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ネイサン

〈これで、今回で、君との、そのこういったやり取りを終えようと思うこれが最後になる、アーサー君が嫌いになったわけでもついていけなくなったわけでもない、アーサーすまないわたしはこの先、、君とはなすことができなくなるんだアーサーわたしは行動を起こす、終わらせる。がきたんだ〉


〈ネイサンどうしたんだ?落ちつけ深呼吸して、俺だけに向かい合うんだネイサン。例の議員でも乗り込んできたのか?〉


〈ああ、彼は死んだ偽善者の肉はとっくにコンクリートの染みだ違うアーサーわたしはいつかこの日が来ることをずっと夢見ていた哀れなあいつらを連れていかねばとずっと思っていた国境を越える前からずっとそしてついになあアーサー〉


〈なんだ?ネイサン〉


〈成功を祈っててくれ〉


〈ああ、ネイサン。祈ろう。君のために〉


〈ありがとう〉








あのやり取りから三日経った。

アーサーのことを思い出し、ネイサンは一瞬手を止めた。


アーサー・グレイフィールド。


ネイサンの理解者。同胞。いや指導者といってもいい。

元々ネットでカウンセリングの真似事をしていたのはネイサンの方だった。

自分の顔写真につられた女たちを誑かすだけの男。


ある日、ネイサンの箱庭にアーサーがやってきた。彼は言った。




このままでいいのか?ネイサン・シルヴァーノン。現状に満足しているのか?していないだろう?俺にはわかる。君にはもっと多くの人々を惹きつけることができる。気づいていただろう?もっとたくさんの人が君の話を聞きたがっていることに。そこに性別や年齢、人種は関係ない。先の見えない彼らに君の言葉を与えるんだ。君が思う通りに。行動を起こそう。




彼に知り合えて本当に良かった。自分を見つけ出してくれて本当に感謝している。

ずっと、ネイサンが知る前からずっとアーサーは戦ってきた。一人で。広大な土地で彼は一人戦い抜いているのだ。


もしかしたら、わたしなんかよりも彼こそが、選ばれた人間で。

そうだわたしは引き寄せられる運命だったのだ、私に引き寄せられ運命を共にした我が兄弟姉妹、妻や子供たちと同じように。


そして家族は全て息絶えた。ネイサンはしっかり見届けた。皆、旅立った。彼の妻たちも子供も。

ネイサンの分の毒がなくなったので、床を這いずり回りやっと銃弾を一つ拾うことができた。


さぁこれで、終わりだ。


初めて口にした銃口は苦くて生温かく甘い味がした。


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