第22話 『真っ向勝負』
何を言っているんだ、アイツは!?
シーフに隠れているように言って、俺と賢者は慌てて玉座の間に飛び込む。
「お前正気か!?」
「流石に不味いって!」
「だって、アイツのせいでずっと具合悪いの頭に来るんだもん!」
「だからと言って……」
玉座の間に満ちていた空気が変わった。
破滅の魔王が立ち上がり、口端を極悪に緩めた。
「テメェの仲間かよぉ! いいぜ、おもしれぇぇぇ! 相手になってやるよ女ぁぁぁ!」
「そう来なくっちゃ。ルールはこうよ。今から私は全力の一撃を放つからアンタはそれをノーガードで受けて。少しでもダメージを与えられたら私の勝ち、ダメージが無いならアンタの勝ちよ」
「んだそれ? 俺の確定勝利じゃねぇか」
エメリは言う。
「無敵アイテム使っているでしょ、それちゃんと取って勝負してよ」
「あ゛ぁ!?」
「アイテム無しの真っ向勝負をしましょう、って言っているのよ。それとも私とアイテム無いで勝負するのが怖いの?」
挑発をするエメリ。
一体何を考えているんだ?
「オレ様がテメェを怖がっているだぁぁぁぁ!? 舐めてんじゃねぇぞぉぉぉぉ!」
破滅の魔王は立ち上がり、エメリに元へ詰め寄る。
俺と賢者は臨戦態勢を取る。
破滅の魔王は鼻先が触れる寸前までエメリに近付き、
「やってやんよ。来いよ、女」
そう言って、破滅の魔王は距離を取り大きく腕を広げた。
ネックレスは取ってない。
アレがアイテムじゃないのか?
考える時間は一切与えられなかった。
エメリは手のひらを破滅の魔王に向ける。
「はあぁぁぁぁぁぁ────!!」
気合いの声と共に、莫大な魔力がエメリの手に集まり圧縮されていく。
今までとは比べ物にならない程の魔力。
いつ間にここまでの力を扱えるようになったんだ?
いや、違う。
エメリは周囲の魔力も活用しているんだ。
ここは特別に魔力濃度が高い。
そんな空間で魔弾を使うとなれば、その威力は段違いだ。
「はははは────!!! コイツはスゲェェェェ──!!! あの女魔王がやってたヤツじゃねぇかぁぁぁ!!!」
発狂じみた笑い声が響き渡る。
耳障りな声を無視して、エメリは魔弾に全神経を注ぐ。
俺と賢者はその様子を眺めていることしかできない。
そして、エメリの作り出した魔弾は臨界点に達した。
「喰らえ!!!」
「来いよぉぉぉぉぉぉぉ────!!!」
二人の咆哮。
エメリが魔弾を放つ。
限界まで圧縮された魔弾は凄まじい速度で破滅の魔王に飛来する。
笑っていた破滅の魔王だったが、魔弾の危険性を察知したのか、顔の前で腕を十字に組み防御の姿勢を取った。
着弾。
限界まで圧縮された魔力が衝撃により大爆発を引き起こした。
壁と天井は吹き飛び、瓦礫が崩れ落ちて砂埃が舞い上がる。
爆風に晒されて俺は顔を腕で覆う。
なんて威力だ。
しばらくして砂埃が収まる。
果たして破滅の魔王は一歩も動かずに五体満足で存在していた。
しかし、ガードしていた腕を始め、魔弾の直撃を受けた前面は鮮血に塗れていた。
「は、はは、ははははははは!!! やるじゃねぇかぁぁぁぁ────!!!! でもよぉぉぉ、ダメージはねぇからオレ様の勝ちだぁぁぁぁ!!!」
「はぁ!? どうみてもダメージ入ってるじゃない!」
「オレ様が入ってねぇって言ったら、入ってねぇんだよぉぉぉ!!! これ以上やろってんなら死ぬまでやるかぁぁぁ!?」
「信じられない! 仮にも魔王とか名乗ってるんなら潔く負けを認めなさいよ!」
本気の殺気を感じた俺と賢者は目配せをして同時に動き出す。
俺は文句を言い続けているエメリを抱えて、その場から離脱した。




