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第三十七章 ザ・ラストフラッグ

「助かった」

 ヘリの機内で、びしょ濡れの俺とコトミは、エメラダが差し出すタオルにくるまった。

「コトミちゃん。危なかったね」

 エメラダはコトミの長い髪を丁寧に拭いてやる。

「いやあ、こんな怖いことになるなんて思わなかったー、でも面白かったなー。エーテル・ストライクっていつもこうなんだね」

 コトミは平気な顔をしている。

 メンタルのタフさならエーストの一員として十分にやっていけそうだ。

 

「ひとちゃんと、ひびき警部のおかげです」

 エメラダは操縦士と並ぶ小日向ひびき警部に敬礼した。

「そのとおりね。あなたたちの船は小笠原の近くまで来ていたんだけど、間に合って良かった。私に力がなかったらヘリは飛ばせなかったよ。感謝しなさいよね」

 ひびき警部の視線は、渡良瀬ひとはに向けられた。

「ありがと、ひびき」

 渡良瀬少尉はクールに礼をした。

「お役に立てられて光栄よ」

 ひびき警部は頬を染める。

 彼女はどこまでも渡良瀬少尉のファンなのだ。


「前方より武装ヘリが接近!」

 操縦士が叫んだ。

「ええー」


 8人乗りの警視庁ヘリと同じくらいの大きさのヘリが迫るのをフロントガラス越しに目視できる。


「ありゃ、実桜が寄越したヘリだ。俺らを撃ち落とそうとしている」

 ブレスト・ドニセヴィッツが立ち上がった。手にはスナイパーライフルが握られている。拘束を解かれたあと、彼は愛用の銃を船室に取りに戻っていた。

「実桜叔母さま、本当にもうおやめください……」

 エメラダは、窓から身を逸らし、祈る仕草をする。


 相手のヘリはガドリングガンを発射した。

「あいつら、本気でやるつもりだ。ミサイルまでは用意できなかったな」

 ブレストがスナイパーライフルの整備を始めた。

「高度を下げます」

 警視庁ヘリは、機銃の照準から逃れるために、海面ギリギリを飛行する。少しでも波に飲まれたらアウトだ。

「島から離れてどうするの!」

 ひびき警部が操縦士を怒鳴った。

「機銃の照準から逸れるだけで精一杯です」

 相手のヘリも徐々に高度を下げ、距離が狭まってきた。

 びしょ濡れの俺は、ただ機体に揺らされるのみだ。ここはブレストに頼みたい。

「まかせろ」

 ブレストはヘリから身を乗り出した。

「ドニ、落ないでね」

 エメラダは立ち上がり、彼の腰のベルトをしっかりと掴む。


 乾坤一擲けんこんいってき


 ブレストは相手のヘリの操縦士をスナイプした。ヘリはそのまま海に落下した。

「よく眠ったから頭がスッキリしていたんだな、でもやっぱ薬が残ってるぜ」

 ブレストは機内に仰向けに倒れた。

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