もやしは戦場に立たない(立った)
戦争は、会議から始まった。
王都サンクティア中央庁舎、地下の防音会議室。
机を囲むのは、人類連合軍の代表、騎士団長、参謀、神殿関係者――そして。
「……で、なんで俺がここにいる」
俺だ。
「同盟国ですので」
騎士団長が即答する。
「だからって最前線の会議に呼ぶな!!」
「俺、武器も階級も職もねぇぞ!!」
参謀が地図を広げる。
赤い駒。
黒い駒。
「魔王軍が、正式に進軍を開始しました」
ざわめき。
「灼界魔王イグナ=ヴァルカ」
「四天王すべて出撃確認」
誰かが唾を飲む。
騎士団長が、俺を見る。
「……支援を、お願いしたい」
「え?」
「もやしの国として、ではありません」
一拍。
「無職もやし神として」
俺は立ち上がった。
「やめろォォォォ!!!」
「公式文書にその肩書き書くな!!!」
⸻
後方支援、開始
結論は、こうだった。
•前線戦闘:人類連合軍
•もやしの国:後方支援限定
•前線参加:もやし二号は禁止
俺は念を押した。
「二号は絶対出すな」
「出たら戦争終わる」
誰も否定しなかった。
⸻
戦場後方。
そこは、もはや炊き出し会場だった。
巨大な鍋。
樽。
発酵槽。
「次! 筋力回復もやし煮!」
「次! 集中力向上もやしスープ!」
「ケフィア薄めすぎ注意!!」
負傷兵が運ばれてくる。
「腕が動かん……」
「目が……」
一口。
「……あ?」
「いける」
「前より強くない?」
俺は頭を抱える。
「だから戻すなって言ってんだろ!!」
「支援は回復までだ!!」
参謀が真顔で言う。
「戻らない兵がいません」
「最悪だよこの後方支援!!」
⸻
魔王軍、接触
地鳴り。
空が、赤い。
魔王軍前衛、接敵。
炎が走る。
雷が落ちる。
瘴気が広がる。
人類連合軍、必死に耐える。
だが。
「……四天王だ」
前線が、割れた。
⸻
炎獄将バル=グリム
灼熱の巨躯。
溶岩の鎧。
剣が振り下ろされる。
《灼熱断罪》
地面が割れ、兵が吹き飛ぶ。
「盾が!!」
「溶けてる!!」
俺は叫んだ。
「無理だって!!」
「もやし食っても限界あるだろ!!」
その時。
前線を、白い影が越えた。
「……二号ォォォ!!!」
もやし二号、静かに立つ。
「前線参加を禁ず――」
「今それ言うな」
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vs 炎獄将
バル=グリムが嗤う。
「草が、立つな」
剣が振り下ろされる。
《溶界爆斬》
もやし二号、踏み込む。
《存在硬化》
拳で、受けた。
衝撃が遅れて爆発する。
ドン。
鎧が、内側から砕ける。
「……な?」
二号、連打。
《連続圧壊》
拳が当たるたび、内部で圧力が炸裂。
最後。
《白茎衝》
一撃。
炎獄将、地面に沈む。
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瘴気将ラズ=モルド
空気が、腐る。
《魂腐蝕》
《精神侵食》
兵が膝をつく。
俺は叫ぶ。
「息するな!!」
「いや無理だわ!!」
⸻
vs 瘴気将
もやし二号、歩く。
瘴気の中を。
「……解析」
《生命定義再構築》
瘴気が、逆流する。
「ば、馬鹿な……!」
二号、手を伸ばす。
《存在否定・部分》
瘴気将、形を保てず崩壊。
⸻
雷断将ゼル=ヴァスト
空が裂ける。
《千雷連鎖》
雷が連続で落ちる。
地面が消し飛ぶ。
⸻
vs 雷断将
もやし二号、雷を蹴る。
《反発跳躍》
空中戦。
雷と白光が交差。
《瞬芽加速》
消える。
次の瞬間。
《白茎断》
雷断将、分断。
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影絶将シェイド=ノア
気配がない。
兵が倒れる。
「どこだ……!」
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vs 影絶将
もやし二号、静止。
影が伸びる。
《影殺》
だが。
《不可視把握》
影を掴む。
《圧縮消去》
影、消滅。
四天王、全滅。
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魔王、降臨
空が、燃える。
灼界魔王イグナ=ヴァルカ。
「……楽しいな」
拳を構える。
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魔王 vs もやし二号
肉弾。
《灼界拳》
《白茎受》
衝突。
地形が変わる。
魔法。
《終焉炎界》
《生命再定義》
拮抗。
殴る。
殴り返す。
スキルが飛び交う。
《灼界終末》
《存在圧壊》
互いに、決定打がない。
沈黙。
魔王が笑う。
「……いい戦いだ」
「勝敗は、ここまでだ」
撤退。
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戦後
俺は地面に座り込んだ。
「……もう二度と戦争支援しねぇ」
もやし二号、札。
《戦争:非推奨》
「最初から言え!!!!」
⸻
世界は、壊れなかった。
理由は――
もやしが、強すぎたから。




