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熱き枕投げ戦争勃発!!

作者: 神崎颯

自分で書いてて不安になりました。

 「枕投げやろうぜ!」



 そんな翼の悪意の無い一言が戦争を巻き起こしてしまった。


 戦争とは常に些細なことで起きてしまう。

国家間の貿易だとか植民地の問題だとか宗教の違いだとか。


ホント、戦争ってのは些細なことで起きてしまうんだなぁ……




 ことの発端は今から丁度1時間前である。

我らは修学旅行に来ていた。そこの旅館で飯を食っていたのだが、いち早く食い終えた光と翼と俺は部屋の中で自宅以上にくつろいでいた。

 あ、ちなみに俺の名前は横山信、小学6年生だ。大人びていると言われることが多い。


 最初の方はトランプなどで遊んでいたのだけれど、光がイカサマばかりするので強制終了した。

 俺と翼はすることもなく無言のまま寝そべっていた。

「なぁ、何するよ」

痺れを切らした光が俺らに問い掛けて来る。

「女子の部屋に忍び込むってのは」

冗談混じりに俺は答えた。

「名案じゃん」

いやいや光、そこはツッコむところだろ。

「ダメだよ信、光。 今女子は風呂だから侵入は容易なことだけれど女子がいないんじゃ意味は無いさ」

うん翼、ツッコんでくれるのはありがたいのだけれど少しツッコむポイントが違うな。

「とりあえず侵入して女子の部屋を物色しようぜ」

いやいや光、それモロ犯罪。

小学生といってもやっちゃいけないことくらいあるのよ。

「美紗ちゃんのパンツなら欲しいけど……」


 「てめぇらバカかコノヤロー! 真面目に考えようぜ真面目に!」

痺れを切らした俺が叫んだ。

だってこいつらほっとくと次辺りに『女子風呂行くか』とか言いそうだもん。


「てか最初に言い出したの信じゃん」




……そうだったッ!

やっちまったよおい。自分で案出しておきながら後になって全否定ですよ。

『バカ』とか言っちゃったし……

俺のバーカ。 

「……すんません」


 そして振り出しに戻る。

全員がうーん、と唸る。


 「じゃあさー、枕投げやろうぜ!」

翼が声を張り上げて言った。

「何故今更そんなガキくせぇことすんだよ……」

「いやいや信君、修学旅行と枕投げは表裏一体、いやむしろ一心同体だ!」

一心同体の意味をわかってて使ってるのかこいつは。


 「じゃあ信君、大人の枕投げでもやりますか?」

光が気持ち悪い笑みを浮かべながらいった。

「何だよ大人の枕投げって……」

「ルールなしの残虐的かつ戦略的な枕投げ。 サバイバルゲームと同じ。 いわゆるそう『枕投げ戦争』だ!」


さっぱり意味がわからんというか残虐的な枕投げって……


「ていうか光、通常の枕投げにルールってあったの?」

ごもっともな質問ですよね。

「あるだろ。 翼、ルールも知らないで枕投げしてたのか?」

「うん。 聞いたことすらない」

「ほら、あれだよ。 障子に穴をあけちゃいけないってやつ」

それ旅館に泊まるときのマナーだよ。

「それだけ?」

「座布団投げちゃいけないとか」

「あぁ、なるほど」

何故か翼も納得です。

 てかルールなしの枕投げってことはあれか、障子に穴あけてもいいって言うのかよ。

そりゃマナーとしていかんだろ。


 「めんどくさそうだから俺はパスで」

「なんだい信君……君は戦いを前にして逃げるのかい?」

「そうだぞ信君……君のおじいさんは太平洋戦争で勇敢に戦って帰ってきたじゃないか。 今は亡きおじいさんに君の勇敢な戦いを見せてやろうとは思わんのかね」

「思わねぇ。 これっぽっちも思わねぇ」

俺は吐きすてるように言った。

「……おじいさーん! 信のおじいさーん! 信はあなたのことをこれっぽっちも考えてくれてませんよー!」

光、うるせぇよ。埋めるぞ。

「まぁそういうことで。やるなら俺を巻き込まないでやってください」

もうめんどくせぇ。寝てよ。


 すると光ると翼が顔を見合わせて話した。

「信が参加しないとなると枕投げ戦争は盛り上がりませんね……」

「仕方がない、女子風呂いくか」

「おーい! 何原点に戻ってるんだよ!」

「ちなみに見つかったときの言い訳は『信に脅された』で行くぞ翼」

「おおーい! わかったから! 枕投げ戦争とかやるから!」

「よし決まりぃ!」

まったく、こいつらといると疲れるな。



 「さて、枕投げ戦争をするに関してルール説明しとくぞ」

「ルールなしじゃなかったのかよ」

「まぁルール説明といっても最低限度のマナーを確認してもらうだけだ」


 で、翼が言うには枕投げ戦争は1対1対1の個人種目だそうで再起不能になった時点で終戦だそうだ。再起不能とか言ってる時点で小学生の遊びじゃねぇ……


 「行くぞ信、翼。 用意はいいか?」

「おう」

「大丈夫だよ」

「じゃあいくぞ……枕投げ戦争スタート!」

 戦争は光の吹いたほら貝の低い音で開始された。

どこから出したんだそのほら貝。


 「いっくぞー!」


 最初に渡された枕は1人5個。これを使って光曰く戦略的に戦うそうだ。

尚、この部屋の中にあるものすべてが武器として使用可能だそうで、座布団、布団、敷布団、お盆、懐中電灯など何でも使用することができる。

 最初は皆枕投げらしく枕を投げ合った。しかしそれはほんの最初だけであった。


 「くらえ光!」

俺は体を捻り遠心力をフルに使って光へ枕を投げた。

だが光はそれを軽々かわし、反撃の体勢へと移った。

 「甘いぞ信ぉ!」

光がそばにあったお盆を3枚投げてきた。正直洒落にならん。

何故だか俺は見事に3枚とも避けることができた。

しかし、後ろにあった障子に見事な大穴ができてしまった。俺のせいではない。断じて俺のせいではない。ていうかこれは最早枕投げではない。

 「信ぉ、これでもくらえぇ!」

そう叫ぶと翼は座椅子を投げてきた。相当危ないぞこれは。あたったら致命傷だ。

だが大きいせいかスピードが遅かったので難なく避けることができた。

 そして俺はすぐさましゃがみ、枕を取った。

「くらうのはお前だ!」

 先ほどと同じように遠心力をフルに使って枕を投げた。

するとそれは見事なまでに翼の鼻頭にあたり、鮮血を散らしながら翼は崩れた。


 「翼ぁ! 信、貴様よくも翼を……」

あれ? いつの間にか2対1ムードですか?


 「ぐっ……やるな信。 だが俺はまだ負けちゃいねぇ!」

どうでもいいガッツを見せた翼は鼻から血を流しながらも立ち上がった。


 「くらえ信ぉ!」

翼が冷蔵庫の中から出した冷凍みかんを投げてきた。

視界を埋め尽くす程の量のみかん……さすがにこれは避けきれないな。ていうかみかんなんか当たっても痛くないんじゃね?

 そう思った俺は顔だけを防ぐことにした。



 しかしそれは誤算だった。

飛んで来る数多のみかんの1つ1つの堅さが尋常では無いのだ。

 俺は1つ1つが鋼鉄と化し、恐るべき速度で飛んで来るみかんの直撃を受けた。

「ぐおぉ!」

そのまま俺は後ろへ倒れこんでしまった。


 しかしそれも作戦だった。


 「くらぇ信ぉ!」

叫びながら光が座布団を投げてきた。

俺は見事に喉仏にくらってしまった。

「ぐはっ!」

一瞬の出来事で呼吸ができなくなる。落ち着け、落ち着くんだ。


 なんとか呼吸を整えた俺は横に転がりながら膝立ちになった。


 「見たか信! これが俺たち『ヒッキー&翼』の力だ!」

「モロパクりかよ!」

「貴様に勝利のVenusは微笑まないのさ!」

「別に上手くねぇよ!」

勝利のビーナスって……そもそもビーナスは美とか愛の神だから。


 「てかこれ個人種目じゃなかったっけ?」

「個人種目だよ」

「じゃあ何故お前ら組んでるんだよ」

「組んでなどいない! 利害の一致だ!」

「お前らにとって俺は害ですか!?」


 まったく……ホント疲れるよ。

しかしこの狭い部屋での2対1は分が悪いな。せめてもう少し広ければ……


 そんなことを考えていると突然ふすまが開いた。


「こらあなたたち、何やってんの!」

保健の荒木先生がノック無しに入ってきた。マナー違反ですよ、先生。

「枕投げ戦争です!」

「何よそれ……」


 そして光と翼が荒木先生に枕投げ戦争の大まかなルールを説明すると先生は何故か顔が笑っていた。

「なるほどねぇ。 男と男のプライドのぶつかり合いなわけだ。 じゃあ私に止める権利はないわね」

いや、多分ありますよ。

「じゃあ思う存分やっちゃいなさい!」

それで良いんですか先生!?

「あ、でもここは狭いから場所を変えましょう」




━━━━━━━━━━━━━━━━




 で、今我らがいるところは大宴会場。

縦100メートル横100メートル高さ10メートル。最早ホールです。


荒木先生は

「これで思う存分戦えるでしょ」

と言った後、どこからか枕などの武器を大量に集めてきた。

「私外にいるから怪我したら来なさいよー」


 そして再戦。


山のようにある枕を俺たちは投げあった。

「今度こそくらえぇ!」

翼はそう叫ぶと枕を投げてきた。

しかしここは広いのでいくらでも逃げ場所はある。あたるわけがない。

 そしてその枕をよけるべく俺は右のサイドステップで避けた。



 しかしそれはまたもや作戦だったのだ。

俺が右へ避けた瞬間、右で光がパイを用意していた。

「何故パイがあるんだぁ!」

「くらえ信!」


 そして俺は顔がパイまみれになってしまった。

「ハハ八どうだ信! 俺たちの力は!」

「殺す……」

「は?」

「てめぇらブッ殺ーす!」


 そういうことで俺はぶち切れた。

食堂でパクッてきた10本のナイフを光と翼に投げつける。

「おおっとあぶねぇ!」

避けられる。ここまでは計算通り。

 俺のナイフを避けた2人は近づいてた。それが狙いであった。


 「これで……フィニッシュじゃーー!」

俺は折畳式テーブルを3個投げつけた。

「うぉぉぉぉぉぉ!!」

翼は伏せてで避けようとしたが折畳式テーブルの足が急に出てそれに眉間をぶつけてしまった。

骨に当たる低い音が響いた。

 「……無念」

翼は額から鮮血を出しながら再び崩れた。今度こそ立てないであろう。

 しかし光は体勢を低くしつつのサイドステップで避けていた。完璧に見切っていたようだ。


 だが、この勝負……俺の勝ちだ!

「なにぃ!」

サイドステップで避けた光は目の前の光景に絶叫した。


 そう、俺は折畳式テーブルを投げた後テーブルの陰に潜み、迫っていたのだ。

これで本当の終わりだ。


「くらえ光ぅ!」


 俺は枕で光の顔面を殴打した。

今までで一番深く鋭い攻撃。光は体を捻りながら、うつ伏せになって倒れた。


 勝った。

これで戦争は終わった……







━━━━━━━━━━━━━━━━









 その後、俺たちと荒木先生は校長先生にこっ酷く叱られた。まぁ当然だろう。

 結局、戦争に勝利した俺は勝者の権限を利用して2人にパイを投げつけた。

でも、やっぱり危ないよこれ。


 枕投げはルールにしたがってやるのが楽しいんだよね。

皆は枕投げするときには障子に穴あけないようにね。

感想やコメントなどジャンジャンお願いします!!

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― 新着の感想 ―
[一言] あっぶな!!! 超ー、危険じゃん!!! 戦争はやめよう、うん
[一言] ども、読みました。 枕投げなのにここまでやり過ぎなのは面白おかしいですね。笑っちゃいました。コメディーらしい笑いのある作品です。 またこんなコメディーを期待します。では
2007/03/30 23:57 退会済み
管理
[一言] 批評依頼ありがとうございました。遅くなってすみません。 しょっぱなの「我らは修学旅行に〜」とありますが、主人公の男の子の一人称は「俺」だったはず。変に変えるより、統一した方がはるかに読みや…
感想一覧
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