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第二章 護衛との暮らし

 その翌日、アオイは自室で朝を迎えた。

 アオイの私室は二つに分かれていて、手前はソファーやテーブルが置かれた寛ぐための部屋、奥がベッドのある寝室となっている。どちらもゆったりと広く、品の良い調度品が置かれ、いかにも貴族令嬢の私室といった雰囲気だ。

 その寝室に、シオンが寝具を持ち込んで警護し、手前のリビングにコウとオールが待機している。

 いつも一人で過ごしていたこの部屋に突然三人もの人間が増えた事で、日常が変化してしまった事を実感する。

「おはよう、アオイちゃん」

 アオイが目覚めた事に気付いたシオンが、ベッドの脇に立つ。

「ん……おはよう」

 アオイは寝惚け眼を擦りながら上体を起こし、ぼんやりと答える。それから、すっかり準備の整っている様子のシオンを見て、首を傾げた。

「シオン、もしかして寝てないの?」

「ううん、ちゃんと寝たわよ。あたしはこういう仕事に慣れてるから、睡眠時間少なくても大丈夫なの。その代わりお肌のお手入れは欠かせないけどね」

 ふふ、と笑いながら答えるとシオンはクローゼットを開けた。クローゼットといっても、小さな衣裳部屋のようなもので、中にはずらりと様々なドレスが並んでいる。

「さ、今日はどの服を着るの?」

「今夜、お城でパーティーがあるから、昼間は簡単なワンピースで良いわ」

 ベッドから降りながら答えると、シオンは僅かに眉を顰めた。

「パーティー……? それは厄介ね」

「厄介?」

「命を狙っている者がいる時、不特定多数の人間が集まる空間はとても危険よ。何処で誰が見ているか解らないからね」

 言いながらも、彼女は言われた通りのシンプルなワンピースを取り出す。それを受け取ったアオイは、彼女の言葉に視線を落とした。

「それもそうね……でも、国王陛下主催のパーティーを欠席するなんて失礼はできないわ」

「そう……なら、充分注意して臨みましょう。勿論あたし達も一緒に行くわ。コウちゃんかオールちゃんをエスコート役にして、片時も一人にならないようにしてね」

「解ったわ」

 頷いて、アオイは寝間着からワンピースへ着替えると、その後食堂へ移動した。

向かいにコウとオール、隣にシオンという席順で座り、朝食をとる。

 本来であれば、ボディーガードが依頼人と共に食事をする事はないだろうが、父は仕事が忙しく食事を一人でとる事が多いアオイは、是非共にと申し出たのだ。

 ボディーガードとはいえ、共に食卓を囲める者がいるのは、なんだか嬉しかった。

 昨日は突然日常が変化した事もあり、戸惑いの中落ち着かない夕食をとる羽目になってしまったのだが、一晩経って気分も落ち着き、今日は穏やかな気持ちで朝食をとる事ができそうだ。

「いただきます」

 アオイはまずスープを飲もうと、スプーンをそっと沈めた。

 しかしそれを口に運ぼうとした時、コウが鋭く制した。

「待て」

「え?」

 コウはアオイの前に置かれたスープを睨むように見つめ、それから自分の手元にあるそれと見比べた。

 そして無言のまま席を立つと、アオイの横に歩み寄り、そのスープの器とスプーンをそっと取り上げた。

「え、あ、あの……」

 飲もうとしていたスープを奪われ、アオイは困惑しながらコウを見上げる。彼は無表情で踵を返すと、そのスープを壁際に飾られた花瓶の花にざっと掛けた。

「っ! な、何を……!」

 美しく咲いている花にそんな事をするなど信じられない、そうアオイが抗議しようとした瞬間、目の前の光景に息を呑んだ。

 飲み頃の温度で出されたはずのスープが、花に掛けられた瞬間、しゅうしゅうと煙を上げたのだ。花は一瞬にして見事に枯れてしまった。

「毒が、盛られていたようね……それも、かなりの猛毒」

 シオンが剣呑に目を細める。

 その言葉と目の前で起きた出来事に、アオイは思わず口元を押さえた。

 掛けただけで花が枯れるような猛毒を口にしたら、おそらく助からないだろう。

 そんなものが朝食のスープに盛られるなど想像もしなかったアオイは、驚きと恐怖に身を震わせながらコウを見つめた。

「……ど、どういう事?」

 しかし彼は彼女の問いには答えず、食堂の入り口に控えていたジョーヌに目を向けた。

「今日の朝食を用意したのはお前か?」

 事の成り行きを見ていた彼女は、びくりと肩を震わせた。

「は、はい……し、しかし、お料理は全てシェフが……! わ、私は、毒など……!」

 コウに睨まれた彼女は、怯えながらも必死に否定する。

 彼女の性格を良く知っているアオイは、堪らず席を立った。

「コウ、ジョーヌが毒を入れるなんて絶対にないわ! シェフだって、もう何年もうちで働いている料理人なのよ? それなのに……」

「この世に絶対はない。お前を殺すためだけにこのラピス家に仕えにきたのなら、まず家人の信頼を得ようとするだろうし、最初は純粋に仕えていたのだとしても、大金などで釣られて毒を盛る可能性も否定できない」

 淡々と言いながら、彼はジョーヌをじっと見据えている。完全に彼女を疑っているようだ。

 その彼の態度に、アオイはジョーヌを庇うように二人の間に割って入った。

「そう言うなら、ジョーヌやシェフがやったって証拠を提示して。状況証拠だけじゃ、私は信じないわ」

 頭一つ分ほど身長の違う青年を真っ向から睨み、反応を待つ。

「此奴等は住み込みか?」

「え、ええ……うちで働いている使用人はほとんどが住み込みよ」

 そんな事を聞いてどうするのか、アオイが尋ねようとする前に、彼はオールとシオンを振り返った。

「オール、シェフをすぐに呼んで来い。俺は此奴とシェフの私室を見てくる。シオン、その間頼むぞ」

 指示を出すと、二人がそれに応じる間もなく、彼は食堂を出て行ってしまう。廊下から、他の使用人に二人の部屋を聞く声が僅かに聞こえ、足音が遠ざかっていった。

 残された四人の間に、何とも言えない沈黙が流れる。

「ったく……しょうがねぇな」

オールは仕方なく食堂の隣にある台所へ、シェフを呼びに行った。

 シオンは万一ジョーヌがアオイの殺害を狙う犯人だった時のために、そっとアオイの傍らに移動する。

「あ、アオイ様、わ、私は、何も……」

 小刻みに震えながら訴えようとするジョーヌに、アオイは笑みを浮かべて頷く。

「大丈夫よ、ジョーヌ。私は貴方を信じてるから」

「あ、ありがとうございます……っ」

 涙を浮かべながら彼女は(こうべ)を垂れる。

 其処へ、朝食を作ったシェフがオールに連れられて食堂へ入ってきた。コックコートを纏った壮年の男性は、状況が理解で来ていないらしく訝しげな顔でアオイを見る。

「お嬢様、一体何事でしょう? 私の料理に、不手際でも……?」

「スープに毒が入っていたの……ブランのせいじゃないとは、思ってるんだけど……」

 今の状況からして、シェフと使用人を疑っているのは明白だ。

 アオイとしては、二人を信じたい気持ちが強い。しかし、料理に毒が盛られていた以上、調理した人物とそれを並べた人物が怪しいと考えるのも理解できる。

 慣れ親しんだ二人を疑わざるを得ない状況に、アオイは悔しげに唇を噛んだ。

「ど、毒が? い、一体そんなもの、誰が、いつ……!」

 ブランと呼ばれたシェフは、おどおどとテーブルに並べられた料理に目を向けた。

 その反応に、オールは肩を竦める。

「それは解らない。だがコウはアンタ達を疑ってるんだ。だから、アンタ達の私室を調べに行ってる」

「わ、私を疑っているのか! 私はもう十年近くラピス家で料理を作り続けているんだぞ! 毒を盛るなど絶対に有り得ん!」

 顔を赤らめて激昂するブランに、アオイが宥めるようにその両手を握る。

「ブラン、解ってるわ! 落ち着いて! 私は信じてるから!」

 信じてる、その言葉にブランははっとした様子で言葉を呑み込むと、腕を組んで唇を引き結んだ。

 そのやり取りを見ていたシオンが、冷静に口を挟む。

「貴方が何もしていないと主張するなら、私室を調べたって問題ないでしょ? 興奮して否定する方が怪しまれるものよ」

 その尤もな言い分に、ブランとジョーヌは顔を見合わせて頷き合った。

「ああ。私は何もしていない。好きなだけ部屋を見れば良い」

「私もです! どんなに部屋を見られたって、問題などありません」

 その言葉通り、二人の私室や厨房などから、毒物は一切出てこなかった。

 朝食を作り直すと申し出たブランに、コウはそれを見張ると言って共に厨房へ向かった。

 完全に疑いが晴れた訳ではないという理由と、ブランが犯人ではないとしても、他者がこっそり毒物を混入させる可能性もあるためだ。

 最初は不愉快そうな顔をしたブランだが、シェフを見張るのではなく料理を見張るのだと主張するコウに納得し、同行を承諾したのだった。

 結局、ちゃんとした朝食を食べられるまで待たされる羽目になったアオイは、今にも鳴りそうなお腹をそっと摩りながら、疲れた表情で椅子に腰掛けたのだった。



「……なんだか、朝食食べるだけでどっと疲れちゃったわね」

 アオイの自室に戻ってきて、シオンがやれやれと肩を竦めた。

「それにしても、よくスープの毒に気づいたな」

 ソファーに腰を下ろしながら、オールがコウを振り返る。彼は呆れたように小さく嘆息した。

「暗殺で多いのは毒殺か闇討ちだ。料理に気を掛けるのは当然だろう。そうでなくても、アオイのスープだけ、若干色と湯気の出方が違っていた。気付かない方がおかしい」

 暗に毒に気付かなかったオールとシオンを批判しているような口ぶりでそう言うと、彼は二人から距離を取るように窓際に置かれた書き物机の椅子を引いて座った。

「……アオイちゃん、大丈夫?」

 朝食が作り直されるのを待っている間から口数が少なくなっている彼女を気遣うように、シオンが顔を覗き込む。アオイは複雑そうな表情を浮かべながら頷いた。

「うん、大丈夫……ただ、この屋敷の中でさえ、安全じゃないんだって思うと、やっぱり怖くて……」

 ソファーに座り、膝の上に置いた拳をぐっと握り締める。

 先程目にした、一瞬にして枯れた花が脳裏に焼きついて消えない。コウが気付いてくれなければ、自分はあれを口にしていたのだ。それを考えると、ぞっとする。

 小さく震えるアオイに、向かいに座るオールが力強く言い放った。

「安心しろ。俺がいる限り、アオイは絶対に死なせないからさ!」

「……うん」

 頷きながらも、彼女の表情は暗いままだ。オールとシオンが少々痛ましそうな顔をすると、アオイは小さく呟いた。

「……今日のパーティーは、やめようかな……屋敷でこれじゃあ、色んな人が集まるお城なんて……」

 不安が押し寄せ、欠席は国王に失礼だという考えさえ抑え込んでしまう。

 彼女の心境を察したシオンが、納得の様子で頷く。

「そうね。そんな気持ちで行ったって、絶対に楽しめないもの。すぐに欠席の連絡をすればきっと大丈夫よ」

 使用人を呼んで欠席の旨を城へ伝えてもらおうと、シオンが立ち上がるが、意外にもコウがそれを呼び止めた。

「待て。国王主催のパーティーなら、出席したほうが良い」

「え、で、でも……」

「俺がついていれば、心配する事は何もない。それよりも、こんな殺害予告などに怯え、国王へ失礼を成す方が問題だ」

 そう言われてしまうと、アオイは何も言い返せなかった。

 ラピス家の令嬢として、父と共にパーティーに出席するのは義務も同然だ。ましてそのパーティーは国王主催で、各地から貴族が集まる盛大なもの。それを欠席するのは、父の顔に泥を塗る事になる。

 母を幼い頃に亡くしているアオイにとって、父は唯一の家族であり、自分を此処まで育ててくれた大切な人だ。その父の名誉を汚すような真似など、できるはずもない。

「ラピス氏には、俺から毒の件は報告しておく。お前は準備を整えておけ」

 言うや、コウは部屋を出て行ってしまった。グリーズは大抵書斎で仕事をしているため、其処へ向かったのだろう。

「……あんな言い方しなくても良いのにな」

 オールは唇を尖らせる。シオンも同感のようで、腕組みをしながら頷いた。

「コウちゃんの言ってる事も解るんだけどね……コウちゃんは、言われた側の気持ちを全く考えてないのよ」

「でも、コウの言っていた事は正しいと思うわ……私は、パーティーには出席しないといけないんだから」

「ああ……でも、あんま無理するなよ」

 まだ毒を盛られたショックから抜け出せていないのは明らかなのに、そんな状態でも気丈にパーティーへ出席すると言うアオイを、オールが心配そうに見つめる。

 そんな彼の気遣いが嬉しくて、アオイはなんとか微笑んで応えようとする。

「ありがとう、オール」

 だが、いまだ恐怖が抜け切れず、顔が引き攣っているのが自分でも解る。

 こんな調子で、パーティーに出ても大丈夫なのだろうか、そんな不安も相俟って、気分はますます沈んでしまう。

「……ねぇ、パーティーは何時からなの?」

 空気を変えようとしてか、シオンがわざとらしく明るい口調で問う。

「パーティーそのものは夕方六時からだけど、私はお父様のお仕事が終わってから一緒に行くから、少し遅れるかな」

「そっか。それまではどうしているつもりなの?」

「今日は三時まで勉強しようと思ってるの」

「勉強?」

「うん。私は学校へ行ってないから、三日に一回先生がわざわざ来てくれるの。先生は明日来るから、今日中に宿題をやらないとね。昨日はできなかったから」

「先生がわざわざ来るなんて、さすがラピス家だな」

 オールが感心した風情で呟くと、アオイは何故か寂しそうに視線を落とした。

「本当は、私も学校に行きたいんだけど……ラピス家だからとかじゃなくて、私は特別だから駄目なの……」

「……特別?」

 オールとシオンが揃って首を捻るが、アオイは曖昧に微笑み、それ以上は言おうとしない。

 その様子に何かを感じたシオンは、小さく微笑んで話を戻した。

「……じゃあ、あたし達はその間に交代で少し休みましょうか。オールちゃんも、昨日はあまり寝てないでしょ?」

「そうだな。勉強してる間なら、警護も二人で充分だし、交代で一時間ずつ寝るか」

 シオンの提案に頷いたオールが、意見を求めてアオイを見る。彼女は即座に快諾した。

「そうしてくれると、私も気が楽だわ。私のために睡眠時間を削るなんて、何だか申し訳ないから」

 ボディーガードとして雇われている者達を気遣うアオイの言葉に、オールは柔らかく微笑んだ。

「アオイは優しいな。こんな依頼人は初めてだ」

「こういう女の子だからこそ、本気で護ってあげたくなるわよね」

 シオンも笑顔で同意する。

 と、其処へ扉がノックされ、「入るぞ」という短い言葉の後、コウが扉を開けた。

「おかえりなさい。お父様は何か言ってた?」

 振り返ったアオイに、コウは無表情で答える。

「お前が無事で何よりだと言っていた。だが、パーティーには変わらず出席するそうだ」

「解ったわ。コウ、ありがとう」

 笑みを浮かべて礼を言う彼女に、コウは僅かに怪訝そうな顔をしたが、無言で椅子に腰掛けた。その様子に、シオンがそっとアオイに耳打ちする。

「もしかして、照れてるのかもよ」

「え? そうは見えないけど……」

「男心は、女には解らないものよ。女心が男に解らないのと同じでね」

 シオンはそう言って悪戯に笑う。

 何だか腑に落ちない気持ちで首を傾げながら、アオイは窓際のコウを一瞥する。

 視線を窓の外へ向ける姿は照れているようには見えないが、冷淡でも真面目に自分の事を護ってくれる彼が、妙に頼もしく思えた。




 昼食を済ませた後、アオイが勉強をしている間に、三人は交代で一時間ずつ仮眠を取った。

 そして夕方六時になる少し前、アオイがシオンと共にパーティー用の豪華なドレスに着替えて玄関ホールへ向かうと、こちらも正装に身を包んだコウとオールが待っていた。

 警護とはいえ、国王主催のパーティーに乗り込むのだから、それなりの格好をする必要があると、グリーズが三人の衣装を用意してくれたのだ。

 アオイはその二人のタキシード姿に思わず見惚れた。これまであまり意識していなかったが、二人共タイプは違えどかなりの美形なのだと今更ながら気付く。

 そんなアオイ自身はブルーを基調とした可愛らしいデザインのドレスを纏い、髪も華やかなアップスタイルにしている。アオイが青年二人に見惚れる以上に、オールが、華やかな彼女の姿に言葉も忘れてぼうっとしていた。

「あらら? オールちゃん、そんなあからさまに見惚れないでよ」

 うふふ、とからかうように笑うシオンも、落ち着いた深紫のドレスを纏っている。アオイのものと違い、デザインは動きやすさを重視したシンプルなもので、やはり露出度は普段通りに高い。

「お、俺はそんなっ、アオイに見惚れてなんて……!」

 見る見る赤くなって否定するオールに、シオンはにやにやと意味深な笑みを浮かべる。

「あら? 誰もアオイちゃんに見惚れないでなんて言ってないわよ。オールちゃんってば、アオイちゃんに見惚れてたのねぇ」

「ぐっ……」

 語るに落ちたオールは居た堪れなさそうな顔でそっぽを向く。

「……馬鹿馬鹿しい」

 コウだけがつまらなさそうに吐き捨てるが、それに反して、シオンが楽しそうに笑いながらずいと詰め寄った。

「あら、コウちゃん、そう言いながら、さっきオールちゃんの陰に隠れてアオイちゃんのこと見てたくせに、素直じゃないのね」

 小声で囁くシオンに、コウは苦虫を噛み潰したような顔をした。

「お前達が近付いてきたから其方を見ただけで、そんな風に言われる筋合いはない」

「……ふぅん、まぁ、そういう事にしといてあげるわ」

 シオンはそれだけ言うと、すっとコウから離れた。其処へグリーズがやってくる。

「やぁ、待たせたな。馬車は用意してある。行こう」

 紳士的な笑顔でそう促すと、ジョーヌが玄関の扉を開けた。その向こうには大きな馬車が止まっており、御者台にヴェールが乗っている。

 準備の整ったアオイ達を見た彼は御者台から降り、馬車の扉を開けた。

「さぁ、皆様、ご乗車下さい。お城までお送り致します」

 五人は言葉通り馬車へ乗り込む。大人が五人乗り込んでも余裕のある広さだ。馬車は間もなく動き出し、ヴェールの手綱捌きによって城へ向かったのだった。


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