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ルーシー⑥

「パパのことを考えていなかっただろう、あの男か、ジョージなんとかのことでも考えていたのか?そうなのか?そうなんだな?そうだと言え!」


先生は、違う、と言いたかったけれど。

ルーシーがなにか言ったところで聞き入れてもらえないのは初めからわかっていた。


違うと言っても否定され、黙っていたら本当のことだから都合が悪くて口に出来ないのかと言われた。

なら一体どうしろというのか。

ルーシーにはただ黙って耐えて、この嵐のようなときが過ぎるのを待つしかなかった。


不意にデービッドが体内から出て行った。

ルーシーはようやく終わりが来たのだと、なんの疑いもなくそう思ったのだが。

体がひっくり返された。フローリングに自分の顔がぼんやり見える。

先週父親がワックスをかけていたことをルーシーは思い出した。


自分が一生懸命掃除をした床でこんなことをするなんて。

デービッド・ブルーリーは頭が悪いのかしら。


ルーシーの小さな現実逃避は彼女自身の悲鳴で消えた。

さっきとは違う場所が、さっき以上に痛みと圧迫感を引き連れてやってきたからだ。


どんなに叫んでも郊外に構えるデービッドの要塞には誰も来ない。


「パパは本当はこっちのほうが好きなんだ」


そんなこと知りたくもなかった。


「ルーシー、もっとケツをあげろ」


本当に、知りたくなかった。

 


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