表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/38

第二十一章 真木の挑戦

「へへ、降参、降参」

 仰向けのまま、俺に組み伏せられた真木アオイは、両手をぶらりと伸ばしていた。

「真木! あのこんがり日に焼けていた、真木じゃないか」

「そうそう。あたしあたし。でさあ。睦月。いつまで上に乗ってんの?」

「すっ、すまん」

 俺は彼女の体の拘束を解いた。


 彼女のフードつきのパーカーにTシャツ一枚、ハーフパンツとスニーカーという格好は、やはり少年らしくみえる。

「久しぶりだねー。草刈睦月」

 パーカーを脱いで砂を払う彼女は、髪を伸ばして、肌は白くなっていた。基地にいたときと雰囲気が違う。


「真木。俺を狙ったのか?」

「そう。睦月の住所と連絡先は、特専のみんなに知らせてあるでしょ?」

「うん。みんなで集まれるようにね」

「あたしは草刈睦月をやっつけて、名をあげてやろうと思ったわけ。その実力で、どこかのPMCに入れたらいいなあって」

 なんて無茶苦茶な論理だ。

「国防軍は?」

「あたしはね、軍には残れなかった。睦月が【やらかした】からだよ。みんな連帯責任を負わされてさ。だから働く所を探してんの」

 乱れた髪をなでながら、あっけらかんと真木は言う。


 胸が締めつけられた。

 デスフラッグとはまた違う痛みだった。

 特専のみんなは、責任を負わされたって?

 青山シゲルもか!

 

 みんなが、俺のせいで進路を絶たれたのなら、俺は謝っても謝りきれない。


 俺は真木の両肩をがっしり掴んだ。

「真木。お前の腕は確かだ。どこかいいPMCを、紹介してもらうよう、エメラダに頼んでみる」

「らっきー。じゃあ、睦月のエーテル・ストライクに入れる?」


 それは、正直難しいと思った。能力がないと厳しいのではないか?


 俺の表情を真木は読んだ。

「ごめん。ウソ。連帯責任なんてないから。みんな、それぞれの道にすすんだよ」

 真木はぺろりと舌を出す。

「ほんとにウソだったの?」

 安堵感あんどかんとともに、軽く真木をど突きたくなる衝動が走った。


「特専が終わったら、あたしは軍をやめたんだ。てっとり早く、大金を稼ぎたかったんだよねー、それにはPMCが一番わりがいいんだよね」

「金かよ。PMCは危ないぞ」

「睦月はいくら稼いでいるの?」

 今、コトミが俺の家で報酬の札束を数えている。額を知っても教えられない。

「秘密」

 それを聞いた真木は眉をしかめた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ