかわからないくらいの買い物。服とか、化粧品とか。

それがずっと続くと信じていた。

 









家に着いたらもうパパがいた。

上着がかかっていたから。

リビングに行く前にママがキッチンへと呼んだ。

ちょっとした問題が起こったみたいなのよと小声で言う。

ジェニファーは知ってる、見たからと言って、冷蔵庫を開けオレンジジュースをコップに注いだ。


あんなのバカみたいだわ、と言い肩をすくめて見せるとマリオンは笑った。


そうよね、一体なんなのかしらね、大騒ぎしすぎよねといい、鶏肉の塊を出したかと思うとフライパンに叩き込んだ。


ジェニファーは乱暴だと笑った。

マリオンはこうしたほうが軟らかくなるんだからといい、肉を包丁の柄でぐいぐい押していた。


ジェニファーは母親に言われ玉ねぎを切ることにした。

ジョージの話は解決した。

ジョージが一言も参加しないままキッチンで。


二人の中ではこの話題は馬鹿馬鹿しいという見解で終わってしまった。




だが、デービッド・ブルーリーにとっては馬鹿馬鹿しい話ではすまなかった。

そして、ドリー・エリオやミラ・カーティスにとっても。


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