8.この世界について
(「・ω・)「ガオー
「この世界についてもう一度教えて欲しいんだけど」
神様に怒りを向けるリッタにお願いをする。
「狭間での内容と重なる部分もあるけどね」
リッタはこの世界の成り立ちについて話始める。
この世界ではどんな"人間"にもあらゆるスキルを獲得できるだけの才能が眠っている。
成長が認められるとその才能に"開花の兆し"が生じる。その後もたゆまぬ努力を続けることにより才能が開花し、スキルとして発現していくのだということ。
その事実を人々は知らない上、才能をスキルに昇華することは難しい為、複数のスキルを持っている人はほとんどいないこと。
この世界の常識では、農家が土地を耕すスキルを獲得したり、狩人が命中精度を高めるスキルを獲得したりと、担う役割に応じたスキルが手に入りやすいといったものであること。
地域によってはスキルを生み出す為の儀式を行う風習もあるが、そういったものには意味はなく、あくまでスキルとは個人に発現するものであること。
スキルとは別に魔法もあるが、相手を焼き払うような威力を出せる人はいないこと。
どちらかと言うと"明かり"や"水"火"風"を発生させるような生活に役立つ程度のものである。それでもやはり習得が難しい為、使える人は少ないということ。
そして、この世界に生きる人間は決して強くない。
ステータスという概念はあるが、どんなに屈強な戦士でも村の農夫と比べて力が何十倍もあるわけではなく3倍程度がやっとである。
"体力"も"魔力"も"力"も"技術"も"速さ"も50あれば上位の実力者と名乗れるだろうとのこと。
この世界についての説明をしてくれた後に「僕たちの存在についてだね」と話を続ける。
この世界に居た"ユズの場所"に僕たちが入っているから、この世界では珍しい黒髪でも誰からも気にされる様子はなかっただろう。
でも問題はそこではないんだ。言ったように僕たちの身体が成長していくかは分からない。
これから先ずっと今の14.5歳の姿のままかもしれないと考えると、同じ場所で暮らし続けるなんて現実的ではないだろうね。
ただでさえキミの居た世界のように何十年も生きられるわけではないんだ。
"不老"や"不死"といったスキルもあるだろうが関わる人すべてにその知識があるわけではないし、老いることなく生き続ける人間なんてさ、他の人にとっては恐怖でしかないだろう。
迫害の対象になって殺されてしまう危険だってある。
それで僕たちが死ぬのかは分からないけどね。
15歳での旅立ちなんてこの世界では珍しいことではないからね。当面は2人で世界を回れるような力を付けることを目標に置くべきだと僕は考えるよ。と
想像していたよりも詳しく話してくれたことに喜んだが、狭間ではガッツリ省略されていたことも発覚して、説明をめんどくさがったのではないかという疑念も生まれた。
内緒だけど。
もう思考を直接覗かれるようなことはないので、円滑に話し合いは続いていく。