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ルーシー③

「あなたたちが、一部の生徒が疑っているような関係であるとは思ってもないし、これはただの言いがかりに近いようなものだと感じます、けど!なんにしろ妙な噂の原因となる行動を実際にしていたのも事実であって、そういった騒動が収まるまでルーシーは資料室に行くべきではないとわたしは思います」


ハンナ・キーブリーは少しの沈黙のあといきなりそう口にした。

校長は困惑しているような呆れているような表情をしているし(誰に対するのものなのだろうか)ルーシーは。

ルーシー・ブルーリーは俯き、手と口をきゅっと締め付けている。自分自身で。


ジョージは自分がここに着く前になんらかの話が進められたのがわかったし、そこにいる四十過ぎでいまだ独身のハンナ・キーブリーが、話を自分なり、かつ勝手に解決させようと夢中になっているのもわかったが、話を巻き戻さなくてはならなかった。


ルーシーの様子を見る限り、確実に彼女の不利益な事態(おそらく不本意なものだ)に陥っているからである。


「一体なんの話をしていて、それを解決しようとしているのか私への説明はないのでしょうか」


「先生は心当たりがないのですか」


ハンナは最初からご機嫌ナナメだった。自分の受け持ちの生徒がなにか問題を起こしたら面白くないのはわかる。面倒だからな。あれこれと。


「全く、問題になるようなことはなにもしてはいません」


「この画像、生徒同士で見ていたんです」


ハンナは携帯端末をこちらに向けた。

そこには資料室を出て行くルーシー、そしてジョージの姿、図書室で本を片手に並んでいる二人の姿があった。

最初の画像には毎日!と書かれていたし、図書室のものはわざわざ触れた瞬間の手を拡大してあった。


「これは、なんですか、一体」


「女子生徒同士でぎゃあぎゃあバカ騒ぎして見ていたんですよ、授業中に!取り上げたリチャード先生が持ってきてくれたんです」


なにも、していない。

やましいことなどなにもしていないのにこの状況は一体なんなのだろう。この画像の一体なにが問題なのだろうか。

教師と親しい生徒などたくさんいる。特に部活動に夢中な生徒を見ろ、コーチとまるで恋人同士のような距離感ではないのかなのになぜ、


「これが、これになんの問題が、」


校長が口を挟んだ。


「感謝祭が控えているのに、揉め事を作ろうとしてはだめだろう」


感謝祭。感謝祭!

町をあげたバカ騒ぎが重要なのか!

奪うだけ奪い、汚染しておいてなにが感謝祭だ。なんとも都合のいい言葉だ。


「昨年に引き続き、今年も花火を上げるつもりだ。前回より多くな」


「校長、今その話は、」


「だからな、つまりだ、その分人手がいる。ここ何年かは夜忍び込む馬鹿者もいないわけだしな、校内の見回りを君一人に一任しようかと、少し前から思っていたところだ」


校長は一旦ここにいる全員の顔を眺めてから、また口を開いた。


「つまらん女同士の揉め事はいまやネットの力を借りて昔以上に事態を深刻化させている、それはわかる。大いに理解できる。だが起きてしまった騒ぎを収めるには、どちら側もまずは大人しくしなければならない、静かに何事もなかったかのように。ルーシー、君はしばらくジョージ先生のところへ行くのをやめなさい。この先永遠に行くなという話ではない、まずしばらくは様子を見て、」


「なにも、なかったんです。なかったかのようにじゃなく、なにも起こっていません最初から」


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